趣味としてのオーディオとは | いい加減にしました!

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ふらんすばかの後悔日誌

近年、アナログオーディオが脚光を浴びるようになり

趣味としてのオーディオを楽しむ人が増えている様です。

周囲にオーディオを楽しんでいる人がいないので実感はありませんが

レコード屋でレコードを物色していると明らかに以前よりも混んでいる。

 

中国製ですが、カセットプレーヤーの発売も増えてきています。

ガジェット系ユーチューバーもこぞってレビューしています。

 

最近観た動画

元イヤホン専門店のかじかじさんの動画

 

ガジェット系の多くはカセット全盛時代を知らない人ばかり。

なかにはスーパーカセッターズさんのようにカセットを愛してやまないひともいて

カセットの内容を熟知している方も居るにはいるのですが。

動画内でデジタルオーディオと比較してノイズが多い、と。

これ、当たり前なんですね。

そもそもカセット全盛時にはデジタルオーディオは幕開けの時代で

デジタル録音は業務用途では存在していました。

PCM録音というのがそれの一つです。

デジタルデータを磁気テープで保存する技術でビデオのベータマックスも採用。

 

デジタルオーディオとアナログオーディオは楽しみ方が根本的に違うので

どちらが音が良いと論ずるのはナンセンスだと思うのです。

音が悪いアナログオーディオは良くない、なんて思っているアナログオーディオファンは

居ないと思います。

アナログオーディオの醍醐味とは何か。

 

まず、趣味とはどんなものかも考えてみましょう。

釣りが好きな人は釣りをするのも魚を食べるのも好きです。

では、魚を効率よく釣るのであれば釣り堀でも充分ですが、釣り人はそうは思わないでしょう。

釣りもとても奥が深く、複雑なテクニックが必要な趣味です。

海釣りでも何をどこで釣るかによって糸も針も竿も変わってきます。

 

これはアナログオーディオに通づる事があるので例えてみましたが

例えばカラヤン指揮のベートーヴェン第九を再生するとしましょう。

レコードで再生する際にどのカートリッジにするか、どの程度アンプをエージングさせるか。

カセットに録音するのであればどのカセットを選ぶのか、バイアス電流値はどの値にするか。

 

以前、私が神田外語学院在学中にクラスメイトからマイケル・ジャクソンのスリラーを

レコードからカセットにダビングを依頼されました。

クラスの女子はオーディオとは無縁の普通の女の子で様々なテープを渡してくれた。

その一本一本に適した録音をするうちに私に頼むと音が良い、と評判になりました。

オーディオに興味のない普通の女の子でも音の違いは分かるし

大好きな音楽をより良い音で聞きたいのは皆さん同じ。

 

デジタルオーディオではよい音で聞く選択肢は正直少ない。

ヘッドホン、イヤホンやデジタルプレーヤー、中にはDACを使うマニアもいますが

 

アナログオーディオではその幅が非常に多く、また知識を得れば得る程

良い音を再生する体験をして選択肢が増えるのです。

 

趣味の醍醐味は準備期間が9割、と言う人もいる程です。

 

かじかじさんの動画は話題性でカセットプレーヤーを買ったものの

カセットのコレクションも乏しく、カセットを使ったことが無いままにレビューをしました。

カセットを逆に挿入したときにはちょっと驚きましたが。

また、カセットの種類も知らないようで勉強不足は否めないけれど

アナログオーディオの世界を知らないのだから無理もない。

 

どんな音で楽しむのかを考えながらテープを選んで

いい音で録音できるように半日はアンプやカセットデッキを通電させて安定させる。

アナログオーディオは電流が循環して機材が温まるまでに時間がかかり、

電源を入れた直後よりも機材を温めた方が音が良くなるのです。

昔のオーディオ評論家はその安定する時間もどのぐらいかかるかを記事にした事もあり

周波数特性もスペクトラムアナライザーと言う機器で周波数を測定し掲載していました。

 

今のガジェット系の方は自分の言葉だけで伝えるのでデータよりも信頼方式。

変なところはアナログですね。

アナログ時代に周波数特性を提示しているのとは時代が逆行している様でおもしろい。

 

いつか記事に書こうと思っていますが、配線の線材によっても音が変わります。

その傾向があるので、簡単に解説する予定ですが。

 

アナログオーディオの楽しみ方はいろいろな準備とメンテナンス、お掃除です。

ただ良い音だけで聞きたいのであればアナログオーディオは面倒くさいだけです。

自分好みの音で楽しみたい、という思いが無ければアナログオーディオの楽しみ方が

分からないままで終わってしまうでしょう。

 

また、アナログオーディオは昔の物なので、思い出補正も当然あります。

昔欲しくて買えなかった憧れの機材で、というのは私も強く感じるところです。

 

ガジェット系ユーチューバーが話題性でアナログオーディオを取り上げるのも良いですが

動画にした後にただの置物になるのでは本末転倒と思います。