第四話 確信 (2/2)
昔のことを思い出した後、顔を真っ赤に染め上げる自分がいた。首を左右に揺らせると視線を前に戻す。まだ鍛錬をしているディンがいた。そして口元が少しばかり上がっていた。最後の姿をこの目に焼き付けて店に戻った。
翌日、突如サテラが帰ると言い出した。ディン以外の家族は無言で頷くと母が少し大きめの袋を奥から出してきた。差し出されたものを覗くと店の手作りパンがたくさん詰まっていた。
「あの、これって」
カーストは口角を最大限に左右に引く。
「持って行ってくれねぇか?たくさん余った奴だ」
彼の真意を受け取って目の端から数滴の滴をためた。彼女以外のその場にいた全員が温かく彼女を見守る。ディンにはそれを聞いて固まっていた。突然すぎて驚いたのだ。まだここにいればいいのに、と。しかし彼女は姫なのだ。ここに長居は出来ないのは頭でわかっている。
そして彼女の身支度が済むとお店の扉の前で立ち止まる。振り返り頭を下げたのだ。
「一日、私を普通の女子として扱ってくれてありがとう、ございました」
「いいのよ。今更遠慮なんていらないわよ」
「そうだ。また家出したくなったらおいで」
「うん、うん。姫様、また会おうね」
一部問題発言があったものの、ディン以外の皆は彼女に一言済ませるとディンをサテラの前に押し出した。ちょっとした衝撃に耐えて、彼女の前にたたずむ。手で頭の後ろを掻く。
「えっと、その。また来いよ」
「「「ちょっと待て」」」
後ろから不甲斐無い家族を足蹴にするとディンは勢いよく後ろに引っ張られた。何事かと思い、自分の家族に聞いてみることにした。
「何?」
「もっと言うことあるだろ!!」
「いつ会えないかわかんないよ、兄ちゃん!」
「私の息子なら、言いたいことは言っておきなさい」
ディンたちの仲良い風景にサテラは和み、心が落ち着いた。この家族は彼女を普通の女の子として迎えてくれる場所だということを改めて思わされる。目尻から溢れそうになる滴を抑えて、ディンたちに笑いかける。
「じゃあ、またね」
サテラは扉に手をかけて、勢いよく歩き出す。傍目にディンが手を伸ばしていることを知らず、前を向く。そして再開を胸に誓ったのだ。
「いいの?兄ちゃん」
ディンが部屋に戻ろうとしていた時、唐突もなくフィルは情けない兄に聞く。
「何のことだ?」
「姫様に言うこと、ほんとは有るでしょ?」
まるで見透かされたように自身のある弟に拳骨を食らわせると心がぽっかりと空いていた。この穴の正体はなんなのか、この違和感は一体何から来ているのだろうか、彼にはまだ知る余地もない。
「さてな」
ディンはそのまま部屋に戻り、いつもと変わらない彼の日常を繰り返す。ディンは店の手伝いをする何も変わらない生活を、サテラは国の姫君として過ごす変わらない生活を、各々は苦笑する。
そんな時からだろうか。二人を中心に物語は語られていたのだ。
こういうのはあまり無くすようにします
ではまた日曜日に
二日間とも寝坊して更新できませんでしたが
ええ、案の定、遅れました(・・;)
おはようございます