【設例】 50代・会社員・男性です。
FPに相談するきっかけとして、やはり一番大きいのは、お金の面で得したい、ということだと思います。
FPに相談して何か得をすることはありますか。
【回答】 ご質問にお答えします。
お金の面で何か得をしたい。
当事務所でもそのような期待にお応えする形で、
過去に「得するお金の勉強会」というタイトルのセミナーを自主開催していたこともあります。
ちなみに、投資商品について、確実に得する選択は基本的にありません。
リスクとリターンはトレードオフ(両立しない関係)といって、高いリターンを求めれば、それに見合うリスクを必ず取らなければならないという基本があります。
もしも「お湯をかけて3分待つとお金が出てくる」という商品があれば、大ヒット間違いなしですが、残念ながらそのような商品はありません。
あるとしたら「スピードくじ」のようなものになります。
では、確実に得するお金の選択はないのか、というと、実はそうでもありません。
カギになるのは、税法の知識です。
知識があるだけで、単純に税負担を減らせるケースがあります。
FPの分野では、タックス・プランニングと呼んでいます。
確実に得をするというよりも、適正化させる、などの表現が本来は正しいかもしれません。
ただし、例えば、節税対策を目的に戸籍を操作するなどの「節税の目的化」は、個人的には、あまりおすすめしていません。
長い目で見ると、税制改正リスクなどもあります。
ふるさと納税も、返礼品がもらえると嬉しいのですが、やり過ぎれば、自分が住む自治体の行政サービスの質低下につながるデメリットがあることを頭の片隅に入れておく必要があります。
特に都市部の自治体では、ふるさと納税による税収減が年々拡大し、財政面で影響が出始めているようです。
納税は、ある意味、社会貢献でもあり、すべての税金が無駄に使われているわけではありません。
やるべきことは、本来の制度趣旨に沿い、自然な流れで得られる控除などを見逃さないことです。
例えば、マイナポイントとか、コロナ給付金などは、対象者がわかりやすいので、見逃さなかった人が多いと思いますが、税法は、個別の状況によって適用の可否が異なるので、自分で調べて気付かなければなりません。
確定申告をすれば、普通に還付金が受け取れるのに、見過ごされているケースなども少なくないと思います。
あるいは、知識はあるが、面倒なのでやっていない、というケースも意外と多いかもしれません。
知識の整理と、背中を押してもらう意味でFP相談の力を借りる選択もあります。
なお、税理士資格を持たないFPは、個別具体的な税務相談を受けられませんが、一般的な税法の解説まではできます。
例えば、国税庁HPの該当ページを紹介するなどであれば、FPでも対応が可能です。
また、必要に応じ税理士と連携できるFPも多いと思います。
他に、保険の見直し、住宅ローンの借り換えなど、即効性のある「お金の流れの改善」ができるケースもあります。
ただし、保険料の安易な削減などは、リスク管理上の問題が生じるケースもあるので、個別のライフプランにもとづいて慎重に進めた方がよいと思います。
まずは、確実に得するお金の選択を実行してから、次のステップとして、iDeCoやNISAなどの税制優遇を活用した長期視点による資産運用を考えてみるのも一案です。
時間が掛かるというデメリットを受け入れることで、プラスの運用を実現する確率を高めることができます。