皆さんは成人式を迎えられて何年か経って、もうすっかり大人になられていると思います。
その状況の中で、今、自分を本気で叱ってくれる人は周りにいらっしゃいますか?
私は本気で言い合ったり叱ってくれる人が、自分のことを本当に想ってくれる人だと思います。
当然両親や親族なんかもその中に入ってくると思いますが、他人でそうしてくれる人が自分にとって大切な方だと思うのです。
私の中学生の頃こんなことがありました。
私は当時、いろいろな家庭環境や自分自身の甘さから、反抗的で攻撃的でした。
多分自己主張だったんだと思うんですが、子供でした。
でも、周りの先生や同級生はそんな私に関わることなく傍観していたんですね。
例えば、くわえタバコをしながら校舎を歩いても、誰も注意してこなかったんです。
今考えてみると先生にも完全にあきらめられていたんだと思います。
どうしようもなかった時代です。
中学2年生の頃、担任の先生が絵に書いたような真面目な先生で、社会担当の先生でした。
牛乳瓶の底の様なレンズの黒ぶちめがねに、定規で引いたような七三分け、グレーのスラックスにどこのメーカーか判らないランニングシューズ、棒ネクタイにニットのいベストというような、マンガに描いたような代表的な先生でした。
ある日いつものようにくわえタバコで歩いていたら、その先生に髪を掴まれて、凄い剣幕で怒鳴られました。
当然私も反撃をしようとしたんですが、その時に先生はこう言いました。
「お前の目は他の奴と違って腐ってない、まだ活きているから言ってるんだ」
その言葉がとても意外性があり、重く感じて、反撃をすることをやめました。
そして、職員室に連れて行かれていろいろ話をされました。
その中で先生は真剣な顔で睨みつけるように私に言いました。
「約束をしてほしい、どんな事があっても自分がやらなければいけないことから逃げるな」
そして、一発思い切り殴らせろと言われました。
その先生の言うことを受け入れて、殴られることにしました。
目から火が出るくらい、脳が揺れるくらい殴られました。
「このことを絶対に忘れないで欲しい」
と先生は言って、職員室を後にしたのです。
それから色々な経験をして、大学卒業後、東京で働いていました。
お正月に実家へ帰ってきて、大丸に何かを買いに行ったときです。
後ろから声を掛けられました。
「○○君じゃないですか?」
後ろに振り返ると、少し白髪混じで歳をとった、七三分けのその先生がいました。
私の中学の時とその時の身なりを見て「立派になったなぁ」って凄い喜んでくれていました。
立ち話だったんですが、今の仕事は何とか、どこに住んでるとかいろいろ聞かれて、聞かれたことに答えていました。
「あのお前がなぁ、よかったなぁ、頑張ってるんやなぁ」
と何度も何度もうなづいて、少し目が潤んでいたように見えました。
「お前がそんなことできるようになったんか?」
とびっくりもされていました。
百貨店の売り場だったんで、照れくさくなりそそくさと移動したんですが、ついてきて、色々お話をされてきました。
その中で心に残ったことがあります。
それは、こういうお話でした。
「担任してた頃、お前を殴ったやろ。あの時、先生、凄い怖かってなぁ。でも、お前を信じてやったことやし、許してくれな。」
先生は私を怖いと思っていたのに、正面からぶつかってくれたんだと初めて知りました。
また、そのことを悪かったと思っていたことも判りました。
そして、とても嬉しく、暖かい気持ちになれました。
私はそのあと御礼を言って、その場を離れましたが、先生は本当に嬉しそうな顔で、目を細めて私を見ていたのを覚えています。
本当に向き合って叱ってくれる人は実は凄く自分のことを想ってくれていて、何年たっても心配してくれていたことに感動しました。
今、私は会社の皆さんや周りの人によく、こう言っています。
「言ってあげないほうが不親切だ」
これからもその人のことを想い、言いたくないことも言える様に、自分自身に対し叱ってくれた人の真意を汲み取りたいと思います。
また、自分が周りの方に数年後、感動をしていただけるよう、煙たがられても必要なことは伝えようと思います。
大切な方に感謝を忘れないように生きて行きたいと思います。