綾辻行人『殺人鬼――逆襲篇』ネタバレ感想 | 好奇心の権化、アクティブに生きたい。

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一個人が好き勝手に書いてます。

またネタバレ全開です。
これから読む予定のある人の閲覧はお控え下さいますようお願いします。

あらすじは前回の記事をご覧下さい。





2年も放置してた前作『覚醒篇』と違い、今回は完全に初見の状態で読みました。


あらすじ記事では省略してますが(それでも長くなったなぁ)、本作はのっけから飛ばしております。
美砂子の夫と娘が殺される場面から始まるのですが、娘は2歳にもかかわらず情け容赦なく殺されます。

当該シーンを読んでる時、
「幼子殺しはタブー視されてるから、この子は生き残るんやろなぁ」って思ってたら…

ぐしゅうっ


子供ーーー!
って心の中で叫びました。笑

そうか…綾辻さんの作品では「子供は殺されない」というメタ読みは通用しないのね。



それから読み進めること、序~中盤。


ナースコールに呼ばれて駆け付けた看護師・沙也香は、切り開かれた死体の腹へ頭を真っ逆さまに押し込まれるという、なかなかアクロバティックな格好でお亡くなりになりました。

アナザー(アニメ版)のブリッ死の原型かな。


あと、美砂子の世話をしてた看護師・泰子は、あらすじでも書きましたがなかなかの美人だそうです。

それなのにあんな殺され方をするなんて…

きちょまん…
(ヤメナサイ)



白河家のお手伝いさんである満代は作中で何度か「初老のお手伝い」と表現されてました。

そのせいでずっと60代のおば様を想像してたのですが…54歳だったんですね。


54歳を初老と呼ぶのは少々、可哀想では?

ただそこは時代の違いもあるんでしょうかね。


サザエさんの波平も54だし…

どう見ても70手前なんだよなぁ。



啓一郎が眠れないからと薬に頼ったのは翌朝に手術を控えてたからなのですが、その啓一郎が死んで、手術予定だった患者は大丈夫なのでしょうか。
そう思うと、場合によっては殺人鬼の凶行による二次被害もありそうですよね。



そんでもって今回、なんと殺人鬼の正体には途中で気付くことができました!

まず「誠二郎が死んだ」とか「死体は誠二郎である」とか、地の文で明言されてませんでしたから。その点は最初から猜疑心むき出しではありました。


ただ、靴の件には気付けませんでした。
あんなにはっきりと書いてあったのに。


にもかかわらずどうして見抜けたかというと、またしてもメモを取りながら読んだので該当部分を挙げますが、

・午後4時頃、パトカーと救急車のサイレンの音が鳴る
・美砂子が病院に運ばれたのは午後5時頃
・"夕方に救急車で運ばれてきた患者"を見た冬木いわく「顔中に重度の火傷を負い」「男なのか女なのかもわからなかった」→美砂子が火傷を負ったのは全身。この急患って美砂子なのかなぁ

という全く見当違いの深読みをしてしまったからなのです。


つまり、

 

美砂子の他にも搬送されてきた者=曾根崎がいた。
そして意識を回復して誠二郎の病室へ向かったところを誠二郎に殺された。

…のだと思ったのです。

けどそれだと職員の冬木を殺して忍び込んだことに説明が付かないし、冬木が殺されてる時点で破綻した推理だったんですよね…
(実は沼にひそんでた殺人鬼も忍び込んでた!って展開なら別ですが、冬木の死体の損傷が比較的少ないことから殺人鬼の犯行じゃないのは明らかですし)

小五郎のおっちゃん並の推理力です。



という訳で綾辻さんと私の勝負は、一敗一引き分けという戦績になったのでした。

くやしい…!
(ビクンビクン)



それにしても、頼りなかった少年が姉を守る為に殺人鬼に立ち向かっていくという姿はヒロイックでした。

真実哉少年にはイライラさせられることも何度かありましたが、そこは小学4年生ですからね。
充分、頑張った方だと思います。

お姉ちゃんにはイライラさせられただけですが。


でも最後に殺人鬼の生首を沼に投げ捨てたのは間違いじゃなかったのかなぁ…笑



本作は巻末に解説が収録されてるのですが、そこでアナザーのメディア展開にも触れられているので、私からも蛇足として一言。


Anotherに映画なんてなかった。いいね?

(以前、映画版アナザーのレビュー動画があったんだけど、あれペニーワイズの嘘字幕本家の人の動画だったんだね…消されてて悲しい)




以上、『殺人鬼――逆襲篇』ネタバレ感想でした。