757.犯罪者の回想録ノ巻 | フランス絵巻き

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南仏コートダジュール・画家よんじょう

フランス絵巻き パスポートの顏写真はコイン式撮影機だったわ。
ニースにもあるのよ。
安っすいだけに、見事な”激安顏”に仕上がりますけどね。よくもここまで欠点を強調してくれるワと、見るたびに笑える。
旧友は、昨年、海外旅行の際、経由地・アラブ国の税関で『パスポートと顏が違う!』と足止めを食わされ、気分を害したそうよ。『写真の頃より、年食ったって事かい!』って、そら気ぃ悪いわ。
ここで、パスポート事件簿を思い出しました。
時効やし、自白しておきまほ。
その昔、日本からニースに戻ってきた際、友達ラから預った10万円(現金)をスーツケースに入れていて、全額盗難されたのだ。空港内に窃盗グループがいて、スーツケースの鍵をコジ開けて、金品を盗むのが流行ってたノ。(去年も、シャルルドゴールの窃盗犯が逮捕されたんですけど、イタチゴッコなのよ)
現金をスーツケースに入れた私も迂闊だけど、空港内の犯罪とはいえ、航空会社は関与せず。かといって、仏国在住者は、(日本の)海外盗難保険も適用されず。そもそも、現金を盗まれた場合は、被害届をだしても、一円も戻ってこないのが原則。
こういう場合、善良な日本人は『10万円は教訓料として、次回から気を付けよう。金持ちケンカせずダ』と、涙をのむんでしょうネ。キミは正しい。
が、私は、不条理な事に対しては泣き寝入りしない大富豪。『チキショーっ!』と思ったら、転んでもタダでは起きぬオナゴじゃ。お金を盗まれた被害者が、なんで自腹で補填せにゃならんねん。
そんな中、たまたま、旧友が仏国旅行に来た。「これは何かのお告げ」と、知恵を絞った結果、友人のパスポートを借りて、私が彼女になりすまし、ニースの警察へ赴き『空港で10万相当のパソコンを盗難された』という被害届をだす、というシナリオを思いついた。(保険申請には現地警察署発行の被害届要)。
要するに私も犯罪者だが、旧友への共犯報酬(=パスポート拝借代)は1万円。
東洋人の顏は、西洋人からみれば似たりよったりですけど、旧友と私は姉妹っぽい雰囲気もある。予測通り、仏警察は、友人のパスポート写真を見ても、私と写真が別人という点は微塵も疑わなかった。
結果、日本の保険会社から友人の口座宛に無事12万円が振り込まれたのだった。メデタシメデタシ。
1万円浮いてるやんって?シナリオ代よ。
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