ヘルベルト・ブロムシュテットさんとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による来日公演を聴きに行きました。

 

 

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

創立275周年記念ツアー 横浜公演

(横浜みなみらいホール大ホール)

 

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット

ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス

 

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調

シューベルト/交響曲第8番ハ長調「ザ・グレート」

 

 

何度か書いたように、私は海外のオケの来日公演はチケットが高額になるので、かな~り吟味して行くようにしています。しかし、ブロムシュテットさんとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の来日公演のコンサートは、指揮者とオケの組み合わせを見ただけで、即決でチケットを取りました。ブロムシュテットさんが長年カペルマイスターを務めていた、相思相愛のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との来日公演、これはもう聴きに行くしかありません!

 

しかも、今回の曲目は、両方ともライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が初演したものなんです。ブラームスのヴァイオリン協奏曲は1879年にブラームス指揮/ヨーゼフ・ヨアヒムのヴァイオリンにより、シューベルト8番は1839年にメンデルスゾーン指揮により。歴史と伝統を感じ、否が応でも期待が高まります。

 

 

前半はブラームスのヴァイオリン協奏曲。第1楽章。冒頭のオーボエが上がっていくところ、湖に朝日の光がきらめき1日が始まるような、大好きな場面です。ブロムシュテットさんは弱音を効かせたり、アタックを強めたり、ザルツブルクより意識的な指揮。カヴァコスさん、第1主題に入る前の音楽を情感の込められた弱音の美しさ!大好きなシラソファミレドミレシシ♭ドシ~♪(参考動画の5:46~5:54)のところを弱音でタップリ歌ってくれて早くも涙が溢れます…。最近本当に早いなあ(笑)。

 

カヴァコスさんはとにかく弱音のニュアンスが素晴らしい。オケからは時々デモーニッシュな響きも。カヴァコスさん、カデンツァの後、これまた大好きな、第1主題から、ためらいつつラストを迎える流れ(参考動画の22:00~23:17)はもう絶品!最高の第1楽章!

 

(参考)パーヴォ・ヤルヴィ/ヒラリー・ハーン/hr交響楽団のブラームス/ヴァイオリン協奏曲

https://www.youtube.com/watch?v=UFl9xuYP5T8

※hr交響楽団の公式HPより

 

第2楽章は冒頭のオーボエが美しく、第3楽章はリズミカルな演奏。第1楽章ほどたっぷりではありませんでしたが、どちらも自然体の素敵な演奏でした。
 

何このさりげない名演!!

 

ブラームスのヴァイオリン協奏曲がいかに名曲であるかを、見事に伝えてくれる、素晴らしい演奏でした!

 

 

後半はシューベルトの8番。この曲は2007年にユベール・スダーン/東響の素晴らしい演奏を聴いて以来、実演を聴いていません。天国的な長さと言われる、ともすれば退屈に取られてしまう危険性のある難しい曲、という印象です。

 

第1楽章。冒頭のホルンは素朴な響き。ブロムシュテットさん、そのまま自然体にと思いきや、緊張感のある弱音をベースに、細やかにニュアンスの付けられた、非常に引き込まれる演奏です!フォルテに向かい勢いをつける時の踏み込み、金管の息の長いパートを弱音をキープして最後高らかに歌い上げるペース配分など、本当に見事です。ラストの盛り上がりは迫力がありましたが、溜めることなく清々しく終わりました。

 

第2楽章。冒頭のオーボエが何と美しく悲しいことか!引き続き、自然体ながらもメリハリをつけていく指揮です。第1楽章ラストを溜めずに進めた一方で、第2楽章の中間部の深淵を見せる部分はたっぷりと強調!ベートーベンの英雄交響曲のあの第2楽章を思わせます。その後のチェロが何と味わい深いことか!

 

第3楽章。第1主題の後のチェロがうねる旋律がデモーニッシュ。木管のさえずりが小鳥たちを思わせて非常に心地良い。晴れやかな中間部、どこか懐かしい響き、途中のクラリネットの音色が沁みます。

 

第4楽章。冒頭から弦が刻みを入れつつ、うねりますが、まるで1つの生き物のよう。見事なオケです。中間部につなぐ音楽の緊張感のある最弱音の持続が凄い!中間部の弦の対旋律の浮き上がり、ティンパニの強調など、手に汗を握る展開!第1主題、何と3回目にして強調や小さなルフトパウゼを入れました!90歳のブロムシュテットさんの飽くなき表現への探究心に脱帽!最後の大団円では、この演奏が聴けて本当に本当に良かった、と涙涙涙。

 

何この超弩級の名演!!!

 

私、もうこの後この曲をライヴで聴けないかも知れません。そのくらい素晴らしいグレートでした!

 

 

心の底からの感動を覚える、素晴らしいブラームスとシューベルト!ブロムシュテットさんとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が長年築き上げてきた、最良のものを聴くことができた、という印象を持ちました。このかけがえのないコンビの来日公演では、もう一日、メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲とブルックナー7番のコンサートを聴きに行く予定です。本当に楽しみです!

 
 

 

 

(写真)ブラームスがヴァイオリン協奏曲ニ長調(と交響曲2番ニ長調)を書いた、オーストリアはペルチャッハの湖畔からのヴェルター湖の眺め。ブラームスが「ここは最高に素晴らしい。湖と森、そしてその向こうには碧い山波ときらめく純白の雪」と感激した、とても風光明媚なところです。水鳥が沢山いて萌えました(笑)。