航空自衛隊が次期主力戦闘機として導入を決定している、ロッキードマーチン社製のF-35戦闘機のエンジンに問題が発覚して、今、全機がグラウンド(飛行停止)になっているとのニュースがアメリカから飛び込んできました。

▼【自衛隊購入予定の"F35"エンジン亀裂で運用停止(13/02/23)】ANNnewsCH


アメリカ国防総省の発表によると、エドワーズ空軍基地所属のF-35A(空軍型)の点検作業で、P&W(プラットアンドホイットニー)製F135エンジンのブレード(ファンかタービンかは不明)に亀裂が発見され、予防措置として、アメリカ三軍(空軍、海軍、海兵隊)の装備するF-35全機がグラウンド(飛行停止)となっているとのことです。

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実は、戦闘機とエンジンは(当たり前ですが)切っても切れないつながりがあり、機体が優秀だったにもかかわらず、エンジンに問題があったために、機体そのものの運用寿命が短くなってしまったという例が過去、いくつも存在しています。

近年では、アメリカ海軍のF-14可変翼戦闘機が、当初装備していた、奇しくもF-35のエンジンメーカーと同じ、P&W製TF30エンジンに問題があったため、運用制限が厳しく、換装すべきエンジンの開発にも手間取って、結局、同時期に開発されたF-15やF-16より、はるかに早く(2006年)第一線を退いています。

また、古くは旧日本陸海軍の戦闘機達が、機体の設計は優秀なのにもかかわらず、(戦争中だったから仕方がないのですが)エンジンのトラブルのために当初の性能が発揮できず、性能が要求値に満たなかったり、果ては飛燕や彗星のように、水冷エンジンを空冷エンジンに載せ変えるなど、機体の設計変更を要求されるまでに及んでいます。

まあ、新鋭機の初期トラブルは珍しい出来事ではありませんが、今回のF-35のエンジントラブルが、ただでさえ高価な機体の値段に波及して、貴重な税金が散財するなどということがないよう、祈るばかりです。(;^ω^)

▼【F-35 Lightning II in 2011 】LockheedMartinVideos
大変お待たせしました!2011年9月6日に発生した、B737-700型:エアーニッポン(NH)140便によるインシデント(異常運航)に関する、foxtwo独自考察の第四弾となります。

▼乗員乗客117名を乗せたB737-700型機が、一時、機体がほぼ裏返しとなる重大インシデントを起こした(国土交通省 運輸安全委員会が公表したビデオ)。
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You Tube動画「操縦ミスのANA機、ほぼ背面飛行」より

去年の8月31日に国土交通省、運輸安全委員会が公表した、「エアーニッポン株式会社ボーイング式737-700型 JA16ANに係る航空重大インシデント調査について(経過報告)」によって、NH140便によるインシデントの詳細が次第に明らかになってきました。

▼運輸安全委員会ホームページ:NH140便「経過報告:PDF」「説明資料:PDF」

【エアーニッポン(NH)140便インシデント】
2011年9月6日午後10時50分頃、那覇空港発羽田行きのエアーニッポン(NH)140便:ボーイング737-700型機が、新島付近の高度約4万1千フィート(FL410)を飛行中、突然機体が急激に左に傾き、30秒間に約6千フィートあまり急降下した後、高度約3万5千フィート(FL350)で、かろうじて姿勢を回復するという重大インシデントを起こした。
急降下による衝撃で乗務員2名が怪我をしたが、他の乗客乗務員115名や機材に問題はなく、140便は無事に羽田空港に着陸している。

▼【You Tube動画:操縦ミスのANA機、ほぼ背面飛行】


考察の第四弾は予定を変更して、この「経過報告」をfoxtwoなりに考察してみたいと思いますが、かなりの長編となったために、後半は(その5)に続きますので、あらかじめご了承下さい。

※今回のテーマはインシデントの当事者を批判するものではありません。インシデントの考察を通して、航空安全への理解と意識を高めようとすることが目的です。

●過去の考察はこちら(別窓で開きます)
【重大インシデント報告(エアーニッポンB737急降下:その1)】
【重大インシデント報告(エアーニッポンB737急降下:その2)】
【重大インシデント報告(エアーニッポンB737急降下:その3)】

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【過去の考察と「経過報告」との相違点】
インシデント発生から一年以上経過しているので、過去、foxtwoがアップした三つの考察と、公表された「経過報告」との、両者の相違点について、まとめてみます。

①副操縦士が誤認した、コクピットドアスイッチとラダートリムスイッチの位置関係は、当初の報道やfoxtwoの考察とは異なり、副操縦士から見て、ほぼ一直線となる位置だった。また、副操縦士が誤ってラダートリムを操作した時には、foxtwoが推察したとおり、スイッチを目視ではなく、手探りで操作したことが判明している。

▼NH140便のラダートリムとコクピットドアスイッチの位置関係。「経過報告」によれば、ラダートリムは握っただけで廻すことが可能だが、ドアスイッチは押し込む必要がある。半時計方向(左向き)に廻して保持するのが、ドアの開錠位置。
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You Tube動画「Co-pilot error causes ANA plane to plunge - 29Sep2011」より

②foxtwoが推測したオートパイロットの解除はなかった。ただし、副操縦士が回復操舵を行なったことにより、オートパイロットがLNAV/VNAVモード※からCWSモード※に切り替わり、オートパイロットが副操縦士によってオーバーライドされていたことが確認されている。

※LNAV/VNAVモード:方位、高度、速度をオートパイロットがつかさどる、通常の運航では最も多用される、自動操縦システムの基本となるモード。

※CWS(Control Wheel Steering)モード:オートパイロットを解除することなく、パイロットが自動操縦システムをオーバーライドする(手動操作を優先させる)ことが可能で、パイロットのインプットをオートパイロットが保持してくれるモード。


③foxtwoがDFDR※データから読み取ったように、機体の完全失速はなかったものの、副操縦士の回復操舵中、数回に渡ってスティックシェーカー(失速警報)が作動していたことがDFDRに記録されていた。これはNH140便が一時、失速寸前の危険な飛行状態に陥ったことを示唆している。

※DFDR(Digital Flight Data Recorder):飛行記録装置。CVR(Cockpit Voice Recorders)音声記録装置と共に、一般にブラックボックスと呼ばれ、航空事故やインシデントの解析に欠かせないシステム。

▼DFDRとCVRの一例:耐熱・対衝撃カバー内に同梱されており、通常、機体の後部に装備される。
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You Tube動画「David Warren's Incredible Invention, The Black Box by Eve Cogan (10 years old) 」より

④エアーニッポンでは、異常姿勢からの回復訓練については実機ではなく、シミュレータで行っており、また、その訓練高度は10,000ft(約3,000m)以下を想定していた。つまり、foxtwoが推測したとおり、インシデントが発生した高度41,000ftなど、高高度での姿勢回復訓練は、実機でもシミュレータでも実施されていないことが判明している。

foxtwoの今までの考察と「経過報告」との主な相違点や、新たに確認された点は以上となります。

それでは運輸安全委員会が公表した「経過報告」を元に、この夜、NH140便に何が起きたのか、時間を追って再現してみましょう。(時刻は「経過報告」より)

【離陸】
2011年9月6日21時15分:
エアーニッポンが運行する全日空140便(NH140)は、乗員乗客計117名を乗せて、夜もふけた那覇国際空港を東京国際空港に向けて離陸しました。

▼那覇国際空港を離陸するNH140便(イメージ:MSFS2002より)
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22時46分42秒:
離陸から一時間半余りを経過し、NH140便は和歌山県串本沖、約69nm(約128km)、高度4,1000ft、太平洋上の航空路Y571を、次のFIX(経由ポイント)となるSAKAKに向け、マッハ0.73で順調に夜間飛行中でした。

▼インシデント発生地点(MSFS2002より)
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ここで機長がトイレに立ち、副操縦士が一人で操縦を担当することとなりましたが、NH140便は当時、LNAV/VNAVモードで自動操縦中であり、副操縦士は計器をモニターするだけでよかったはずです。

なお、エアーニッポンの運航規定によれば、このように、パイロットがコクピットで一人になる場合には、緊急用酸素マスクを装着しなければならないはずでしたが、副操縦士はこれを装着していませんでした。

▼緊急用酸素マスクを装着した737-800のパイロット(マスクの型はエアラインによって異なることがあります。)
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You Tube動画「Pilot emergency oxygen mask deployment demonstration on MPS Boeing 737-800 flight simulator.」より

副操縦士が、マスクを装着しなかった理由については、「経過報告」は特に触れていません。

【忙しかった副操縦士】
22時48分04秒:
機長がコクピットを出て二分もたたない頃、NH140便は東京航空管制部(東京ACC)から、飛行計画で予定されていた経路目標のNJC(新島VORTAC)ではなく、PQE(館山VOR/DME)に向かうよう指示されました。これは当初の飛行計画をわずかに短縮したコースとなります。

22時48分08秒:
副操縦士は管制の指示を復唱して、CDU※に経路変更のデータをインプットし始めました。副操縦士のタスクがひとつ増えたことになります。

このタイミングで、機長がコクピットに入室するための合図を送りました。タスクがもう一つ増えます。

※CDU(Control Disuplay Unit):旅客機の自動操縦システム(FMS:Flight Management System)にデータをインプットするための入力装置。B737には機長、副操縦士用の2セットが、スロットルレバーの両脇に装備されている。

22時48分25秒:
管制指示は速やかに実行する必要があるので、副操縦士は機長を入室させることより、オートパイロットの経路変更を優先して、モデファイ(修正)されたコースをエクスキュート(実行)しました。

NH140便はただちに反応して、自動的にコントロールホイールが右に10度回り、機体が右3度のバンクをとって、飛行コースを変更し始めました。副操縦士は機体が正しく変更されたルートを辿るか、モニターする必要があります。

▼CDUのモデファイをエクスキュートするパイロット(737-800の機長席側)
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You Tube動画「Air Austral B737-800 - Cockpit Video - Flightdeck Action - Flights In The Cockpit」より

このように、ドアスイッチとラダートリムを取り違える直前に副操縦士は、管制からの指示、CDUのモデファイ、機長の入室の合図、CDUのエクスキュート、そして飛行コースの変更に伴う機体のモニター等、一時的にタスクが集中して、慌ただしかった様子が伺えます。

【ラダートリムの誤操作】
22時48分28秒:
機長が入室の合図を送ってから20秒後、CDUの操作が終わってようやく手の空いた副操縦士が、機長を入室させるため、コクピットドアスイッチを操作しました。

機長を待たせていることに焦ったのか、もしくは慣れた操作だったためか、副操縦士はスイッチの位置を目視で確認しないで、暗闇のコクピットの中、手探りで操作しようとしました。

▼夜間飛行中の副操縦士パネルで、画面左下がPFD。アナログ計器時代とは異なり、照明はスイッチやモニター画面のみに限られ、通常、パネルはライティングされない(パイロットの操作でパネルを照明することも可能)。
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You Tube動画「New Boeing 737 Cockpit Video」より

結果、本インシデントのきっかけとなる、ラダートリムの誤操作が発生しました。合計15秒間に及ぶこの誤操作で、最終的にはラダーが左に5度、変位しましたが、これはオートパイロットに設定した飛行コースとは、反対方向への操舵となります。

シロウト考えでは、この誤ったラダートリムの操作を、自動操縦システムが修正してくれるのではないかと考えてしまいますが、あいにくラダーは、B737-700型の自動操縦システムとはリンクしていません。

当時、設定されていたLNAV/VNAVモードでは、方位など横方向の自動操縦をエルロンで、高度の自動操縦をエレベーターで、速度の自動操縦をオートスロットルで行なっていて、いわばラダーは自動操縦システムからは“見えない”存在だったのです。

これが事態をさらに複雑にしました。

【インシデントの始まり】
22時48分35秒:
副操縦士の誤ったラダー操作のため、NH140便のエルロンは右旋回、ラダーは左旋回という相反する操舵がインプットされた、異常な飛行状態※となりました。

※着陸時に横風が強い時、エルロンとラダーを反対方向に操舵する「クロスコントロール」を行うことがありますが、巡航中には使いません。

▼NH140便が陥ったクロスコントロール状態。(イメージ:MSFS2002より)
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まず、オートパイロットが副操縦士の左への操舵に対抗して、コントロールホイールを右21度まで回し、右バンクを更に深くして、設定された飛行コースを維持しようとしましたが、左へのヨーイングを止めることはできませんでした。

22時48分36秒:
さらにコントロールホイールが右22度まで舵を切りましたが、これがLNAVモードの操舵限界※だったため、やがて右エルロンより左ラダーの操舵力が勝り、NH140便は右バンクから水平を通り越して、逆方向の左にバンクしてしまい、オートパイロットに設定された飛行コースから逸脱し始めました。

※「経過報告」によると、副操縦士が誤操作した左5度のラダー操作は、LNAVモードの操舵限界の約二倍と確認されている。

また、このラダーによる操舵は、エルロンやエレベーターと調和していなかったため、機体の釣り合いが崩れ、左バンクに加えて機首が下がり始めました。

▼左バンクに入り始めたNH140便。(イメージ:MSFS2002より)
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22時48分40秒:
オートパイロットのVNAVモードがこの機首下げを修正しようとして、コントロールホイールを後方へ2度引きました。

22時48分43秒:
NH140便の異常な姿勢変化は速度の低下をも招き、VNAVモードが今度はスロットルをアドバンスして、設定された速度を維持しようとしました。

【見落とされた姿勢変化】
DFDRによれば、この時点までコントロールホイールやスロットルレバーに人力が加えられた形跡はなく、ラダーペダルにも僅かな重さしかかかっていなかったため、副操縦士がハンズオフ(操縦装置から手を放している状態)だったことは明らかです。

これはオートパイロットで巡航している場合には、通常の手順となりますが、本来、コース変更をモニターするため、飛行計器を注視しなければならないはずの副操縦士は、この時、機長を入室させるために、センターペダステルにあるドア外部モニタを見ながら、ドアスイッチと間違えてラダートリムを操作している最中で、一連の異常な姿勢変化に気づいた様子はありませんでした。

▼B737-800型:副操縦士パネルの位置関係。NH140便もほぼ同じレイアウトと思われる。ドア外部モニタは正面パネルではなく、やや下方のCDUユニットの間にあり、注視すると視線が下がるので、PFD(姿勢指示器)は周辺視野の外になる可能性がある。
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You Tube動画「Air Austral B737-800 - Cockpit Video - Flightdeck Action - Flights In The Cockpit」より

もし副操縦士がPFD(姿勢指示器)をモニターしていれば、右へコース変更すべき機体が、逆方向の左バンクに移行したことに気がついて修正操舵を行い、なぜ逆操舵が起きたのか、操縦系統をチェックしたはずです。しかし、それが行われた形跡はありませんでした。

この時、コクピットに最初の警告音が鳴り響きます。

いよいよ、佳境となりますが、長編となったために、以降は「その5」に譲りたいと思います。

乞う、ご期待!

【重大インシデント報告(エアーニッポンB737急降下:その5)】
バッテリーの発煙や燃料漏れなど、相次ぐトラブルでボーイング787が、世界各国(7カ国、8エアライン)でグラウント(運行停止)に追い込まれています。

もともと複合材の多様などニューテクノロジーをつぎ込んだB787は、非常に難産だったのですが(生産開始が2006年、初飛行が2009年、就航開始が2011年とスケジュールは遅れに遅れた)、ようやく就航に漕ぎ着けたのも束の間、1月16日時点で、ボーイングからエアラインに引き渡された50機全機がグラウンドするという、異常事態となっています。

▼【You Tube動画:ボーイング787不具合相次ぐ 出火バッテリーの写真公開(13/01/16)】


新機種が就航すると、初期のマイナーなトラブルは珍しくないのですが、さすがに就航全機がグラウンドするということは滅多になく、就航一年余りで、B787は最大の試練を迎えているようです。

しかも航空機として、従来のニカド電池ではなく、高エネルギーでメンテナンスフリーという触れ込みで、初めて搭載したリチウムイオン電池が発煙するという、ありがたくない顛末となっています。

foxtwoも将来、B787がアトランタ直行便に乗り入れたら(デルタ航空はB787を2020年導入予定)、より高速でキャビンに加湿器のある、快適な旅行を楽しめると期待しているので、一刻も早いトラブルの終息を願っています。

がんばれ!!787!!(^^♪

▼【You Tube動画:Flying on 787's first flight to Japan (英語)】