上高地のホテルでは洗面所の蛇口から出てくるお水をそのまま飲むことができる。

自宅の蛇口のお水だってそのまま飲むこともできると言えばできるのだが、カルキ臭も去ることながら、美味しくないのでクリンスイを使っている。

蛇口に取り付けるだけの簡易的なものだが、なかなかいい感じにお水が美味しくなる。

 

でも、上高地のお水はそれはそれは美味しかった。

清らかというか、波動が素晴らしい。

身体が喜んでいるのがわかる。

このお水が蛇口から出てくるなんて、なんて恵まれてるんだろう。

いや、上高地じゃなくったってお水は本来清らかなものだったろうに、そうじゃなくしてしまったのは私たち人類。。。
 

星降る夜空だって今じゃ滅多に見られなくなってしまったけれど、本来どこでも見られたはずで、そうじゃなくしてしまったのも私たち。

そう思うと悲しくなってしまった。

 

もっと地球の素晴らしさを感じたい。

そうだ。

これからは、自然の豊さを発見しながら、感謝して進んでいこう。

上高地のホテルでそんな決意をした私だった。

 

ホテルを出発してから、梓川沿いの道を明神池に向かった。

8時半頃だった。

熊が目撃されたから注意しましょうと、6日前の日付で看板に書かれている。

が、周りには誰もいない。

熊鈴を激しく鳴らしながら、後ろから誰か来てくれないかな、なんて思いながらゆっくり歩いていた。

暫くするとだんだん人を見かけるようになり、ホッと胸を撫で下ろした。

ところどころ、視界の開けたところで景色を楽しんだり、写真を撮ったりしながら進んだ。

平坦な道と聞いていたが、意外にアップダウンのあるところがあった。

景色を楽しみながら歩いたので、思ったより時間がかかった。

 

穂高神社奥宮に参拝してから、明神池へ。

神の山、明神岳。

動画で見て、いても立ってもいられなくなってここまで来た。

 

明神橋より先はトレッキングシューズを着用していないと通れないと看板があった。

人もグッと少なくなる。

 

徳沢に着くと、テントがいくつか並んだ先に赤い屋根の山小屋が見える。

山小屋に喫茶店もあったのだが、列をなしているので周辺で一休み。

昨夜の雨で洗われて空気が澄み渡って気持ち良い。

登山装備をした若い男性のグループが、下山途中に休んでいるようだった。

登山した人たちの達成感が伝わってくる。

 

バスの時間があるので、もう引き返さなければ。

次に来るときは、この山小屋にも泊まりたいな。

そして、自然の豊さをもっとゆっくり味わいたい。

 

 

 

2025年の上高地は昨日閉山したようだ。

私が上高地に行ったのは1ヶ月前だが、今は穂高も雪化粧していて、夜は凍りつくような寒さの様子だ。

山の冬の訪れは早い。

 

来年もまた行こう。

新緑の頃に。

 

 

 

早朝の上高地を散策したかったのだが、女性の一人歩きはどう考えても熊が怖い。

そこで、事前に調べておいた上高地ホテル白樺荘の早朝ガイドツアーに参加申し込みをすることにした。

所要時間は1時間。

参加料1,000円。

ホテル宿泊者でなくとも参加可能。

 

夜中に星降る夜空の観察なんかしてたのでちょっと寝不足だったが、6時5分前に白樺荘の1階に集合。

山々は朝靄に包まれていた。

ご一緒したのは母娘で参加された方と、ホテルの従業員の女性の方。

ガイドさん含め総勢5人のオール女性部隊でいざ出発。

各自が熊鈴をつけてチャリチャリと音を鳴らしながら、河童橋周辺や小梨平キャンプ場などを歩いた。

 

周囲の山が花崗岩でできているため崩れやすいことや、土砂の流入で大正池がだんだん小さくなってきていること、大雨で道路が崩落して上高地が孤立したことがあり、バスが通れる場所まで観光客が歩いたというお話もしていた。

ここは大自然の脅威と常に隣り合わせでもあると感じた。


どこをどう歩けばいいのかもわからなかったが、熊の恐怖もなく安心して散策することができた。

途中、大きな水溜りができていたり、ぬかるんでいたりしたので、トレッキングシューズで来て大正解だった。

モンベルで試着した時は底が硬いことに馴染めなかったが、色々試して納得のいくものを買うことができた。

平坦だからトレッキングポールは要らないだろうと思っていたが、足下が良くなかったので持ってくればよかったと思った。

歩いているうちに靄が晴れてうっすらと山々が見えてくる様が嬉しかった。

徳沢まではハイヒールでも行けるくらい平坦で2時間あれば行けるとガイドさんが教えてくれた。

大正池も行きたかったが、予定変更。

ホテルに戻って朝食を食べた後、3度目の入浴を楽しんでから荷物をバスターミナルに届けてもらう手配をし、明神池と徳沢を目指してホテルを出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二十代の頃に一度上高地に行ったことがある。

日帰りだったので河童橋周辺だけ散策したのだけれど、山々の美しさ、梓川の清らかな流れ、空気の透明感、もう何もかもが特別なものとして深く心に刻み込まれている。

 

その後結婚して出産・育児を経て、後に大きく体調を崩した時にパニック症候群のようになり、長距離の移動不自由人になった。

その後に少しずつ回復してきて、電車にも乗れるようになったし、仕事にも行けるようになった。

時折河童橋周辺の混雑の映像を見ては、あんなに混んでるし、遠いからもう二度と行けないけど、普通に生活できるだけで十分ありがたいし、バラのお世話も楽しいし、上高地に行けなくても特に支障はないと考えていた。

 

昨年、広島に住む娘に子どもが生まれた。

長時間新幹線に乗るのは怖かったのだが、娘のそばで手伝ってあげたいと思い、フラワーエッセンスや電磁波防止グッズを駆使して、無事に行くことができた。

 

二度目に広島に行った時は、娘と婿殿の勧めで厳島神社に行った。

厳島神社の本殿で手を合わせたら、娘と孫のために何かしなければ!という激しい衝動が私を突き抜け、訳もなく涙が溢れてきた。

具体的に何をすればいいのかは全くわからなかったが、その次に厳島神社に行った時に、頂上に不思議な巨大石がある弥山に登る決意をした。

決意というのは、私は高所恐怖症でもあるのでロープウェイは恐怖だったのだが、並木さんから教わった統合の手法で、乗っている間に冷たく震える手でずっと統合をしていた。

登山は思ったよりきつかったが、山頂の眺めは素晴らしく、神の山の名に相応しい、素晴らしいエネルギーが流れていた。

そして、下りのロープウェイでは全く怖さを感じなかった。

不思議な体験である。

 

 

 

一度行けたので、その後も何度か娘の家と宮島に行くうちに、私の中に眠っていた旅に行きたい精神がむくむくと大きくなっていった。

「お母さん、直島って知ってる?」と娘が私に聞いたのをきっかけに、別の人からも直島の話を二回聞くに至り、これは直島にも行かなければ!と思うようになった。

便利な世の中になったもので、YouTubeで直島の旅紹介動画を見ていたら、上高地の動画が候補に上がってきた。

 

ああ、私の憧れの地、上高地!

 

動画は若い女性の一人旅で、夜行バスで上高地に行って河童橋近くのホテルに一泊するというもの。

バスターミナルに早朝到着し、梓川沿いを散策しながら紹介しておられた。

早朝の上高地の神々しさは格別で、夢中になって見入った。

そして、新緑の美しい明神岳が画面に映し出された時、なんとも言えない感覚になり、涙が溢れてきた。

 

上高地に行きたい!

 

急に思い立ったので、ホテルの手配や、旅の工程組みや、特急の手配や、バスの予約や、仕事の休みの調整に手間がかかったが、何とか10月に一泊で行けることになった。

熊鈴も買った。

レインウエアもトレッキングシューズも買った。

突貫工事で色々な準備をした。

あとはお天気だった。

 

出発の朝、天気は曇り。

朝6時に家を出る。

松本から高速バスに乗り、上高地へ。

少し色づき始めた木々を車窓から眺めながら、隣に乗り合わせた女性と話が弾んだ。

私は明神岳まで行くコースを想定していたが、その先の徳沢までほぼ平坦で歩いていけると彼女から聞いた。

途中で雨が降り出した。

 

上高地のバスターミナルに到着。

河童橋まで歩いていく。

お焼きとマロンパイを買って昼食とする。

雨が降っていても梓川は澄んでいて美しい。

ホテルに荷物を預けてから、河童橋周辺の散策をしよう。

ついに来た。

憧れの地、上高地。

 

だんだん雨が強くなってきたので、ホテルのチェックイン時刻まで五千尺ホテルのラウンジで休憩することにした。

雨降りで大勢が避難してどこのカフェも混み合っている。

暫く並んでから窓を眺める席に座ることができた。

シャインマスカットのショートケーキとコーヒーをいただく。

清らかな上高地の水で淹れたせいか、コーヒーがとても美味しい。

 

ザパークロッジホテルにチェックイン。

部屋はリニューアルされていて、シンプルで綺麗。

トイレはあるがバスルームはない。

大浴場に行くと、上高地の澄んだお水で沸かしたお湯はとても心地よかった。

夕食はブッフェ形式。

どのお料理もとても美味しかったが、食べ過ぎ注意(笑)

 

夜の景色を見たり、瞑想したりして時間を過ごした後に早めの就寝。

だが、午後に飲んだコーヒーのせいか、夜中に目が覚めてしまった。

なかなか寝付けない。

夜中に雨が止む予報だったが、雨垂れの音がしている。

まだ降っているの?

そう思って窓を開けると、空にはこぼれんばかりの星、星、星。

 

急いで着替えて、ホテルの懐中電灯と熊鈴を持って外へ。

外に出ると木々の向こうは暗黒の世界。

みな寝静まっている時刻なので、熊鈴を鳴らして歩くのも憚られるし、熊鈴を鳴らさずに歩くのは恐怖である。

 

というわけで、すぐに部屋に戻った。

部屋に戻って寝巻きに着替え、窓から星空を観察していたら、明るい流れ星がすーっと流れて、一際明るくなってから消えていくのが見えた。

 

明日はお天気になるかな。