1年ぶりの山行となった。今日はひとり。勝手知る「ののぼりさん」へ、いざ出発。
時刻は13:30ふもとの坂本から鶏足山表参道のルートで頂上を目指す。800メートル余りの山を直線的に登るルートだ。この山を登るとなればこのルートが一番登山らしい。山頂には、お堂が建立されており、そこでドリンクタイムと決めていた。山の谷を通るこのルートは見晴らしが悪く、頂上まで行くのに伊勢平野を眺めることのできるポイントは限られている。
中でも有名なのは「夢創庵」跡地。今は営業もしていないようだが、以前はお茶所だった。そこからの眺めは絶景で亀山の町並みがくっきと見える。
さて、道中いたるところにあと何キロの表示。表示には鶏の絵がしたためられていて励ましてくれるのだ。ざっと2700メートルあまりの登頂距離。それでも険しいところが数箇所あり全身汗まみれになって頂上につくことができた。
お堂の釣鐘を2回鳴らして、本堂におまいり。ここまで誰一人として出会っていない。本堂の階段に腰掛けて、持参したジュースを一気に飲み干した。文庫本を広げてしばし読書タイム。時折、風の音がする以外静寂の中で読書もはかどる。14:50についてから50分ほどは頂上付近でゆっくりした。
16:00。夕暮れになる。山の夕暮れは速い。帰りは60分くらいで下る。どんどんどんどん下っていく途中、鹿と遭遇。こんなところに鹿がいるとは。日本カモシカではない。紛れもなく鹿だ。谷を駆け抜けていく様は風のようだった。森の中は暗く、陽の傾きかけた中孤独感をいっそうかきたてた。急がねばならない。このまま吸い込まれそうな森の道。誰かがじっと見ているような森の中。背中に視線をかんじるが、振り向く余裕などない。速い、速い日の沈むのと、自分の足の追いかけっこ。
森の出口は近い。小川の流れる音がしてきた。ここまでくれば一安心。川の水で顔を洗った。この前は、その姿をサルがじっと見ていた。今日はいなかった。大きな声を出してサルを呼んでみた。静寂が森を包んだ。帰り足がさらに速くなった。