世界ネコ列伝 | 新労社 おりおりの記

世界ネコ列伝

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犬の歴史となると結構固有名詞も出てきて、物語になるのですが、猫となると途端に愛称が少なくなります。歴史上、有名な猫の話題を集めてみました。

 

🐈 エジプトの猫(紀元前10世紀)

 

遥か紀元前670年ごろには猫と関係ないネコ1世という帝王もいたのですが、猫自体、古代エジプトで女神バテストとして1000年以上も神聖視され、いろいろな像や絵になっています。猫が人間と暮らし始めたのはエジプトが最初で、鼠を取る益獣だったことから信仰が始まったのです。鼠は食料の他に、記録を取る紙も食べ散らかしますから、猫がいたことは世界史を紡ぐ役割も果たしたわけです。

 

🐈 イスラムのネコ

 

イスラム教でも猫は特に神聖なものとして扱われています。預言者ムハンマドは猫好きだったこともありますし、猫は宗教に共通して清潔の象徴とみなされることも多いのですが、イスラムでは宗教に必要な慈悲心の象徴とみなされたことが大きいです。慈悲のココロを人間に生ぜしめてくれる、ありがたい愛すべき存在、というわけです。キリスト教では鼠を捕る実用性、ゾロアスター教では臆病者として扱われていることが面白いです。

 

🐈 命婦の御許(平安中期)

 

日本のネコは、仏教の経典をネズミから守ることから始まりましたが、宮中で飼われた記録は9世紀から。優秀なネコを献上したり、和歌に詠んだりということがありました。11世紀の枕草子第七段「上にさぶらふ御猫は」に書かれた「命婦の御許」というネコは一条天皇に愛され、出産記念儀式まで行われ、このネコにかみつこうとした犬は天皇に追われて、清少納言が発見してきて許されるというほどでした。「馬の命婦」というネコ飼育専門の女官まで付いたようです。

 

 

🐈 平家物語の“ねこどの”(平安末期)

 

この方は猫ではありません。京の猫間という場所に住んでいる貴族で、猫間中納言と言ったのです。そこへ平家を破って入京した木曾義仲が「ねこどの」と呼んで、「面白い。ねこどのに飯を食わせよう。むしゃむしゃかきこみたまえ」と、お公家さんには食べ難い山のような量の食事を出して、食べ残したのを義仲が無遠慮に「猫のようだ」と無邪気に言ったのにあきれて、這う這うの体で逃げ帰ったという話。

 

 

🐈 猫又(平安~江戸時代)

 

中世~近世の日本文学で、兼好の徒然草その他の文学書にも紹介されている猫の妖怪。老いた猫がなるとか、ヒトを食い殺したなどの伝説があります。古今著聞集だったか、暗闇で愛犬にじゃれつかれた坊さんが誤解して「猫又よや!猫又よや!」と助けを呼んだとか、狂犬病を「猫又病」と勘違いしたとか、猫が物の怪に取りつかれて、シッポが二股に分かれて悪さをするという伝説だけが一人歩きしたのです。

 

🐈 不幸の黒猫(14世紀)

 

エジプトでは猫は神様だったのですが、中世になるとそれが魔女伝説と結び付けられ、猫の集会=魔女の集会などと曲解されるようになったもので、黒という神秘な色が手伝って不幸ということになったのです。黒猫が前を通ったら不幸になるという伝説は、トムとジェリーでも、日本のアニメでも出るほど一般化しました。

 

🐈 ロイヤル・アナロスタン(19世紀)

 

シートン動物記の「裏町の捨て猫」に出てくるネコ。とある商売っ気の高い怪しいアメリカ人が、主人公のノラ猫を拾って「毛皮獣の飼い方」という本をもとに、食わせてしつけて飾り立て「ロイヤル・アナロスタン」に仕立て上げたのです。高値でブランド付けた猫が、運と偶然もあってお金持ち社会の中でもてはやされ、したたかに生き抜き、猫としての食いっぱぐれず、しかも自由な幸せを手に入れる物語です。アナロスタンというのは彼女を拾った黒人の出身島の名前です。

 

 

🐈 「吾輩は猫である」の猫(大正時代)

 

名前はまだない、というあのシニカルな猫です。人間社会の冷徹な観察者で、最後は「人間的な」ありがたいありがたいという信仰で終わる身近な愛玩動物としての身分を体現しています。人間的な性質、というのは社会的には得てして動物的なモノであるとは、この猫から始まっているかと思われます。

 

🐈 南極の猫「たけし」(昭和時代半ば)

 

第1次南極観測隊に付いていった三毛猫。 雄の三毛猫は珍しく、航海の安全を願って最初の南極観測船、宗谷に乗せられました。隊員たちのアイドルだったようですが、犬のタロジロのような犬橇などの実用に使われることもなく、記録はあまり残っていないのです。ただ隊員とともに昭和基地で越冬した唯一の猫だったことは確かです。日本に帰って隊員の一家の飼いネコになりましたが、間もなく姿を消したそうです。

 

 

🐈 「トムとジェリー」のトム(20世紀後半)

 

「日本軍をやっつけろ!」というところから始まった昔からある猫と鼠のアニメ。猫のトムはこち亀の両さんの親戚ではないか?と思わせる程な体力抜群です。食べること、寝ること、ネズミを追いかけることが生きがいですが、金欲があり、女運に恵まれず、ヒトがイイ、という人間的なところもあります。性能のいい機械のような働きの一面、欠点もある、という深みがある人間社会を体現するには、猫はイイ擬人化の対象なのです。

 

🐈 チャトラン(昭和末期)

 

「子猫物語」のキャラクターのキジトラの猫。子猫子犬の冒険物語で最後は一家をなしてハッピーエンド。1980年代末期はトラ猫をチャトランというほどブームになりましたが、動物を役者さんのように人間の思うように動かすのは困難で、映画のシーンを取るのに子猫の足を動かないように釘で打ったとか、水に流して救助もできず流れてしまったというような、動物虐待のようなこともあったようです。

 

(猫の本ではありません)

 

🐈 ネコノミクス(平成時代後半)

 

平成期のアベノミクスになぞらえて、2015年ごろからの猫ブームがそう名づけられました。ある私鉄の猫の駅長の報道を皮切りに、犬より手間のかからない猫を飼うヒトが増えたのです。書籍や映画、テレビに雑誌などの経済効果が何十億円とありました。

 

🐈 行政書士のゆきまさ

 

行政書士のイメージキャラクター。「行政」だからゆきまさというのです。所長行政書士の飼い猫という設定で、周りのヒトを法務的に助けるシミュレーションがいろいろ描けるのです。別に猫が知恵のシンボルとか、もめ事の解決の象徴ということではないのですが、ネコブームもあって見事当たり、行政書士のイメージとして定着しました。

 

忠誠かつ理性的、また実用もある犬に比べ、同じ人間社会と深い関係の愛玩動物でも、猫は実用はネズミ捕りくらいで、けっこう気分屋で一人歩きするから、必ずしも忠誠でなく自由だから名前が残らないのかも知れません。固有名詞より、猫全体、その性質や容姿を愛する感じがどの時代でも共通しています。プライベートを明かさない神秘が想像を呼んで伝説を作るのです。