1138.貴女、何ジン?の巻 | フランス絵巻き

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南仏コートダジュール・画家よんじょう

買い物の帰り道、背後から、『ちょっとすいませ~ん!シルブプレ~』と、ご婦人の声。
私は、足がたいへん長いですから、歩くのも速いんですけど、それに負けじと小走りで追いかけてきはった。

YJ『ハ?』と立ちどまり、振り返った。
その婦人は、小太りで、金髪碧眼の妙齢仏女だった。
しかし、妙にピュアーな雰囲気を放っているところからして、宗教の勧誘かナ?と霊視。

したらば、妙齢婦人、『唐突ですいませんけど、貴女、チャイニーズ?それともジャポネーズ?』。
ああ、そーか、3・11フクシマで、放射能に関してのアンケートかな?と推測。
が、推測にお構いなく、婦人は続けてまくしたてる。
『私(=婦人)は、仏語しかわからないんで、東洋人の外見だけでは、国籍(日本人と中国人)の区別がまったくつかないんですけど、もし、貴女が中国人なら聞きたい事がたくさんあるんです!というのも、私(=婦人)は、幼少の頃から中国文化が大好きで、中国の磁器、陶芸も習い、そして、云々・・。』。
YJ『あのォ、私、日本人なんですけど。』
婦人『あら・・、そーでしたか。気を悪くしないでくださいねえ。』
YJ『いえいえ、ノープロブレムですよ。だけど、チャイニーズなら、そこらへんにヨーケいますやん。中華レストランが何軒もあるし、日本人を捕まえるよりずっと簡単だと思いますけど。』
すると、婦人、ちょと興奮気味に『それが、まったく、ただの一回たりとも、中国人とスレ違わないんですよ。ニースに生まれ育って40年、なのに、ただの1度も中国人と口をきいた事がないのよー!』。
知らんがな。

中国四千年の歴史と英知は偉大ですからね。仏人がチャイナ文化に魅了されるのはムリもない。
けど、日本人がベルサイユやナポレオンや仏文学に心酔、美化して、いざ仏国に住んでゲンナリ、のパリ症候群に罹るみたいに、支那症候群に陥るかもしれんよネ。
想像と現実にギャップはつきものですけど、現実を知らずに、このまま理想郷だけを抱いておくほうが幸せかもしれませんナ。余計なお世話だけど・・。

尚、YJの顔貌は中国系ではないんですけど、以前、道で、イタリア人のおっちゃんに道を訊かれた際、『貴女、スウェーデン人?』。
それもあり得へんやろっ!つーの。

<PS>
ご婦人と立ち話中、YJのカバンの端から、こんな”お買い物品”が露出していた。