トゥガン・ソヒエフさんがN響定期に客演するコンサートを聴きに行きました。色彩感豊かなプログラム、とても楽しみです!

 

 

NHK交響楽団第1904回定期演奏会Bpro.

(サントリーホール)

 

指揮:トゥガン・ソヒエフ

 

フォーレ/組曲 「ペレアスとメリザンド」

ブリテン/シンプル・シンフォニー

リムスキー・コルサコフ/交響組曲 「シェエラザード」

 

 

ソヒエフさんには一昨年の同じくN響との、プロコフィエフ/イワン雷帝が素晴らしかった思い出があります。今日はどうでしょうか?

 

(参考)2017.11.17 トゥガン・ソヒエフ/N響のプロコフィエフ/イワン雷帝

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12329305877.html

 

 

1曲目はフォーレ。第1曲〈前奏曲〉は優しい音楽、繰り返して高まっていく旋律にうっとりします。後半のホルン信号を聴くとゴローの角笛に加えて、ワルキューレ第1幕まで思い浮かべます(笑)。刷り込みというのは本当に恐ろしい…。第2曲〈糸を紡ぐ女〉はスルスルと奏でられるヴァイオリンに、くるくる回る紡ぎ車が目に浮かびます。そして、さまよえる…、いや、何でもないです(笑)。

 

第3曲は有名な〈シチリア舞曲〉。何と瑞々しく、そしてもの悲しい音楽!ドビュッシーのペレメリも見事だけどフォーレも本当に素晴らしい!第4曲〈メリザンドの死〉。荘重で悲しみの音楽。ソヒエフさんが振ると、どうしてこんなにも明晰な響きで雰囲気のある演奏になるのか?N響も好演、素晴らしいペレメリでした!

 

 

2曲目はブリテン。弦楽だけの曲です。第1楽章〈騒がしいブーレ〉。リズム感に溢れる音楽。途中でシベリウス/テンペストの「ミランダ」のようなリズムの音楽も聴こえてきました。第2楽章〈たのしいピチカート〉。ピチカートで演奏される音楽ですが、チャイコフスキー4番第3楽章よりも表情豊かなピチカート。途中でボーンと大きく弾(はじ)いたり、魅了されます。

 

第3楽章〈感傷的なサラバンド〉。心打たれる音楽と演奏!コダーイ/ガランタ舞曲の哀愁の音楽と双璧。コンマスのマロさんのノリがよくて弦がうなるうなる!素晴らしい演奏、そして名曲。第4楽章〈浮かれたフィナーレ〉。多彩な表情を見せる楽章。最後の間合いはウィットを利かせて見事。ソヒエフさん、やりますね!

 

「シンプル」というタイトルですが、内容は多彩。タイトルはジョークでしょうか?(笑)もっともっと演奏されていい曲のように思います。

 

 

 

後半はリムスキー・コルサコフ。第1楽章。冒頭のマロさんのたっぷり歌うソロ!ハープの合いの手も雰囲気があってとても魅了されます。ソヒエフさんは速めのテンポですが、ここぞというところはたっぷり。非常に聴き応えあり。第2楽章。溜めたり走ったり、ファゴットのニュアンスに溢れたソロ!もったいぶったトロンボーンとセカセカしたトランペットは人物の描写のよう。リズミカルで迫力もたっぷり。

 

第3楽章。冒頭の旋律は上ずり気味のヴァイオリンがたまらない!感動のあまり涙が溢れ…。何と素敵な旋律なんでしょう。この旋律を聴くと昨年に観たハンブルグ・バレエ団のニジンスキーの公演を思い出します。ニジンスキーと妻ロモラの出逢いと愛を深める場面で使われていた音楽。愛を仲立ちする白黒模様で独特なポーズの牧神!(笑)

 

(参考)2018.2.12 ニジンスキー(ハンブルク・バレエ団/振付:ジョン・ノイマイヤー)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12352910036.html

 

第4楽章。ここは緊迫感と迫力の進行。ラストのスペクタクルな場面も見事。都響のトゥッティも素晴らしいですが、N響のトゥッティも感動的ですね!

 

 

 

N響会心の名演!大いなる感動!ソヒエフさんの明晰で各楽器がよく聴こえて、かつテンポの揺れやドラマティックさも持ち合わせた見事な指揮!N響はステファヌ・ドゥネーヴさんといい、素晴らしい指揮者を見つけますね。次のベルリオーズ/イタリアのハロルドが聴けるAプロも非常に楽しみです!