一週間に一度の小説は漫画の締め切りみたいでたのしいですねw | Star☆Off

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自作小説、書いてます。
ところどころに絵も載せてます、

第四話 確信(1/2)

「申し遅れました。僕はラントユンカー・エルプ、この国の軍の中尉をしている者です。以後、お見知りおきを」

 ご丁寧なあいさつをされるも彼のディンに対する視線は変わらない。しかし、それを気にする様子もないディンは戸惑いながら手を小さく上げた。

「あ、あの」

「どうかされました?」

 嫌な顔一つ見せず問いただす。

「名前が長すぎてその…、ランカーさん?」

「ラントユンカ―・エルプです」

「ランプさんじゃ駄目ですか?」

「せめてエルプでお願いしていただきたい…!」

 嫌な記憶が頭をよぎったのか、顔をしかめた。見た目通り周りの人から弄られる立ち位置にいるのだろう。そう思うとかわいそうな男だ。

「じゃ、エルプ中尉さん。何故俺があいつの場所を知っていると勘違いを?」

 そこがディンの疑問だ。確かにサテラは家である城を出て、今二階の部屋で眠っている。けれど幼馴染だからと言ってなんでも知っているわけがない。実際、彼女が自分の家に来たのもわかってないのだ。エルプは顔のパーツを元に戻し、姿勢を正す。

「…姫様はディン・オールビーについて、貴方様のことをよくメイドに話されていました。『私の幼馴染はすごいのよ』と、心を許されていた。ですから、行く先は此処しかありえないと思ったのです」

 サテラの物真似が異様に似ていたのは何故だろうか。それはともかく、彼には物事を冷静に判断する能力が備わっている。サテラはこの国の姫、行方不明ともなれば血相を変えて心当たりもなく探すだろう。周りの様子に身を流さずこの結果だ。中尉をしているのも納得がいく。ディンは目を細め、眉を曲げる。

「確かに俺はあいつの幼馴染ですが、それ以上の関係でもない。姫として崇めていないから、幼馴染として扱っているから、物珍しい気持ちがあるのだろう」

 そのように言える自分に驚きを隠せない。次々と出てくる言葉に口を堅くさせていく。そんな時だった。

「…サテラ姫様の事も知らないで語るな!

 紅茶の置かれたテーブルは突然の衝撃に揺れて、滴をこぼす。何が起きたのかと目を見張るとエルプが椅子から勢いよく立ち上がったのだ。苦笑しつつも、尋ねてみる。

「あの…中尉さん…?」

「…すみません」

 横に倒れた椅子を立たせ、テーブルに銀貨を置いていく。しかし、代金が違い過ぎる。この店の紅茶は一杯10銅貨、銀貨は500銅貨と同じ金額なのだ。とっさにそれを掴み、彼の胸元の前で差し出す。表情は打って変わって疲労が募っているようだ。

「…何か?」

「多すぎる。これは受け取れない」

「…謝礼として受け取ってください。失礼しました」

 その手に銀貨を受け取らず、もの静かに店のドアを閉める。差し出した手と銀貨が目に映る。そのままそれを眺めた。すると背後から母に呼ばれ食卓に着く。重苦しいものだ。そして気づきもしなかった。ディンとその家族以外に聞いている者がいることを。

「…」

サテラは今店の外にいた。ディンの発言を聞いて現実から逃れようとしていたのだ。

『確かに俺はあいつの幼馴染ですが、それ以上の関係でもない。姫として崇めていないから、幼馴染として扱っているから、物珍しい気持ちがあるのだろう。』

その言葉は重々しく胸の奥に突き刺さった。背後から覗き見していたため、どのような表情でそれを口にしたのかわからない。それなのに…。

「…やっぱり、姫(わたし)と民(あなた)では結ばれないの…?」

 顔を両手で隠すとそっと泣き出した。それは揺れる木々と虫の声によりかき消される。そんな時だった。背後から草の根を踏みつける人が見えた。そっとその影を見つめるとなんという運命なのかディンだった。木のふもとに身を潜め、様子を伺う。光輝くものを持ち、ふるった。目をこらえるとそれは練習用の剣だ。城の兵士と比べるとどんなにも速く、鋭く、美しかった。サテラはディンの姿に見とれていた。そしてふと昔の思い出に浸る。

『どうして剣なんて振るの?危ないよ』

幼き自分がディンに聞いた時だ。顔色を変えずに練習に励む彼を見て疑問が浮かんだのだ。毎日欠かさず鍛錬をしている、つまりは夢中になれる物。その姿に羨ましいと思ってしまった。

『…一生かけても守りたいって思える人を守れるように、だってさ。親の受け売りだけど』

 照れくさそうに頭をかいて、答える。

『じゃあ、ディンは誰か守りたいと思える人はいるの?』

 開けた口を閉ざし、すっと自分を見た。サテラは何のことかわからず首を傾げた。無表情な顔で重たい口をあける。

『サテラ』

『私?』

 突然の告白である。まぁ、幼少時はそのような感情に疎いものだ。この時のこれはどのような意味で言ったのか、未だにわからない。

『…今はお前と家族しかいない』

『はば広いね』

そしてそのまま彼が鍛錬している姿を見守るように見ていた。





おはようございます

ええ、また長くなってしまったので分割です

(2/2)は水曜日に更新されるでしょう

更新できなかったら

まぁ、来週の日曜までにあげておきます

では水曜日、