ペダル解説の導入部的に書いた前回のブログ http://ameblo.jp/fortunebike/entry-12114510919.html が、予想外にアクセスが多くてびっくりしている店長錦織です。ありがとうございます。結構な数の人から、ディアドラってペダル出してたんだ!?びっくりと言われました。家の中探せば出てくるかもしれませんが、捨てたような気もしますw

さて、完全に私見のみで書くペダル解説編に入っていきます。賛否両論は出るでしょうが、使用した(使用してきた)経験上から書きます。売り場でお客様からお問い合わせ頂く質問などにも同じようにお答えしています。そういう内容にしていくつもりです。キャッチコピーをそのまま検証なく垂れ流すことはしません。

というわけで、最初の解説は、錦織が5年前までメインで使っていたけど、現在は使用していないスピードプレイについて書いていきます。使わなくなった理由もきちんと説明することで、スピードプレイ愛用者の人にもより深い愛情を注いでもらえるようにしたいと思います。

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スピードプレイといえば、軽い。膝にやさしい。両面使えるのでキャッチしやすい。といった印象をお持ちの人が多いのではないでしょうか? 「最初のビンディングペダルはスピードプレイがいいと聞いた!」 というお客様も少なくありません。


最軽量レベルのペダルボディですが、クリートがめちゃんこ重いという点は気にしてはいけない。
ペダルは軽いのです。


クリートは4本のボルトで取り付けるように見えますが、ベースプレートは各社共通の3本ネジです。


ペダルは軽量、でもクリートは重い とはいえ、スピードプレイ最大のメリットは両面使えるとか膝に優しいとかうんぬんよりも、

 ものすごいフラットで
安定した面積で踏んでいられるような感触
ではないでしょうか?


他社と比較した場合の足裏を支える面積が広い。
ただ広ければいいわけでもないのが難しいけど、広ければ安定した荷重分散がされるし、心理的な安心感は大きいですよ。
http://www.speedplay.com/index.cfm?fuseaction=home.platform




スピードプレイ装着時の足裏の感覚は、あの丸っこいペダルボディーに足を乗せている感触ではなく、クリート全体と足裏がコンタクトしている抜群の安定感があります。シューズの厚み次第ですが、全体としてシャフト中心から足裏までが近い(薄い)感覚で、なおかつ広く感じられる点がスピードプレイ最大の特長だと思います。

え?膝に優しいのが売りなんじゃ無いの??? と思われた方には、ちょっとがっかりさせるかもしれませんが、スピードプレイが何もしなくても膝にひたすら優しいなんてことはありません。半分は優しさで出来ているバファ◯ンだって飲まないと意味ないのと同じです。(←違う!)


●なんで ニーフレンドリー と言うのか?

これは、

①安定した接触面積を実現している

②システムとして薄いので調節幅を有している

③ゼロシリーズはクリートの左右の振り幅を自由調節できるし、他社の爪先引っ掛け型のクリートシステムでは実現できないセットアップ(中心点をそのままに振り幅を変えられる)

という3点が膝へのねじれ負担を解消しうるということです。 しうる ということなので、スピードプレイに交換した瞬間、膝が痛くなくなるわけでもなければ、セットアップをミスれば膝は痛くなります。プロ選手だってコンタドールみたいにSPEEDPLAYだったり、今はLOOKになったりの選手だっていますからいろいろです。

ただ、コンパクトで安定した面積を確保しているという最大武器をベースに調整の許容範囲も広いので、ユーザーに合わせる余地もものすごくあるシステムですよね。他社に浮気する人が最も少ないシステムというのは事実でしょう。

でもですね。売り場でけっこう感じるのは、

スピードプレイのゼロを買ったのに調整ネジの役割が全くわかっていないまま使う人の多さ!(注:当店では説明のうえ販売しています)

これです。なんか、よくわからないけど、周囲の人に「スピプ買うならZEROだろ!ステンレスシャフトだろ!」と言われて買ってみたものの、クリート裏の調節ネジの仕組みがいまいちわからない人、ぜったいいるはずです!そのネジは、装着後の足首の振り幅(膝のねじれの逃し幅とイメージしてみてください)をものすごく細かく調節できるネジなのです!!


クリートの外側にある三角マークついているところ


このネジの調整で足の振り幅が変わりますから、とても重要なのですよ。
前後位置を一切動かさずに足首の向きのニュートラル角度だけを変えることも出来ます。
このネジの使いこなしにスピードプレイの性能発揮はかかっているともいえますよ。

スピードプレイのペダルは馴染むとフリクション調整幅とは別に、若干のがたつきが感じられることもあります。これは微妙にフローティングしているわけですが、固定力に問題が出ることはありません。この逃げ感が膝へのねじれを逃していると感じられることも多いのです。もちろんこの動きが嫌いな人もいます。



●ライトアクションモデルが人気無い件について(笑)

ちょ!おま!なんてこと言うんだ!とツッコミが聞こえますが、僕が知りうる限りゼロより人気ありません。
が、初心者の人のなかにはゼロじゃないと後で後悔すると思っている人は多いようです。実際、「調整幅があるからZEROにしたほうがいいってネットで見たんです」というお客様のほうが多いです。僕らからするとライトアクションおすすめなのにな~ 確かに調節ネジはゼロにはあります。ライトアクションはありません。

ライトアクションは調整ネジがなく、若干の振り幅をあらかじめ設定していますし、スプリングテンションも低めにされていて、着脱が軽いです。だからこその初心者向きなのです。だから、周囲のアドバイスもZEROにしておいたほうがいいという空気感になるのですが、スピードプレイ最大の弱点は、着脱のスプリングテンション調整機能が無いことです。

買った日のペダルが一番着脱がキツイんですよ!コイツは!!!普通は逆だろ!ってことに突っ込まないのはアンフェアです。

スピードプレイは、慣れればさほど力や体重は入りませんが、それでも他社よりは装着時に荷重をかける必要性はあるシステムです。ライトアクションモデルはあまり売れてませんが、調整などに気を回したくない人、弱い力で着脱しやすくしたい人は使いやすいですよ。
体重の軽い人やペダルを上から踏み込んでいくイメージが出来上がっていない人にとってZEROは硬いと感じるひともいるはずなのです。そこでビンディングそのものに挫折するくらいなら、詳細な調整機能を後回しにしてライトアクションからスタートすることは有効です。もし、このブログを見てくださって、周囲の初心者にスピードプレイを勧めるなら、ゼロ推しだけでなく、ライトアクション推しのほうがいい場合もある点をお考え頂けるとうれしいと思います。

最初からZEROでももちろんいいですが、機能と特長をとらえてからご決定頂きたいですね。


●じつはシューズとの取り付けが重要だということについて

スピードプレイのクリートはきちんとした並行が出ていない状態、反った状態でシューズに取り付けると悪夢のように機能しません。そのための調整シムが付属しているのですが、こいつがきちんと選択されていないとクリートが反った状態で固定されハマらなかったり、動きがギシギシしたりすることがあります。通販などで買われたお客様に多いです。固定のための金属製Cリングが短期間で破損する人はだいたいコレが原因です。

シューズに取り付けるときに目視で確認すればいいのですが、こういった対応表もあります。

http://www.speedplay.com/pubs/instructions/Shoe%20Compatibility%20Sheet%20-%20V2%20-%20Road%20-%20English%20PRINT%20Rev%202015_10_08_BACK_JPN.pdf

※この互換性に関しての当店への電話質問はご遠慮ください。シューズサイズなどによって対応内容が変わる場合もあるからです。基本的には付属のシムで調節が出来ます。固定する前に、シューズの裏のカーブとスピードプレイのクリートのカーブが合っているかを確認するだけです。

シューズのサイズが小さい方の場合、対応するメーカーでもシューズ側の曲線がきついことがあり、スピードプレイクリートを正しく取り付けるためにシムの交換や追加が必要になることもあります。他店購入などの女性ユーザーさまで、スピードプレイが全然ハマらないという相談の場合は、ほぼシム交換で改善出来ていますね。

ビンディング構造のメインであるスプリングそのものが、ペダルではなくクリートにあるスピードプレイならではの注意点です。


●泥づまりに弱いって本当?

錦織は6年前にベルギー行った時にスピードプレイが外れなくなり、帰国後に恐怖感が払拭できずに馴染みのルックに戻しました。が!スピードプレイに非があったわけではないことは承知しております。

撮影のために何度もパヴェの激坂を昇り降りしたのです。登りは自転車にのって登りますが、下りは逆走するわけにはいかないので徒歩です。天候は雨とひょう、牧草地のぬかるみを何度も行き来しました。あの日の僕は絶好調でした。。。絶好調すぎて、

カメラマン氏 「ははは!錦織さん、今日は乗れてますね~でもカメラマン追い抜いたら走り直しだって知ってました?」

錦織      「あ。。。。 え? これ戻んの?徒歩で?」


もう5回以上やり直して、笑うしかなくなっている状況。そしてもらったジャージがデカくてダサいw
斜度は10%くらいあったはず。よく見ると足元はスピードプレイである。

その後、天気は急に回復し、60キロ出ているダウンヒルで錦織気がついてしまいました。「ペダルが動かねえ・・・」と。その後、道路脇の農家のフェンスに捕まって止まりました。

泥と牧草が詰まったぐらいなら大丈夫なのです。それが乾いて固くなってしまうと悪夢です。が、そんなところ通常では絶対に無いから大丈夫です!!
もう、意図的に詰まらせようとしたレベルです。泥の後ではメンテナンスを推奨しますが、心配する必要はほぼ無いでしょう。究極にトラブった僕が言うんだから間違いありません。それでも心配な人のためにパヴェモデルも出ましたからねwww

なので僕がスピードプレイを今現在使っていないのは、単純にトラウマなだけでシステムが嫌いなわけではありません。


●寿命が短いって本当?

スピードプレイはベアリングサイズが小さいために寿命が短いと誤解されることもあるようです。ベアリングはデカイかどうかが重要なわけではありません。シャフトを支える球の間隔やねじれに対しての配置などの総合力で決まるので、大きさだけで判断するのはナンセンスです。カートリッジベアリング2つとニードルベアリングで構成されていますが、詳しくはこちらを御覧ください。

http://www.jpsg.co.jp/2010/03/speedplay_news_37.php

グリスアップは純正のグリスガンを使用するといいのですが、結構お高い部品なので、モニョモニョなモニョモニョを代用して横からグリスを圧入して古いグリスを押し出してやればいいです。 ただ純正グリスガンは高いだけあってしっかりした重厚感があり、プラスチック製の細身の注射器とはちがって力が込めやすく、一気に作業できます。

純正グリスガンはグリスが付属して5400円なのですが、グリスアップしやすいのでオススメです。スピードプレイが気に入って、長く付き合っていこうと決めたら買っちゃいましょう。代用品では味わない何かがあるかもしれません。そういうものです。趣味の世界は。


●カバー付けないとダメ?

ダメじゃないけど付けておいたほうがいいです。純正でもそうでないところのでもいいです。今後は純正のエアロウォーカブルカバーが主流になるでしょうね。ネジ山が傷んでしまうと最終的にはドリルか念動力でしか外せなくなります。念動力の方は、工賃が50万円かかりますし、誰も見ていないところで集中して作業する必要があり、僕の念動力の発動中は「キュイィィィィン!!ガリガリ!!」という音が聞こえるので、最初からドリルで御依頼頂くか、最初からカバーを使用して下さい。




最後になりますが、10年以上前だと日本ではスピードプレイってわりとマニア向けなペダルだったのですが、今の代理店さんになって完全に定着したと思います。すごいことだと思います。昔、スピードプレイFROGという”ぜんぜんビンディングじゃ無いじゃん!!”というひどいペダルを使って落車したことのある僕が言うんだから間違いありませんwww

カラーリングの可愛らしさ、設定自由度の高さはダントツと言えるでしょう。

ですから、ぜひ特長を捉え、性能を使い切るべく理解を広げていただけたらと思います。ちなみにスピプとか言ってもぜったい海外では通じないからやめておきましょうwww あくまで愛称です。


 ● 通称スピプ (スピードプレイ)のメリット

 薄い / ペダルボディは軽い(クリートは重い) / 両面キャッチ可能 / フリクション幅の設定が広くて自由設定できる(ZEROシリーズのみ/ライトアクションは調整不可) / 縦と横のセッティングが独立している(デメリットでもある) / 足裏のダイレクト感が良い / コンパクトなので地面との接触が少ない / なんとなくかわいい  などなど

 ● 通称スピプのデメリット

 クリートカバー無しだとネジがやられる。本当にやられる。 / 縦の取り付け位置を動かしたいと思うと、ベースプレートの移動になるのでクリート外す必要がある / 固定スプリングのテンション調整機能が無いから、購入した直後がいっちばんスプリング硬い / フリクション調整が自由な代わりに自分で調整する必要がある(ゼロのみ) / シューズとクリートの相性については最もシビアなシステムで、スペーサーとかをきちんと合わせないとハマらない / 泥詰まりのひどい状況になると全然外れなくなるけど、日本ではまず大丈夫

 ● スピプの導入注意点

 シューズへのクリート取り付け時に反り返りがないようにする / 定期的なグリスアップと金属リングへの少量のオイルアップ / 他ペダルからの交換時にはシート高が下がることもあるので注意。薄い分はそういうのが出るです。 / ペダルシャフト中心との距離が近い分だけ、上死点/下死点の足首の返しが合わない人もごく一部にいます。その場合は、シムを導入したりしてみるのも効果的なので、そのフィーリングで悩んでいる人は試してみてもらうといいかもしれません。 




スピードプレイのフリッカーページは時間あっという間にすぎるからやヴぁい  

https://www.flickr.com/photos/speedplaypedals/sets/





そんな感じです。