タカ目タカ科ハイタカ属
学名 Accipiter gentilis
和名 オオタカ
英名 Northern Goshawk
【分布】
ユーラシア大陸、北アフリカ、北アメリカ大陸にかけて広く分布。
寒冷地においては南下する個体もいるが、亜熱帯地域まではいかない。
日本では、南西諸島、南方諸島を除く全域に分布。
【生態】
平地から山岳地帯まで広い環境適応する。
樹上に枝を組んだ巣を作り営巣。暦年使用でかなり大きく厚くなる巣もある。
食性は動物食。飛翔能力が高く、中小型の鳥類をはじめ、小型哺乳類を巧みに捕らえる。
近年は都市部での繁殖個体も多くなり、里山の猛禽というイメージに、都市部の猛禽という印象も根付いた。
繁殖期には甲高い声で「キーキーキー」とよく鳴く。
狩りの能力は非常に高く、その特性から全世界で鷹狩に使われている。
日本でも、古来からハイタカやハヤブサを用いた鷹狩が行われてきたが、より大きな獲物を捕獲するために江戸時代中期からは本種を用いた鷹狩が盛んに行われてきた。
【サイズ・形態】
全長50‐60㎝ 翼開長100‐130㎝。
雌雄でサイズがことなり、メスの方が大きい。
翼の形状が太く、かつ尾羽が長い。ブレーキや方向転換に適して木々の間での狩に適応した形状。
成鳥は頭部から背、翼上面、尾羽上面にかけて青灰色。
額から後頭部かけて白い眉斑がある。
下面は白地に灰色の横紋が細かく入る。
クチバシは黒。蝋膜は灰黄色。虹彩は黄色。脚は黄色。
飛翔時、翼指は6枚。
幼鳥は、上面は褐色。下面は淡褐色に褐色の縦紋が入る。虹彩は鈍い黄色。
【その他】
類似種:ハイタカ
Jizz的な記載ですが特徴点を列記してみました。
観察環境ではっきりわからないことも多いです。
特に、距離がある観察時のハイタカ♀とオオタカ 幼鳥の比較は難儀です。
翼指の数も6枚と同じなので要注意。
翼の先がオオタカのほうが細くとがる印象。
尾はオオタカの方がより丸みがあり、ハイタカは角尾に近いものが多い傾向。
頭はオオタカの方がより大きく、前に突き出て見える。=ハイタカは頭が小さい(首がない)印象。
翼下面はオオタカの方が下雨覆、風切や尾の斑が目立たず、白っぽく感じる。ハイタカは斑が粗く明瞭で、はっきり見え、全体的に黒っぽい印象。
体型はオオタカの方が太くがっしりし、ハイタカは細くスマートに見える印象。
翼の付け根と尾羽のつき方(下尾筒)はオオタカは詰まった感じで、ハイタカは伸びた印象。
眉斑はオオタカの方が白く太く明瞭、ハイタカは眉斑が細い印象。
このうち総合的に何点かを採用して識別するイメージ。
幼鳥に関しては割愛。
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<ここから鳥の写真>
『オオタカ(Northern Goshawk)』
時代劇の重要な脇役です。
緊張感のある場面のBGMでは、本種の声が「キーキーキー」と入ることがあります。
また、将軍や大名や武将が鷹狩に向かうシーンや、中庭で鷹を腕に乗せたりするシーンなど
結構重要な場面で使われたりします。
そんなシーンを思い出すのが本種です。
狩りの能力の高さは秀逸で、サシバの営巣の失敗も巣立ち間際の雛が本種に次々狩られてしまうという映像を見たこともあります。
YOU-TUBE上でも、様々な鳥の営巣記録(ナベコウ・ミサゴ・ツグミ類など)に、映り込んできてヒナを搔っ攫っていく衝撃的なシーンをいくつも見ることがきます。
鳥見を始めたころ(1986年)、本種は非常に見る機会もなく、見れると嬉しい(今でも嬉しいですが)
特別感のある鳥でした。(1984年の全国の調査で400羽)
近年は、保護活動の成果が上がり、都市部の環境に適応するなど個体数を増やし、2017年に「希少野生動植物」の扱いが解除されました。(2008年の関東地方の調査で5800羽)
そんな本種を信州の自宅そばの松林での繁殖を確認して、1シーズン観察させてもらいました。
その数年後、当該マツが松枯れ病で、枯死し、暦年使用していたと思われる分厚い巣も使われなくなってしまいました。
そうした環境変化によって営巣場所を変える場面もありますが、したたかに日本の自然のピラミッドの頂点に君臨する勇壮な姿は、やはりタカ類の中でも最も気高く感じる1種と思います。
カルガモが犠牲に・・・
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今日も皆様にとってみずみずしい一日でありますように。