1118.日本人のエスプリの巻 | フランス絵巻き

フランス絵巻き

南仏コートダジュール・画家よんじょう

昨日、仏国の人気番組”トップシェフ”を見てたんですけど、先週は、同番組に、山下朝史さんが登場してましたヨ。
誰?って、自分でググれば。
”情熱大陸”でも取材されてたそうね、パリのプチ農園で、最高品質の野菜を作ってるオッチャンよ。

超すごいモノって、宣伝なんかしなくても、超すごい人が知る運命になるナア。そういう人のところへちゃんと渡るのが面白いわ。
山下さんの野菜は、仏国・最高峰クラスの三ツ星レストラン(8店)にのみ、渡ってるそうです。
けどね、肝心なのは、山下さんが『買って頂戴』と頭を下げてるのでは断じて無い事ヨ。
シェフのほうが『買わせて頂戴』と頭を下げて買うてはんねん。野菜の前にひざまずいてはるワケョ。
”三ツ星シェフにご満足いただける野菜を作る”なんて、ゲスな考えは、山下さんには無いでゲス。
日本人のエスプリを極めれば、仏人に媚びる必要も生じないもんねー、だ。

というか、そんな事、リキんで意識する事じゃなくて、山下さんが自分自身の為にやってる事が、結果的にそーなってるところが日本人のエスプリなのよ。
・・わかんない?もうええわ、アンタにわからんでも。

山下さんは、我が子のように野菜を育ててなさるんで、売りに出す時は『娘を嫁に出すのとまったく同じ気持ち』といつも仰せネ。
但し、この感覚は大半の仏人には理解できないヨ。
西洋国は、物と精神とを完全に分けて考えた歴史が長いんで当然なんですけど、たとえば、1粒の米の中にも魂が宿るみたいなことは、腑に落ちない。ナンセンスと受け取られる。

番組では、山下さんのカブ、人参等を使って、6人の仏人シェフが1品づつ作ったんですけど、作る際、山下さんからの課題=『野菜の声を聴いてください』に、シェフらは内心『ハアぁ?』。
まして、『”娘である野菜”を、嫁に出すつもりで料理してください』には、皆、感覚的にオテアゲだった。
これを仏人に理解させるには、”禅”の領域になろうよ・・・。

その感覚を理解できてる仏人が、山下野菜を実際に手に入れている限られたシェフ、なんでしょーけど、何の分野でも、極めた人らに共通するエスプリは存在しますな。
究めた者同士って、人種も文化も超えるもんね。