今月の「由佳の本棚」 | 大橋由佳のぼちぼち日記

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今月も「由佳の本棚」は3冊ご紹介しました。

 

 

 

最初は、手嶋龍一・佐藤優「ウクライナ戦争の嘘」。

 

手嶋さんは、本の中で、自分たちのスタンスは、”自分も佐藤さんも、プーチンのウクライナ侵攻は、あらゆる国連憲章に背き、国際法規に反する、圧倒的な不正義の戦いだと考えている”と書いています。

そして、佐藤さんは、”プーチン大統領は恣意的解釈で国連憲章を破り、世界の秩序を破壊した。そんなロシアの振る舞いは決して許されるものではない。ロシアの行為はウクライナの国家主権と領土の一体性を侵害するもので、国際法に違反している。それによってウクライナの民衆に多数の犠牲者が出ている責任を、ロシアは負わなくてはならない」と話しています。

どうして、最初にこのことを書くのか。当たり前なのにな、と思っていると、この戦争は単純ではなく、読み方によってはプーチンの責任が、読み手の心理の中で薄れてしまうからなんです。
 

本を読みながら、だから、最初にあれだけの宣言をしたんだなと思いました。
 

さらに手嶋さんは、「ただし、プーチン大統領に責任があるからといって、その不正義を指弾するため、すべての領土を奪還すべく戦い続けることがいいのか。停戦の機を見出して、ロシアとウクライナを話し合いのテーブルに着かせる外交努力を国際社会はしなくていいのか。無期限にして無制限の戦争の果てに、核戦争が起こっていいのか。それでもウクライナに”正義の戦い”を続けさせるのか。今こそ、危険極まりない戦争を止めなければ。」と書き、

佐藤さんは、「そこが我々の共通認識であり、この本を出す目的です」と書いています。

 

大国の都合で多くの命が失われていることが、どうして許されているのだろう?と、思わずにはいられません。

 

この本には、続きが出ています。

 

「イスラエル戦争の嘘-第三次世界大戦を回避せよ 」(中公新書ラクレ 815)です。こちらも読みます。

 

 

 

 

湊かなえ「人間標本」

読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミスの女王」と言われている湊かなえさんの本で、タイトルが「人間標本」って、もう、心の底から恐ろしさを感じるってわかってるじゃないですか。

だから、なかなか読み始めることができなかったんですけど、読んだら没頭して、実家に帰るために乗っていた列車で本を読んでいると、見知らぬ景色に遭遇しました。公共交通機関を利用の方はご注意ください。

この本、装丁がブルーで美しいです。青い蝶が光を放って羽を広げています。青一色でもいいのに、赤い部分もあって、不穏さを感じさせます。

表紙をめくると、挿絵が6ページ。
どれも、少年が昆虫標本になっているような挿絵で、絵としては見られるし、美しい部分はあるんだけど、これからの展開を考えると、目を逸さずにはいられませんでした。


なんなら、飛ばしました。本に携わった方、ごめんなさい。

物語は、「標本作成に至るまでの覚書書」という、カッコ付きの文言から始まります。

 

もう、”こわいよー””やめてー””ここは読めません”の連続だったんですが、終盤に驚きの展開が。

 

その部分を本当は書きたい!なんなら語り合いたい!と思っているのですが、これから本を読む皆さんの驚きを1/1000に奪ってしまう行為なので、ぐっと我慢します。

 

小説ではあるし、恐ろしい展開ではありますが、現代社会を反映しているなと、唸りながら読みました。

 

あーーーー書きたい!!!!!

 

 

 

辻孝宗「一度読んだら絶対に忘れない国語の教科書」

この本の要点は、
「現代文だけでなく、古文も漢文も、学習の目的は、あくまで現代文の文章を読解できるようになること」です。

私は驚きました。

辻先生は、「現代文と古文、漢文は全て密接に関連しているため、切り離して学習してしまうと、読解という点において、学習の効果が半減してしまう」と本に書いているんです。

辻先生の推奨する国語の学習法は、読解、語彙、文法というテーマを軸にして、現代文、古文、漢文を横断しながら学習する方法です。


つまり、現代文と古文と漢文を同時に学ぶというものです。

もちろん、古文、漢文の知識がなくても、現代文の読解をすることはできると、辻先生は書いています。


でも、古文と漢文を現代の文章の読解という目的で勉強することによって、国語力が相乗効果的に伸びる!と、書いているんですよね。

 

いろいろな具体例が書いてあって、「なるほどな〜」「これは塾で使えるな〜」と思いながら読んでいると、最後の部分で、ぐっときました。

 

辻先生は、読解は、自分の立場を離れて、書き手の立場に立って翻訳するという作業。つまり、読解力とは、”相手に寄り添う力”とも表現できる。そうすると、国語は”優しさ”を学ぶ科目とも言えるのではないか。読解力を高めれば高めるほど、人に優しくなれる。さらに、読解力が高まると、日常に”幸せ”が増えると書いています。

言われてみればそうですね。
国語は自分の考えを押し付けるのではなく、相手の立場に立って考えることで答えが出ますものね。

辻先生は最後に、
「今日も私は授業をして、生徒に”優しさ”を伝えています。”優しさ”で日本から世界を変えていきたいと思っています」と書いています。

私も塾で教えているので、そうしたい、そうありたい、と思いました。

 

由佳の本棚は、radikoのタイムフリーで聴くことができます(9時25分〜、放送日から1週間限定)。

 

来月もお楽しみに♪