ザザー ザザー ザザー ザザザザー 雨の降る夜
ブリリュン ブリュン ブリュン ワイパー全速力
クソっ! 散々 接待麻雀に徹してツマラン思いして
最後の最後で天和上がっちまった・・・・・
見逃せねぇ~ だろ!? 人生初だぜ
一流プロだって 麻雀キチガイだって 上がれないまま死ぬのが普通だ
そんくれーな 奇跡な訳だ・・・・・・・・・・・
くー 我慢出来なかった・・・・
向いてねーのかな 今の仕事・・・・・・・・・
スササササ うわぇあ!!! ブレーキを踏むが 間に合わず
ドカッ! 慌てて 思いっきり踏み込み直し スピン
やっちまった ・・・ 俺の 人生 終わった・・・・・・・・
天和上がるんじゃなかった 全ての運を使い果たしたんだ・・・
クソ・・・クソ・・・クソ・・・ !!! ハッ! 死んだとは限らない
ドアを開け 降りた 田舎だから真っ暗だ 車の向きを変え
ライトで照らす 何もない 轢いたはずだ・・・・
車は へこんでる 田舎道だから 草木が生い茂っている
俺は 痕跡を探した もしかしたら 気が動転していて
人でも動物でも無く 何か物と衝突しただけだったのか?
自分の車のフロント部分の部品が落ちてた付近を更に調べてた時
キューン キューン 何かが鳴いてる 動物かな?
か細い鳴き声だ もしかして 動物を轢いたのかな
動物好きな俺は 自分が轢いてしまったのかもと思っただけで
足が震えてしまった 勇気をだして 草木をかき分けると
手の平サイズの動物の赤ん坊が、びしょ濡れで震えていた
慌てて車まで運びエアコンを全快にした
結局 何と衝突したかは解らなかった 田舎道を後にして
そこから高速で2時間程度で やっと家に着いた
警察に届け出をだすべきだったかもしれないが
精神面で逃げてる自分が居たし 人は轢いてないと思えたからだ
万が一にも人を轢いたなら あれだけ探せば痕跡や人を発見できたはず
自分にそう言い聞かせた
それより この子を部屋に連れ帰って 元気な状態にしてから
また あの田舎道らへんに逃がしに行かないとな 俺はそう考えていた
キュキュキュ キューン キュ 可愛いな 何の動物の子だろう・・・
今思えば その時に何故 何の動物か調べようと思わなかったんだろう
俺は もう 俺じゃない あの頃の俺には 戻れない
第一話 終わり