【設例】 50代・男性です。
日経平均株価が一時3万円を超えました。
これはバブルとの見方もあります。
昨年は、コロナショックで株価の急落がありましたが、今後も大幅下落はありえるのでしょうか。
30年前にも日本はバブル崩壊を経験しており気になります。
【回答】 ご質問にお答えします。
結論から言えば、今後も株価の大幅下落は、ありえます。
ですが、人生と同じで、山あり谷ありを繰り返しながらも、ふと気づくと、時間の中で少しだけ右肩上がりになっている、というのが株式分散投資の傾向です。
上場企業の商取引で生み出される利益の積み上がりが株価にも反映されるためです。
最近は、これに通貨の大量供給による資産インフレの要素も加わっています。
日本は株式市場のバブルとその崩壊を経験しましたが、近年は、情報技術の進化やプロに任せる投資の普及で合理的ではない価格形成は早期に修正されやすいようです。
また、世界同時株高(株安)とよく報道されるように国外株式との連動性も高まっています。
株式分散投資で大事なことは、長期の視点を持つことと、上がったり、下がったりで一喜一憂しないことです。
各自で立てた長期の計画にしたがって、粛々と進めれば、取り組んだ全員がプラスになれる確率は高いです。
経済の仕組みそのものへの投資だからです。
実際、私が継続的にご相談を受けている皆さんも、今年からスタートした方を除いて、現時点では、全員がプラスの運用を実現できています。
ちなみに、私たちの公的年金の資金管理をする団体(GPIF)の運用もまさに長期分散投資の考え方を採用しており、国内外の株式にも分散投資をしています。
これには、批判的な意見もあり、株価の大幅下落時に、野党が責任追及チームを立ち上げた記憶がありますが、GPIFのホームページにも長期分散投資の考え方は紹介されており、考え方を知りつつの動きなのか、本当に知らないのか、よくわかりません。
もし株価下落時に責任追及するのであれば、株価上昇時には、褒めないと、公平ではありません。
といっても、個人的には、褒める必要もなければ、責任追及するようなことでもないと考えています。
ここからわかるのは、FPの分野での常識が、知識のある政治家の皆さんにも、いまだに常識にはなっていないことです。
経済の仕組みに長期(目安として10年以上)で投資すれば、プラスになる確率は高いという知識が、生活の知恵としての常識になることがまずは大事と思います。
ところで、参加者全員の利益合計がプラスになる投資をプラスサムゲームといいます。
一方、例えば、為替の変動を予想して当てる取引などは、ゼロサムゲームといって、プラスの人の利益とマイナスの人の損失を合計するとゼロになるイメージです。
ゼロサムゲームは、賭け事の要素が強くなります。
日本国民全体での取り組みをプラスサムゲームにすれば、国としての経済的豊かさを維持できますし、ひいては国内の助け合いである社会保障制度の維持にもつながると思います。