1190.できない唇の巻 | フランス絵巻き

フランス絵巻き

南仏コートダジュール・画家よんじょう



エリック先生が、『ニホンジン、コレ、できないネ。』と、おもむろに1本のペンを、下唇(シタクチビル)の裏とアゴの間に、パっと挟んでみせた。
この状態のまま何分でも維持できるのがフランス人(?)だそうな。
日本人でこの技がやれるのは、イカリヤ長介くらいだろう。
一体、何の芸なん?
ってぇと、仏語の発音と深いカンケーがあるのです。
たとえば、仏語『ウィ(oui)』のウは、口を思いっきし前に突き出した(ヒョットコのよーな)ウ。
ウィのィは、口を思いっきし横に広げた、ィ
こういう激しいクチビルの動きは、日本語には無い。
口輪筋(顔面の筋肉)の鍛えられ方も、仏人とはオノズと違ってくるわけですわ。

日本語は口の開き方が小さい言語→口周囲の筋力が鍛えられる機会が少ない→ペンは挟めない、とゆー事になるンだな。
ヨンジョーさんはできるの?って、
できるわけないがな。

日本人が仏人のモノマネをする際、ボソボソっと発音して『麻布ジュバ~ン』などとやったりしますけど(古いっつーねん)、実際は、日本語のほうがよっぽどボソボソした言葉なんですよね。仏語のほうがずっと滑舌がハッキリした言語です。
そのうえ、日本語はリズムに抑揚がない。
『イギリス人にも日本語はボソボソと聞こえるみたいよ』と、帰国子女(友人)も言うておった。


先日、西荻のカヘーに同行したカナダ人M氏は、『日本人は言葉を喋る時、上唇を動かさない』という独自の見解を述べていた。
曰く、『こないだも、テレビで長時間インタビューされてた女性の上唇は、まったく動かなかった。』と。
微動だにしない上唇、って、考えた事もなかったけど、外国人が観察しているのは意外な部位ですな。

逆に、日本人が海外に行ったり住んだりする時もそうですけどね。
印象に残るのは、現地の人がまったく意識せずにやってる所作だったりしますもんね。