融資の専門家としての想い
こんにちは。
融資コンサルタントの小川です。
今日は、3年前のちょうど今頃に起きたことを書きます。
その日、私は支店のお客様のゴルフ会があり
4組のコンペでゴルフをしていました。
快晴の気持ちいい天気でスコアもそれなりに良く
お客様とわいわい楽しくゴルフをしていました。
プレー終了後コンペのパーティーが終わり
お客様が全員帰るのを見送ったあと
クラブハウスのソファに座り支店にゴルフ会が
終わった旨、報告の電話を入れました。
すると上司が出てきたのですが
声のトーンがいつも少しと違います。
「おい小川君。大変だ。○○さんが破産したぞ!」
その○○さんというのはメーカーで
年商30億円ほどある会社です。
融資に関しては私が担当していた先で
支店でもかなり大きな取引先の一つでした。
その1年くらい前から毎月の資金繰りに四苦八苦している
会社ではあったのですが、再生計画なども作り
何とかしようとしていた矢先でした。
ゴルフ場のクラブハウスですので大きな声は
出せないのですが、それでも私はかなり驚きの声を
上げていたと思います。
その時、私の頭に浮かんだのはその会社の社長のことではなく
その会社で働いている従業員のことでした。
いつも社長とお会いしていたのは東京都内の事務所で
社長と事務員しかいないところなのですが
破産する2ヶ月ほど前に東京郊外にあるこの会社の
工場にお邪魔していたのです。
そこでは100人近い従業員が働いていました。
工場を見学した時は、工場長さんに
工場内を案内いただき製造ラインなどを
見させていただいたのですが
そこでは従業員ができぱき働いていて、
その姿がゴルフ場での電話の時、
瞬時に浮かんできてしまったのです。
その会社は自己破産を選択したのですが、
手形の決済に目途が立たず、
また直前にメイン取引先の縮小方針が出されたとのことで
手形が不渡りを出す前に破産を東京地裁に
申し立てたのでした。
私がゴルフをしている間、
破産管財人を務める弁護士から破産の旨FAXが支店に入り
支店では会社の事務所、工場、社長の自宅などを
手分けして訪問していたそうですがいずれももぬけの殻。
私の上司が工場を見に行ったのですが
債権者と思しき人が多く来ていて
中には工場の中に入ろうとした人もいたようで
警察まで出ていたとの話でした。
次の日、会社に行くとこの会社の対応で追われました。
上司が工場の近隣から聞いたという話を
教えてくれたのですが、破産申立する前日の夕方、
社長が工場に行き全従業員を集め会社が破産することを伝え
1時間以内に荷物をまとめて帰るようにと
話をしたんだそうです。
この従業員のことを思うと胸が張り裂けそうでした。
融資の仕事をしていて何がつらいかというと
取引先の破産です。
会社という法人一つが消えて無くなるだけでは
済まないからです。
会社というのは人の集まりでできています。
社長もいれば従業員もいます。
またそれぞれに家族がいます。
さらに取引先もあります。
取引先も連鎖倒産することは良く聞く話です。
会社一つが破産するだけで多大な影響を与えます。
この会社の工場を訪問し従業員が働く姿を見て
この会社は絶対に潰すことができないと
思ったものです。
そのため毎月、融資では支店長をはじめ本部と
かなりやり合いました。
本部はこれ以上融資を出したくない、
しかし支店は何とかしてあげたい。
このせめぎ合いが続きました。
しかし、結局はこの会社を助けることができず
破産という結果になってしまいました。
私は金融の世界で14年間仕事をしていましたが
直接担当した先が倒産したのは2件あります。
この話はそのうちの1件ですが、
他にも支店の取引先では夜逃げなども
何件かありましたし、手形、小切手の不渡りは
もっとありました。
融資担当者としては、
取引先の破産は防ぎたいのですが
それ以上に大事なのが融資債権の保全です。
そのために苦渋の判断をしないと
いけない時もあります。
ただこの時は、破産もやむなしという選択肢を
取っていなかっただけになおさら
衝撃が大きかったです。
破産は確率としては極めて低いのですが
それでも金融の世界で仕事をしている限り
避けて通れないものです。
でも可能な限り発生を無くしていきたいと
思っています。
たいていの会社は資金繰りが悪化してから慌てます。
しかし、それでは完全に手遅れです。
先の先まで読んで数ヶ月先の見通しが悪いかな?
と思ったときから対策をしていかないと
間に合わないことも多々あります。
この時点であれば金融機関も
いろいろな対策を打てるのですが
直前になって慌ててももうダメなんです。
そこをメッセージとして伝えたいので
コンサルタントとして活動したり、
このようにブログで情報発信しているのです。
私は今、融資コンサルタントとして活動していますが
銀行から融資を受けるにはどうしたらいいかという
コンサルティングだけでなく、資金繰りや財務改善の
お手伝いをしているのは、破産やそこまで行かなくても
毎月資金繰りに頭を悩める会社を減らしたいから
という思いで活動しています。
その原点はやはりこの経験があるからです。
自分の経験が一社でも多く役立てることができればと思って
活動しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。