社会保険扶養内年収の壁「106万円」VS「130万円」何が違う!? | FPパパの子育て&お金のはなし

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2児のパパでもあるファイナンシャルプランナー(FP)廣江淳哉が書く子どものおこづかい日誌(育児日誌)、子育ての気付き、節約術、おすすめの本などについてのブログです。

■社会保険扶養内年収の壁「106万円」VS「130万円」何が違う!?

 

子育て世帯の方で、配偶者は扶養内でパートをされているという方も多いのではないでしょうか。

 

そうしますと、扶養内の「年収の壁」なんて言われることもありますが、103万、106万、130万、150万、201万円のどれかの年収を意識しながら働かれている方がほとんどかと思います。

 

実はこの、いわゆる年収の壁は、「税金」と「社会保険」に区分され、「社会保険」の方の扶養内年収の壁と言いますと、「106万円」と「130万円」になるのですが、「何が違うの!?」「どう考えたらいいの!?」というご質問をいただくこともあります。

 

ですので、今回は、「社会保険」の扶養内年収の壁「106万円」と「130万円」の違い、さらには「年収130万円を超えたらどうなるのか」。こういうケースは損するかもしれませんよというお話をしていきます。


※動画でご覧になりたい方は、以下の私のYouTubeチャンネル「FPパパちゃんねる」の該当動画よりご覧ください。

 

まず、「106万円」と「130万円」の壁の概要について、ご説明しておきます。

 

106万円というのは、実際は年収106万円ではなく、月額賃金88,000円です。月88,000円を年換算すると105万6,000円となりますので、年収106万円の壁と言われたりしています。

 

この実際のところの月額賃金88,000円ですが、これはパートなどで働いている方がパートなど先で、自身で社会保険に加入しないといけなくなる要件の1つでした。

 

要件の1つというのは、どういうことかと言いますと、短時間労働者の社会保険適用拡大というのがあり、次の5つの要件を全て満たしたら、社会保険に加入しないといけないというルールがあります。

 

①1週間の労働時間が20時間以上の人

②月の賃金が8万8000円以上の人

③2カ月を超える雇用の見込みである人

④学生でないこと

⑤パート先の従業員規模が501人以上の企業であること

 

ちなみに、⑤従業員規模501人以上は、2022年10月からは101人以上に、2024年10月からは51人以上に制度改正があるため、10月以降の働き方をどうしようかと考えている人も多いかと思います。

 

つまり、いわゆる年収「106万円」の壁は、パートで働いている人自身が、パート先で社会保険に入らないといけないかどうかという話です。

 

続きまして、年収「130万円」の扶養内社会保険の壁は何かと言いますと、これはパートなどで働いている方が、世帯主が加入している健康保険や厚生年金に、扶養者として入れてもらうための基準です。

 

健康保険などの扶養に入れられる人の要件の1つに年収130万円未満の人というのがあります。。

 

つまり、年収130万円の壁というのは、世帯主が加入している健康保険などに扶養で入れるかどうかの基準となります。

 

以上からまとめますと、「106万円」の壁は、パート先で自身で社会保険に加入しないといけないかどうかの基準で、「130万円」は世帯主の健康保険などに扶養で入れるかどうかの基準ということです。

 

ここまでよろしいでしょうか。

 

では、いくつか年収の具体的な例を上げて説明をしていきます。

 

まず前提とまして、2つあります。

 

1つ目は、世帯主が会社員で健康保険と厚生年金に加入していて、その配偶者がパートをしているという状況であること。

 

2つ目は、パートをしている配偶者が、労働日数や労働時間の3/4基準での社会保険加入には該当しない働き方をしていることです。

 

今、申し上げた「3/4基準」につきましては、以下の私のYouTubeチャンネル内の動画『【徹底解説】パートで社会保険~どうなるとパートでも社会保険に加入しないといけなくなるのか~』で詳しくお話をしていますので、確認されたいという方はそちらからご覧ください。

 

 

さあ、それでは、いくつか年収の具体的な例を上げて説明をしていきます。

 

例えば、月額賃金が9万円、つまり、年収が108万円となる場合。

 

まず、いわゆる年収106万円の壁である、短時間労働者の社会保険適用拡大の5つの要件「全て」を満たすかどうかが最初のポイントです。

 

この5つの要件を全て満たしているなら、パート先にて自身で社会保険に加入することになりますので、世帯主の方の扶養には入れません。

 

そうしますと、ある意味、年収130万円未満かどうかは関係ありません。

 

つまり、パート先にて自身で社会保険に加入することになるなら、世帯主の社会保険に扶養内で入れる年収130万円未満という基準は気にしなくて良いということです。

 

一方、年収が108万円となる月額賃金9万円の場合でも、短時間労働者の社会保険適用拡大の5つの要件の内の他の何か1つでも満たさない状況であるなら、原則的にパート先にて自身で社会保険に加入することにはなりませんから、世帯主の扶養内で社会保険に加入しようとしたら、年収130万円未満にしておく必要があります。

 

なお、この年収130万円未満というのは、1月~12月の年間収入がどうかではありません。あくまでも、これからの年収が130万円を超えるのか、超えないのかという基準での判断となります。

 

続きまして、年収が130万円を超える場合もお話をしておきましょう。

 

例えば、月額賃金が11万円で、年収132万円となる場合です。

 

まず、年収が130万円を超えるわけですから、世帯主の扶養内で社会保険に加入することはできません。

 

ですので、自身で健康保険と年金に加入する必要があります。

 

そこで確認しておきたいのが、パート先で社会保険に加入できるかどうかです。

 

短時間労働者の社会保険適用拡大の5つの要件全てを満たすなら、パート先にて社会保険に加入できるでしょう。

 

もし、短時間労働者の社会保険適用拡大の5つの要件全てを満たすことができないなら、パート先では社会保険に加入でないでしょう。


パート先で社会保険に加入できない、世帯主の扶養内にもなれない・・・・となると、どうなるのでしょうか・・・。

 

どうなるのかというと、国民健康保険と国民年金に自身で加入することになるんですね。

 

パート収入がどれぐらいになるのかというのもありますが、個人的には、あまりお得ではないと感じています。

 

と言いますのも、例えば、国民年金の令和4年度の保険料(掛金)は、月額16,590円です。

 

仮に、月額賃金が11万円で、パート先にて厚生年金に加入したとします。毎月の厚生年金保険料の自己負担額は10,065円です。

 

パート先で厚生年金に加入しますと、年金をもらう時は厚生年金はもちろん国民年金もらえるんですよ。

 

月額賃金11万円なら、国民年金だけ自身で加入するよりも、少ない保険料(掛金)で厚生年金に加入できて、厚生年金も国民年金ももらえますので、パート先で厚生年金に加入した方がかなりお得ですよね。

 

逆の言い方をすると、月額賃金11万円でパート先にて社会保険に加入できない、世帯主の社会保険扶養内にもなれない・・・となると、社会保険の観点からは損だと言えるかと思います。

 

ですから、年収130万円を超えて、世帯主の扶養内で社会保険に加入することができないぐらい働く場合には、パート先にて自身で社会保険に入れるように、働き方、働く先は選ばれた方が良いかと思います。

 

是非、今後の働かい方のご参考になさってください。

 

社会保険労務士&ファイナンシャルプランナー

ひろえFP社労士事務所 廣江 淳哉