第二話 嵐の前触れ(2/2)
今日の昼食を共に済ませるとサテラとディンは森へ向かった。森へ向か う途中では何人か顔を見られていたが姫君なのはばれていなかった。無論こんなところに王族がいるわけがない。森へ入ってみれば人の手が及んでない森本来の姿が存在した。木々や動物に恵まれ、食物連鎖があり、生命の全てがそこにあった。その光景に感動した二人はそのまま立ち尽くした。現実に気付いた時は数秒の時間であった。ディンはサテラの手を引いて奥へ進んでいく。進んでいくにつれて水の流れを肌で感じた。この先に滝か湖があるのだろう。
「大丈夫か?」
「い、一応…なんとか」
彼女の様子を見ると額は汗ばみ、中腰で膝が震えていた。すぐ近くに水場があるのはわかるのだが、彼女の体力はどのぐらいか分からない。ここで休むよりは涼しいほうがいいだろう。ディンは彼女に背を向けた。しかしサテラは彼の行動を理解できなかったのだ。
「…乗っかれ」
その一言で何もかもを理解したようだ。緊張した様子で恐る恐る肩に手を掛けるのがわかる。少し触れると同時にサテラの重さを感じる。ディンは彼女を背負い上げ、そのまま水場へ向かう。
水場まで向かってみると多種多様な生物が集っていた。それは森の入り口に入ったような感動とはまるで違っていた。そう思いながらも背中にいるサテラを起こす。
「起きろ、サテラ」
背中から彼女を降ろし頬に手を当てる。すると目をゆっくりと開き、自分の顔を見て固まった。彼女の目の前で手を振り反応を待つと頬を赤く染め上げた。
「何もしてないよね?」
「は?」
全くもって心外な一言である。両手を空中でぶらつかせると安心したのか、寂しいのだか微妙な表情を見せる。何を思い、何を考えたのかは当の本人しか知りえないことだ。
ふと甘い香りがした。はちみつのようにねっとりとした甘さでなく、バニラエッセンスのように鼻に残る甘さでもない。女性が付けるような甘い香水を薄めたようなものだった。
二人は同時に後ろを振り返ると手のひらサイズの少女が宙を泳いで立っている。人形のようにきれいな金髪は瞳の奥の黒を引きたたせる。まとう服は妖精のようにボリュームのある奇妙な服だった。否、その存在自体が奇妙なのだ。
サテラはその少女に顔を少し引きつかせながらも聞いてみた。
「ど、どうしたの?迷子になっちゃった?」
「…見つけた」
質問と全く違う答えが返ってきたために二人は首を傾けた。するとその少女はサテラとの間合いを縮めて手をサテラの額に添える。
「え?」
「わたしのために、これ、ちょうだい」
サテラの額から手をゆっくり離すと宝石の輝きよりも暖かな光を持つ光の水晶が現れた。出ると途端にサテラは地面との距離を縮めて瞳を閉じた。地面に着くかつかないかの位置でサテラを抱き留めるとディンはその異質をにらみつける。しかし、それは歪に顔をゆがめているも笑っている。気色が悪く、声が出てこなかった。
そこには歪な笑い声が響き渡った。
更新しました、
何故二話にしてこんなに長くなったのか知りませんw
作るのって難しい…。
そういえば、私今度の日曜に出かけます!
ので更新時間は朝の7時とかww
ではまた