カール・オルフ2連発、特に珍しいカトゥリ・カルミナに惹かれ、N響のコンサートに。オルフの野性的なリズムに呼応して、熱く感動的なコンサートになりました!


  NHK交響楽団第1774回定期公演(NHKホール)
  指揮者:ファビオ・ルイージ
  ソプラノ:モイツァ・エルトマン
  テノール:ヘルベルト・リッパート
  テノール:ティモシー・オリヴァー
  バリトン:マルクス・マルクヴァルト
  合唱:東京混声合唱団、東京藝術大学合唱団
  児童合唱:東京少年少女合唱隊

  オルフ/カトゥリ・カルミナ
  オルフ/カルミナ・ブラーナ


 1曲目のカトゥリ・カルミナは通常のオケでなく、ピアノ4台と数多くの打楽器による構成。曲想はカルミナ・ブラーナに似ていますが、楽器の構成がそうなので、より原始的なリズムが強調される印象を受けました。それにしても歌詞が赤面もの(笑)、非常にユニークな曲でした。

 休憩後はカルミナ・ブラーナ。野性的なリズム、大迫力の合唱、と本当に感動的なカルミナ・ブラーナとなりました!ここ数年のN響のコンサートで最高の出来だったのではないでしょうか?

 その最大の立役者は何と言ってもファビオ・ルイージさん。早めの引き締まったテンポでオケと合唱を統率し、でも聴かせどころではたっぷりやって、それがことごとく決まって、感動の嵐でした!この曲は、特に1曲1曲の締めのところが緩いと締まらなく散漫な印象を持ちますが、ルイージさんはイタオペのストレッタよろしくピシッと締めて、そして絶妙のタイミングで次の曲に移るので、1時間もかかる大曲なのに、あっという間に聴き終ってしまった、という印象でした。

 ソリストでは、テノールのティモシー・オリヴァーさんの焼かれる白鳥の悲哀の歌がちょっと芝居がかって雰囲気があり、とても良かったです。カルミナ・ブラーナはここを大人しく普通に歌っては味が出ないと思われ。美貌のソプラノで売出し中のモイツァ・エルトマンさんは初めて聴きましたが、澄んだ綺麗な声で高音も的確、実力派だと思いました。

 そして、この公演を大成功に導いたもう1つの要因が、合唱です。メリハリのついた力強い合唱で、本当に素晴らしい。児童合唱もよく聴こえてきて、楽しそうだったくらい。ルイージさんも日本の合唱のレベルの高さにきっと感動したのではないでしょうか?

 この日はN響では珍しく、オケ、合唱が舞台から楽屋に下がった後も拍手が鳴り、ルイージさんが再度ご挨拶に出てこられました。それだけ感動的なコンサートだったと思います。