馳星周『楽園の眠り』ネタバレ感想 | 好奇心の権化、アクティブに生きたい。

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一個人が好き勝手に書いてます。

またネタバレ全開です。
これから読む予定のある人の閲覧はお控え下さいますようお願いします。

あらすじは前回の記事をご覧下さい。





家族ができるよ!やったね妙ちゃん!

な、ハートフルボッコ・サスペンス。


ハッピーエンド至上主義の人には絶対にオススメできない本作ですが、私はとっても楽しめました。
久しぶりに夢中で読んだ本です。

 

 

まず、文章がすごく読みやすい!

 

文章のプロなんだから読みやすいのは当たり前では?と思われた方もいるかもしれませんが、相性ってあると思うのです。

 

本作の文章はなんというか、すごくふっときたというか、しっくりきました。




作者の馳さんは先日、直木賞を受賞されましたが、むしろまだ取ってなかったことに驚いたぐらいです。


ハッピーエンドは私も嫌いじゃありませんが、そこに至るまでに何かしらの犠牲が創作物には必要だと思ってるぐらいなので、業を背負った人たちが一人として幸せになれないこの物語が大好きになりました。



業を背負ったとはいうものの、親に虐待されている妙子と紫音(雄介)は完全な被害者ではあるんですが…


紫音は叩かれたくないがゆえにやたらと人の顔色をうかがうところがあるくせに、まだ他人を慮るということができない幼児なので、ことあるごとに妙子が傷付くような反応や言動をします。


友定が虐待するようになったのも、養っている自分よりも母親のことばかり気にかける息子にやりきれなくなったのが理由だったりします。

子供に母親を優先されてしまうというのは、男親の悲しい宿命だね。



妙子最大の罪は、子供を望んだことじゃないかと。

幸せな家庭に生まれなかったからこそ自分は幸せな家庭を築きたいと願うのですが、実際はろくでもない男に惚れたり、さらってきた子を我が子にしようとしたり。
女子高生という点を差し引いても、妙子のような、親としての器のない人が望んではいけないことだと思います。



私は本作を読み進める内に、登場人物の中で誰よりも紫音に対するヘイトを溜めていった気がします。


なので最後に妙子から滅多打ちにされるシーンでは、正直、溜飲が下がる思いがしました。



そしてヘイトを語る上ではずせないのは、なんといっても奈緒子の存在です。

こいつきらい。
(直球)


友定と同じように、幼い我が子を虐待している女ですが、そもそも子供に対する愛情など微塵も持ち合わせていないように感じられました。

子供を産んだ理由も夫に見捨てられたくなかったからで、その夫が自分を抱いてくれなくなった途端にヒステリーを起こす、
性欲に脳を支配されたどうしようもないクソ女がこいつです。

股裂きにされた後に放置されて、感染症を起こして死んでしまえ。


本作に一つ不満を挙げるとすれば、こいつはもう少し不幸な目に遭ってもよかったんじゃないかというところです。



ところでヒデさんこと谷村が言った台詞に、

可愛いガキだからさ。おれがロリコンのホモなら放っておかないところだ

というのがあるのですが


ロリコンのホモ


なんというパワーワード。

幼女好きなのか男好きなのかこれもうわかんねぇな。
それとも幼女好きで男好きのバイセクシャルかな。
(すっとぼけ)


全ては「ショタコン」って言葉の認知度の低さのせいでしょう。



それにしても…『友定』かぁ。

個人的に馴染みのある名前なので、最初のページからひっくり返りそうになりました。


くれぐれも私の本名とかじゃないですよ。

私が何を言ってるのかは、恐らく8月以降に答え合わせができると思います。



最後に。

か弱い子供である紫音ですが、男の子には違いないので、大人になった彼が友定に暴力で仕返しする未来があるならぜひとも読んでみたいです。笑




以上、『楽園の眠り』ネタバレ感想でした。