明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
2017年の夏の旅行の冒頭の行き先、エーベルバッハ修道院(ドイツ)は、映画「薔薇の名前」がきっかけでしたが、「薔薇の名前」の主人公ウィリアムと行動を共にする見習い修道士アドソは「メルクのアドソ」。貴重な書物を多く有するメルク修道院(オーストリア)に敬意を表し、メルク修道院の出身、としたものです。
(参考)2017.8.10 映画/薔薇の名前
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12300437873.html
(参考)2017.8.11 エーベルバッハ修道院観光
https://ameblo.jp/franz2013/entry-12303833743.html
ならば、素晴らしかった映画に再び敬意を表し、メルク修道院にも行ってみたい!ということで、この冬の旅は、夏に引き続き「薔薇の名前」にちなんでメルク修道院からスタートします。
(写真)バロックの宝石、メルク修道院。手前はメルクのまち、後ろを流れるのはドナウ川です。
メルクはウィーンから列車で1時間、ドナウ川沿いの人口5千人の小さなまちです。駅を降りると、高台にそびえるメルク修道院の雄大な景色が見え、正に壮観です。
メルク修道院は11世紀にバーベンベルク家のレオポルトⅠ世がベネティクト派の修道院をこの地に建立。18世紀に改築され、オーストリア・バロックの至宝とまで言われるほど壮麗な姿になりました。1770年にマリー・アントワネットがフランスに輿入れに行く途中、ここに泊まっています。
メルク修道院は11月~3月は11:00と14:00からのガイドツアーのみで見学可能です。そもそも部屋の数が500もある大修道院、自力で周っても目的の場所に辿り着くことなどできません。ガイドツアーでは、途中、メルク修道院の模型が出てきて、「さて私たちは今どこにいるでしょう?」という質問もありましたが、参加者は誰も分からず(笑)。
(写真)メルク修道院の図書室
※購入した絵葉書より。私は教会や美術館、コンサートホール、オペラハウスの中では写真は撮らないことをマイルールにしています。理由はそもそも禁止されていたり、マナー違反だったり、音を立てて迷惑だったりするからです。
メルク修道院の見どころの1つが10万冊の蔵書を誇る図書室です。もう壮観以外の何物でもありません!壁一面にズラッと並べられた蔵書やあざやかな挿絵の入った本、美しい装飾をしつらえられた本、雰囲気あり過ぎる地球儀などが飾られていて、もう圧巻でした!「薔薇の名前」のあの迷宮の図書館の感動がよみがえります。
(参考)メルク修道院の付属教会
そしてもう1つの見どころが修道院付属教会です。ヨーロッパ各地のいろいろな教会を見て周りましたが、壮麗さの密度という点では、この付属教会が最も充実しているかも知れません?荘厳な造り、華麗な装飾、卓抜な天井のフレスコ画など、内容のぎっしり詰まった素晴らしい空間です。祭壇はペテロとパウロの別れ。一番上の両脇にはモーゼとアロンも見えます。ガイドさんの話ではこの礼拝堂の中には何と3,000以上の天使がいるそうです。
ガイドツアーで面白かったのが、修道士たちが外敵から修道院の宝物を隠すための仕掛け扉のところ。以前に観光客の一人が「ここに私の妻を隠したいんですが?(笑)」と質問したそうです。そこで女性のガイドさんが何と答えたか?「いいですよ!」えっ!?そう答えちゃっていいの?
ガイドさんは続けました。「もちろん、いいですよ。なぜなら、奥さんは大切な宝物ですからね!」なるほど!絶妙な切り返し、こういうのはウィットに富んでいて本当にいいですね。
修道院の観光が終わり、駅に帰る途中に夕陽に照らされるメルク修道院の壮麗さにはうっとりしました。いつまでもこの美しい修道院を見ていたくなります。
(写真)夕陽に輝くメルク修道院
メルク修道院と映画「薔薇の名前」に敬意を表するとともに、人類の英知が詰まっている書物がいかに価値のあるものか、改めて実感できました!何かと忙しい毎日ですが、本もちゃんと読まなくちゃですね。今年はもっと意識したいと思います。
さてさて、ということで、冬の旅行記のスタートです。この後、どんなまちを周って、どんなコンサートやオペラ、絵画に巡り合うのか?乞うご期待!(続く)
(写真)メルク修道院のレストランでいただいたランチ。ヌードルと小肉がたっぷり入った修道院スープ(多分、修道士はパンとスープだけの食事だったりするのでスープの中身を充実させているものと推察)と、特産のアプリコットが中に入ったパラチンケン。どちらもめちゃ美味でした。
(写真)お土産でついつい買ってしまった(笑)、メルク修道院のアプリコットのリキュール(右)とエーデルブランド