ドイツのソプラノ、モイツァ・エルトマンさんのリサイタルを聴きに行きました。

 

 

モイツァ・エルトマン ソプラノ・リサイタル

(紀尾井ホール)

 

ソプラノ:モイツァ・エルトマン

ピアノ:ゲッツ・ペイヤー

 

メンデルスゾーン/歌曲 

新しい恋Op.19a-4

二人の心が離れてしまえばOp.99-5

ズライカOp.34-4

恋する女が書いていることOp.86-3

葦の歌Op.71-4

Op.68-5

ズライカOp.57-3

歌の翼にOp.34-2

初めてのすみれOp.19a-2

挨拶Op.19a-5

花束Op.47-5

春の歌Op.47-3 

 

モーツァルト/歌曲 

満足KV349

すみれKV476

寂しい森の中でKV308

魔法使いKV472

ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いたときKV520

静けさはほほえみつつKV152

歓喜に寄すKV53

春へのあこがれKV596

ラウラに寄せる夕べの想いKV523 

 

モーツァルト/コンサート・アリア 

さらば我が麗しの恋人~とどまれ、いとしき人よKV528

 

(アンコール)

メンデルスゾーン/6つのリートOp.71より第6曲 夜の歌

モーツァルト/歓喜に寄すKV53

 

 

モイツァ・エルトマンさんはこれまで3回聴いています。特に2014年のザルツブルク音楽祭、R.シュトラウス/ばらの騎士のゾフィーは歌といい、容姿といいピッタリな役でとても魅了されました。今日のメンデルスゾーンとモーツァルトの歌曲も楽しみです。

 

(参考)2014.1.25 ファビオ・ルイージ/N響のカルミナ・ブラーナ

https://ameblo.jp/franz2013/entry-11768723892.html

 

(参考)2014.8.17 R.シュトラウス/ばらの騎士(ザルツブルク音楽祭)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-11918058738.html

 

(参考)2017.10.14 下野竜也/N響のモーツァルト&ベルク

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12319773248.html

 

 

 

前半はメンデルスゾーン。そう言えば、メンデルスゾーンの歌曲だけをまとめて聴くのは初めてかも知れません。モイツァ・エルトマンさんは素晴らしい金髪が映える白いドレス、ほとんど女神さまのようです。

 

1曲目はメンデルスゾーンにしては神秘的な雰囲気な曲、歌詞にある白馬のリズム。2曲目は「いちどは愛し合った、ふたつの心が離れると、いかにもつらい」と歌う歌詞が切ない。3曲目のズライカはゲーテ詩集では結構ページを割いて出てくる詩ですが、何と実はゲーテではなく恋人のマリアンネ・フォン・ヴィレマーの詩とのこと!最後の長調への転調に魅了されます!

 

4曲目は「あなたの口づけが、私の唇をおおう」「ほかにどんな喜ばしいことがありましょう?」の歌詞に大いに共感。5曲目は最後の長調にも痺れます!6曲目は月の歌、エルトマンさんの迫力の歌の瞬間。7曲目は再びズライカ。今度は最初から明るく、前向きなエネルギーを感じる歌。

 

8曲目は「歌の翼に」。うん、この曲は有名な曲、聴いたことがあります。流れるようなピアノにエルトマンさんの透明な歌声がマッチして見事。何となくローレライに似ていますが、歌詞に出てくるのはガンジス川です。

 

小品2曲を経て、11曲目は盛り上がる明るい歌、12曲目は「春の歌」だったんで、てっきりピアノ曲で有名なあの「春の歌」に歌が付いた曲、と思いきや、全く別の曲でした。生への喜びに満ちた歌。エルトマンさんによる、素晴らしいメンデルスゾーンでした!

 

 

 

後半はモーツァルト。この土日からドン・ジョヴァン二 → バスティアンとバスティエンヌ → 劇場支配人 → 歌曲、とモーツァルトが続いて嬉しい限り。

 

1曲目は清々しい曲。2曲目はゲーテの詩も有名なスミレ、切ない歌ですね。3曲目はフランス語の歌。エルトマンさんはフランス語も見事、最後の方のキューピッドの描写は、ただいま「喜びの島」を練習中の身には萌えスポット(笑)。4曲目は魔法使い、日曜に観たバスティアンとバスティエンヌの魔法使いコラを連想します。

 

5曲目は曲想としてはベートーベンを思わせる曲。6曲目は短い歌詞だけど非常に雰囲気のある曲。7曲目は凛として透明感ある曲、エルトマンさんの歌声にピッタリです。8曲目はピアノ協奏曲第27番第3楽章に似た旋律。春らしい音楽と歌詞がマッチして素敵な曲。

 

9曲目は先週土曜日に観たドン・ジョヴァンニと同じ年に書かれた曲。素晴らしい曲を聴きながら、歌詞の「すみれを摘んで我が墓標に供えたまえ」「涙のひとしずくで私を清めてほしい」という歌詞が心に刺さります。自分が死んでお墓に眠った時に、家族や親戚以外で弔ってくれる人がいるだろうか?いや、周りの人たちを励まし続けてきて、それなりに慕われてもきた人生。このまま進んでいきましょう。

 

最後は演奏会用のアリアですが、モーツァルトのオペラのアリアの数々と比較しても、抜群に素晴らしい!力強い面も見せてくれたエルトマンさんの歌を堪能しました。アンコールの2曲もとても良かったです!

 

 

モイツァ・エルトマンさんのリサイタル、とても楽しめました!会場は歌のリサイタルにしては男性が非常に多くて、おそらくエルトマンさんの美貌に惹かれた方も多いと思います。私もその美貌に惹かれない訳ないですが(笑)、それ以上に、エルトマンさんのヴィブラートの少ないピュアな歌が好きなんです。その良さが良く出ていたと思うメンデルスゾーンとモーツァルトのプログラム、至福の2時間でした!

 

 

 

(写真)会場で購入したモイツァ・エルトマンさんのモーツァルトを中心とした曲のCD。透明な歌声はモーツァルトの何を歌っても素晴らしいと思います。サインをいただく際に、「ザルツブルク音楽祭のばらの騎士のゾフィーは最高でした!」と伝えたら、「ありがとう!」と笑顔。またオペラでも観てみたいです。