9日(木)のブラームスとシューベルトが素晴らし過ぎたブロムシュテットさんとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の来日公演。そのもう1つの演目、メンデルスゾーンとブルックナーのコンサートを聴きに行きました。

 

(参考)2017.11.9 ヘルベルト・ブロムシュテット/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のブラームスとシューベルト

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12327066706.html

 

 

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

創立275周年記念ツアー

(サントリーホール)

 

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス

 

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調

ブルックナー/交響曲第7番ホ長調(ノヴァーク版)

 

 

この公演も9日(木)と同様、どちらの曲もライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が初演したものなんです。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は1845年にニール・ゲーゼ指揮/フェルディナンド・ダヴィッドのヴァイオリンにより(当初はメンデルスゾーンが指揮の予定でしたが体調不良で代役)、ブルックナー7番は1884年に、かのアルトゥール・ニキシュ指揮により(ニキシュが周到な準備をして、ブルックナーが交響曲で初めて成功をおさめた初演)。今回も、否が応でも期待が高まります。

 

しかも、ブロムシュテットさんのブルックナー7番は、この夏のザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルで聴いてきたばかりです!その時はハース版で今回はノヴァーク版。版の違い、オケの違い、ホールの違いなど、聴き比べが非常に楽しみです。

 

(参考)2017.8.20 ヘルベルト・ブロムシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のブルックナー7番(ザルツブルク音楽祭)

前半はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。第1楽章。カヴァコスさん、ブラームスの時と同じく、弱音を聴かせる繊細な演奏です。しかし、中間部の厳しい盛り上がりは迫力満点、カデンツァでは再び沁み入る弱音が素晴らしい。ラストはスピードアップ、追い込みが見事でした!

 

第2楽章。冒頭のオケの木管や弦の響き!あまりの美しさに陶然とします。あれっ!?第2楽章、こんなに美しい旋律でしたか?曲の魅力を再認識させてくれる素晴らしい演奏!中間部は迫力の響き。そして再び魅力的な第1主題、もうとろけまくります。カヴァコスさん、少しポルタメントをかけて、ますます魅惑的な音色に。もうたまりません!第3楽章は曲調通り、勢い良く歯切れの良いヴァイオリン。オケとの掛け合いも見事。とても素敵な演奏でした。

 

何この曲の魅力を改めて教えてくれる素晴らしい名演!

 

自然で聴き応え十分のメンコン、特に第2楽章の素晴らしさを再認識できた、類い希なる演奏でした!

 

 

後半はブルックナー7番。ブロムシュテットさんの十八番のブルックナー7番。ザルツブルク音楽祭に続き、またしても超絶の名演となりました!ウィーン・フィルとの演奏は見事なまでに自然体でしたが、この日の演奏は、基本的には自然体でありつつも、よりニュアンスが込められていた感じ。甲乙つけがたい名演となりました!

 

第1楽章。自然体ですが第1主題の2回目後半をたっぷり歌ったり、時折ルバートも聴かれたり、ウィーン・フィルの時よりも意識的な指揮です。後半に第1主題が戻るところでは、チェロの幽玄な響きだけでなく、ティンパニもそれなりに叩かせて、全体として盛り上がっていました。ラストはザルツブルクの時よりアッチェレランドを掛け、速い終わり方。ノヴァーク版だから?

 

第2楽章。ウィーン・フィルと異なり、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の方がより厳しめの重厚な響きがするので、サントリーホールの豊かな残響も相まって、まるでライプツィヒの教会でオルガンを聴いているかのような印象を持ちます。バッハとの接近を非常に感じました。展開部は対旋律を強調していてとても新鮮な響き。3回目の第1主題の後の頂点は、ノヴァーク版にも関わらず、シンバルもトライアングルもなし!弾(はじ)ける瞬間に向け身構えましたが、点でなく面的に壮大な響きが広がり、びっくりしました!最後は葬送の音楽となりますが、楽章全体にそのような印象を持ったしだいです。

 

第3楽章は、ウィーン・フィルよりもより鋭角的、攻撃的な印象。第4楽章も第1主題の後をたっぷり歌ったり、第2主題に入る前で弱音から一気にフォルテに高めたり、コーダの前の金管をかなり強奏させたり、意欲的な指揮です。最後はゆったり悠々と進む感動のフィナーレ!ブロムシュテットさん、演奏が終わった後、20秒くらいタクトを降ろさず、音の余韻がサントリーホールの中を舞いました!

 

タクトが降ろされた瞬間、固唾を飲んで演奏に聴き入っていた聴衆からの、もの凄い数のブラボー!この特別な演奏会での、奇跡的な瞬間を観客全員で讃えます!ブロムシュテットさんもこころなしか、感動されていたように見えました。最後はいわゆる一般参賀、2回もありました!

 

 

心の底から感動、非常に素晴らしいメンデルスゾーンとブルックナーでした!ブルックナーの7番は、個人的にブルックナーの交響曲の中で一番好きな曲。ブロムシュテットさんの90歳の記念の年に、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で2回聴くことができたのは、とても貴重な経験で、一生の思い出になりました!ブロムシュテットさん、素晴らしいブルックナーを本当にありがとうございます!来年4月と10月に来日される時も、大変楽しみにしています!

 
 

 

 

(写真)ライプツィヒの聖トーマス教会。今日のブルックナーは、ライプツィヒ、教会、オルガン、バッハ。これらの言葉が自然と頭に思い浮かんできた演奏でした。

 

 

(写真)ライプツィヒのメンデルスゾーン・ハウス。春の季節に訪問しましたが、中からメンデルスゾーン/春の歌のピアノが聴こえてきて感動しました。