ほったらかしで大丈夫か | 森本FP事務所のQ&Aブログ

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資産運用・保険・住宅ローンの疑問・質問にお答えしています。

【設例】 40代・男性・会社員です。
最近、投資に関する記事で、「ほったらかし」という表現をよく目にします。

ファンドを買って、そのまま長期で放置しておけば、お金が増えるという話なのですが、本当でしょうか。
ほったらかしで大丈夫なのか、が気になります。

【回答】 ご質問にお答えします。
「ほったらかし」とは、おそらく投資の世界で、バイ・アンド・ホールドと呼ばれる投資方針を表現したものと思われます。

買って、持ち続けて、祈る・・・

確かに、間違いではないと思いますが、言葉のニュアンスには、どこか楽観ムードが漂っているように感じます。

実際、アベノミクス以降、株価が上昇し、円安も進んだので、株式型の投資信託による運用に対して、かなり楽観ムードが出てきているのは確かだと思います。

ただ、実際のFP相談で「ほったらかし」という表現は、なかなか使いづらいと感じます。

というのも、お金の管理をきちんとしていきたい、というのが、ご相談の主な動機であることが多いためです。

あくまで評論活動の中で、投資を難しいものにしたくない、との思いからの表現と理解した方がよさそうです。

なお個人的な思いとしては、「ほったらかし」ではなく、ちゃんと面倒をみてあげてほしいと考えています。

よくある解説でやはり気になるのは、投資リスクについての説明が不足しているのではないか、ということです。

約15年前のリーマンショックと呼ばれる大惨事は、そろそろ人びとの記憶から消え始めています。

当時、ネットのQ&Aで受けたご相談で、一時は3000万円程度まで資産が増えたが、-1500万円になり、どうしたらよいか、途方に暮れている、といった内容もあったと記憶しています。

余程の資産家ならともかく、ごく普通の会社員で、-1500万円になったら、「ほったらかしなので、大丈夫」と、余裕ではいられないのが通常の感覚と思います。

その時点で元に戻る保証はもちろんありませんし、仮に元に戻らなければ、いったいボーナス何回分で取り戻せるのか、老後もアルバイトが必要かなど、真剣に考えてしまうと思います。

そもそも当時は、今よりも投資に対して、悲観的な見方が多かったです。

災害は忘れた頃にやってくるといいますが、ちゃんと面倒をみることが対策になると個人的には考えています。

具体的には、事前に立てた計画のもと、定期的に運用状況をチェックして、必要に応じ、リバランス、リアロケーションといったメンテナンスを実施します。

わかりやすく言うと、事前の計画のもと、運用が好調な時には、一部利益確定し、運用が低迷している時期には、追加投資を行うやり方です。

実際、私がご相談を受けている中では、ちゃんと面倒をみた人の方が運用成果につながっている印象があります。

バイアンドホールドがその次の成果で、一番まずいのは、いきあたりばったりという印象です。

印象と書いたのは、投資を開始した年や選択した資産配分、積立投資か一括投資かなどによって、個人ごとの運用成績には、かなりのばらつきがでているためです。

例えば、リーマンショックの真っただ中でスタートした人は、当然ながら、現時点で大きなリターンをあげています。

ちゃんとみる派とほったらかし派

これは、学説のようなもので、どちらが絶対に正解ということではなく、どちらも正解と思います。

一つの方針として、「ちゃんとみる」もあることをぜひ知識として入れておかれるとよいと思います。