今年2019年の都内のオケの聴き始めは大野和士さんと都響のコンビとなりました。パトリツィア・コパチンスカヤさんのヴァイオリンも楽しみです!

 

 

東京都交響楽団第871回定期演奏会Bser.

(サントリーホール)

 

指揮:大野和士

ヴァイオリン:パトリツィア・コパチンスカヤ

 

シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲

ブルックナー/交響曲第6番イ長調

 

 

 

今年最初の都内のオケの聴き始め、ということで、昨年同様に、本ブログのコンサートの記事の基本的なスタンスを以下に書きます。

 

 

◯コンサートを聴いた個人的な感想や思い出の記事です。決して批評ではありません。

 

◯自分が後から見返して、どんな演奏だったのか、演奏からどんなイメージを思い浮かべたのか、思い出せるように書いています。申し訳ありませんが、他の方が見て分かりやすいかどうかはあまり気にしていません。

 

◯その演奏にどんな特徴や工夫があったのか?どんなオリジナリティがあったのか?などを感じ取りたい、汲み取りたい、とポジティブな観点から書いています。

 

◯批判的なことはできる限り控えようと思います。理由はアーティストに敬意を表したいから。そして、自分自身が楽器(ピアノ)をやっているので、演奏行為というものがどれだけ難しいものか、身にしみて分かっているからです。無責任にはなりたくありません。もし今一つと感じた場合、暇じゃないのでそもそも記事を書きませんが、昨年は沢山聴いた中で、3回しかありませんでした。 

 

◯いいねをもらいたくて書いていません。忙しいので、最近は他の方の記事を見たり、いいねを付けることもほとんどしていません。アメブロを訪問する時間は1日のうち、記事を書くタイミング、夜の10分のみです。

 

承認欲求をネットに求めてもそれは仮想の空間で非常に脆くて虚しいもの。何よりも大切なのはリアルな実生活を充実させること、と考えます。

 

ただし、そんなスタンスの私の記事であっても、いいねをいただいた方には心より感謝します。本当にありがとうございます。

 

◯昨年の思い出として「東京のオーケストラの素晴らしさ」の記事を書きました。年末年始にニューヨークを旅行して、ニューヨーク・フィルの定期演奏会(指揮は我らがパーヴォ・ヤルヴィさん!)で素晴らしい演奏を聴いてきたばかりですが、同時に年末に書いた記事についての自信も深めました。

 

どうしてなのかは今後のニューヨーク・フィルのコンサートの記事の中で披露できればと思いますが、これまでいろいろな海外のオケの定期演奏会(来日公演ではない)を現地で聴く機会に恵まれてきたことは、私が東京のオケについてより客観的な耳で聴くことのできる、一つの大きな強みだと思っています。

 

(参考)2018.12.22 2018年の思い出(東京のオーケストラの素晴らしさ)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12427572506.html

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12427573758.html

 

 

 

さて、それでは今日の演奏です。昨年、メシアン/トゥーランガリラ交響曲を始め数々の感動的な素晴らしい演奏を聴かせてもらえた大野和士さんと都響。今日はどうでしょうか?

 

 

前半はシェーンベルク。ヴァイオリン協奏曲は非常に厳しい雰囲気の曲。私、ヴァイオリン協奏曲の中では、ベルクのヴァイオリン協奏曲が最も好きな曲で、非常にロマンティックだと思っていますが、シェーンベルクの方は一見似ているようで、かなり手強い曲です。また演奏するのも難曲として知られ、実演を聴くのは今回が初めてです。果たしてどうでしょうか?

 

(参考)2018.1.7 ダニエル・ハーディング/イザベル・ファウスト/シュターツカペレ・ドレスデンのベルク/ヴァイオリン協奏曲

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12358384165.html

 

 

第1楽章。冒頭のヴァイオリンとオケとの対話のようなやりとり。しかし、すぐに十二音技法の音楽となります。コパチンスカヤさんが背伸びをするように何度も弓を勢いよく上に弾き上げていたのが印象的。こういう現代的な音楽は明晰な演奏が大切だと思いますが、都響のクリアな伴奏が素晴らしい!

 

第2楽章。この辺りから、そこそこ聴き易くなってきます。ヴァイオリンのソロにフルートの掛け合いが雰囲気あり。跳ねてフォルテになるところはベルクに似てますね。墓場で魑魅魍魎が奇っ怪な踊りを踊っている音楽の印象を持ちます。

 

第3楽章。冒頭からのオケだけの場面はかなり皮肉な雰囲気の音楽ですが、大変聴き応えあり。盛り上がってドラが鳴った後に続くヴァイオリン独奏の凄みにも大いに惹き付けられます。ベルクには大いにロマンティックさを感じますが、シェーンベルクにはひたすら不条理さを感じます。後半はかなり盛り上がり、最後はコパチンスカヤさん、弾けるようにして終わりました!

 

 

いや~、新年早々凄い演奏を聴きました!難曲を見事に弾き切ったコパチンスカヤさん!見事な伴奏の都響も素晴らしい。コパチンスカヤさん、両手を大きく広げて都響に拍手をしていましたね。アーティスト同士が称え合う光景はいいものです。

 

シェーンベルク、初めて実演を聴くことができ、まだベルクほどは掴めていないものの、かなり耳に馴染んできました。やはり実演を聴くのは大切ですね。

 

 

 

後半はブルックナー。6番はスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ/読響、リッカルド・ムーティ/ウィーン・フィル(ザルツブルク音楽祭)などなど、思い出に残る演奏に接する機会の多かった曲です。今日はどうでしょうか?


 

第1楽章。冒頭から速めで急ぎ足の演奏。この楽章はブルックナーがスイスへ汽車旅行をした印象が随所に現れている、と私は考えているので、旅に心躍る期待感を大いに感じ取りました。大野さんは随所で強弱を中心に繊細なニュアンスを付けた指揮。とてもいい感じです。

 

展開部の段々上昇していく場面は本当に好き!そして2回目の第2主題の後に大きめのルフトパウゼ!後の金管による厳しめの音楽への切り替えを、大きく付けたように感じました。

 

コーダ前はオーボエの裏旋律の方を強調、普段と異なる入りの印象です。金管が輝かしい場面は強弱をハッキリつけて、あたかも山や谷に差す太陽の光の陰影をくっきりと付けているかのよう。ラストはややたっぷり目に終わりました。第1楽章、いいですね!

 

第2楽章。冒頭からの深々とした弦!降りてくる旋律のヴァイオリンの繊細な弱音の響きに魅了されます。そして第2主題。サントリーホールに響き渡る、都響による極上の第2主題!ただただ至福の時間です。

 

そして旋律の最後の方では、弱音でゆっくり2拍子で降りていっていたのがとても印象的。まるで、力なくため息をつきながら、厳粛な第3主題を迎えるかのよう。その第3主題も非常に味わい深い。やはり第2楽章はしみじみいい音楽ですね。

 

第3楽章。低弦の推進力が心地良い第1主題。高原でちょっとひと休み、といった感じののどかな雰囲気の第2主題もいいですね。第1主題に戻る場面で、大野さん、味わいのあるニュアンスを付けていて素敵でした。

 

第4楽章。いよいよフィナーレ、ということで、ここは都響の金管群が活躍して充実の響き。ラストは信じられないほど壮大になって、みなを唖然とさせた(笑)スクロヴァチェフスキさんほどではないですが、大野さん、たっぷり目の終わらせ方でした。

 

 

大野和士さんとパトリツィア・コパチンスカヤさんと都響のコンサート、新年からいいもの聴けた!、と非常に豊かな印象のコンサートとなりました。何よりサントリーホールで聴く都響サウンドは極上です。今年もよろしくお願いします!

 

 

 

 

(写真)昨日のウィーン・リング・アンサンブルの記事の流れで(笑)、ウィーンの市立公園のブルックナー像