お孫さんの教育を支えたい。
そう考える祖父母世代は少なくありません。
学費の高騰や先の見えない社会情勢の中で、
「どう支援すれば税金の負担を減らせるのか?」
という視点もますます重要になってきました。
今回は、教育支援にまつわる贈与税のポイントと注意点を整理してお伝えします。
教育費は「都度払い」なら非課税
税法上、扶養義務者(祖父母・両親など)が子や孫の教育費を支払う場合、「通常必要とされる範囲」であれば贈与税はかかりません。
例えば、学費や教材費、文房具代などのことを指し、その都度支払う「都度贈与」が対象です。
ただし、子や孫の口座にあらかじめ振り込んだり、貯金・資産運用に使ったりする場合は課税対象になる可能性があります。
「教育資金の一括贈与特例」で最大1500万円まで非課税
30歳未満の子や孫に対して、最大1500万円(習い事などは500万円まで)を非課税で一括贈与できる制度があります。
-
金融機関に「教育資金管理専用口座」を開設します。領収書の提出で都度証明が必要です。
-
使い残しがある場合、その残額は原則相続財産に加算されます(相続税の対象)。
-
23歳以上や、就学・教育訓練を受けていない場合は、非課税の対象外になる点に注意が必要です。
制度利用の基本条件(2025年時点)
-
受贈者の年齢:30歳未満
-
所得制限:年間所得1000万円以下(受け取り側)
-
贈与側の条件:直系尊属(父母、祖父母)
暦年贈与と相続時精算課税との違い

組み合わせも可能
「教育資金の一括贈与」+「暦年贈与」または「相続時精算課税」の併用も可能ですが、同一の贈与者から複数制度の重複適用はできません。
「保険金」との組み合わせには注意
教育支援の一環として孫を受取人にした生命保険契約を検討する方もいますが、注意が必要です。
孫は通常、法定相続人ではなく、死亡保険金を受け取ると「みなし相続財産」として加算され、贈与された教育資金まで最長7年間遡って相続財産に持ち戻されるリスクがあります。
変わる税制、伸びる加算期間:相続対策は「早めに・目的を明確に」
かつては「3年以内の贈与」だけが相続財産に加算されていましたが、2027年以降は「相続開始前7年以内」へと延長されています。
相続のタイミングは予測できないため、支援の計画は「目的を明確にした早めの対応」がカギとなります。
まとめ ~孫の未来を支えるのは「思いやり+制度理解」~
教育費の支援は、「愛情」の表現でもあり、「資産形成・相続」の一部でもあります。制度を正しく理解し、贈る側・受け取る側の双方にとってメリットある形を選ぶことが大切です。
「都度払い」は最もシンプルで確実な非課税方法
「一括贈与制度」は計画的な学費支援に有効
保険・資産運用との併用はリスクを慎重に見極めて
「想いを届けたい」と願うその気持ちが、将来負担にならないようにしたいものです。
ただし、これらの制度の恩恵を受けられるのは、祖父母が比較的裕福な場合と言えます。
ご自身でお子さんの教育資金を準備するには、早めのライフプラン作成が必要になりますので、FPなどの専門家に相談することをお勧めします。
FPドットコムでは、経験豊富な専門家をご紹介しますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
ご相談はこちらから👇