女性道(女は花であれ) -17ページ目
コイバナ
恋花
「薔薇の花びら」
彼のお母様に家庭の味を習い
私の嫁入り支度が
ようやく整いました
彼が電話で
「おふくろと、ばあちゃんが
喜んでいたよ。
特に、ばあちゃんが
アタシの若い頃にそっくり
って厚かましいこと
言ってたよ」
と、とても嬉しそうに
笑って言いました
彼が嬉しいと思ってくれる
それでまた私も嬉しくなる
そしてまた
私が嬉しいと感じることで
それでまた彼も嬉しくなる
多分幸せは
大きく立派な姿ではなくて
こんなにちょっとした
小さな姿をしているのかも
知れない
その小さな姿を感じて
見つけられる私でいたい
私の古い日記には
そう書かれていました
**・*・*・*・*・**
それから数日が経ち…
母が
「京子さん、先にお風呂に
入ってね」と
言いました
私は
「私は後からでいいのに」と
言うと
母は
「今日は京子さん先に入って」
と言います。
私は母がそう言うので
先にお風呂を頂くことに
しました
先に入浴剤を入れておこうと
お風呂のドアを開けると
浴室がまるで
薔薇の花園のように
なっていました
私は驚いて
立ちすくんでいました
すると後ろから母が
「何しているの?早く入って
あとで
背中を流しに来るわね」と
言いました
私は「うん…」と
言いました
ほんのりと
薔薇の香りに包まれた浴室
湯舟に浮かぶ
数え切れないほどの
うすいピンクの
.°**薔薇の花びら.°+*。
手のひらですくっては戻し
また
手のひらですくっては戻して
浴室の出窓には
白い天使たちの花瓶にも
薔薇の花が生けられ
そんな私を見下ろして
微笑んでいるみたいに見えて
すると浴室のドアの外から
「入るわね」と母の声
私は「どうぞ…」と
母は
「どう?素敵でしょ。」と
言いながら
私の肩にお湯を掬っては
かけてくれる
そして手のひらで
私の首すじや背中を
優しくなでながら
「覚えている?
お母さんがあなたに
あなたは薔薇の蕾だと
言っていたこと」
と母が言いました
私は「覚えている…
ずっと言われて来たもの」
すると母は
「薔薇の蕾を育てていたら
いつの間にか
コスモスになっていたわ」
と、ふふふと笑って
「気付いたかしら?」と
天使の花瓶の方を見て
母は言った
私は花瓶に生けられた
薔薇の花を見上げた
「よく見てごらん」と
母が言う
あ…
薔薇の花の中に
白いコスモスの蕾が
一輪だけ
一緒に生けられていた…
母はゆっくりと
私の肩をなでながら
「私の愛する子
幸せになってね。
誰よりも幸せになって。
私はあなたに
あたたかい家庭を
あげられなくて
ごめんね…」
そう言うと母の声は途切れ
すすり泣く声がした…
私の目からも次から次に
こぼれ落ちる涙が
薔薇の花びらへと
落ちてゆく…
母と共にひとしきり泣いて
落ち着いてくると
「湯当たりしちゃうわね」と
マスカラが頬に落ちた顔で
母が笑った…
私は私の肩を撫でる
母の手を握って
「お母さん
いっぱい愛して育ててくれて
本当にありがとう」
と言いました…
お風呂から上がり
長い髪を乾かしながらも
また涙がこぼれて
荷物が殆ど無くなった
私の部屋…
心を込めた
母への手紙が置かれた
暖炉の上に
月明かりが静かにさして
いました
それは
お嫁入り前日の夜のこと
でした
つづく
**・*・*・*・*・**
薔薇の花は
愛したとおりに
その姿を現して
魅せてくれますね**
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生
コイバナ
恋花
「嫁入り支度」
本来の嫁入り支度
と言われるものとは少し違い
彼の元へ嫁ぐ前に
しておきたい支度が
私にはありました
それは
彼のお母様の元で
お料理の味を教えて頂く
という事でした
嫁いですぐに
彼が食べて来た味に近い物を
作ってあげたいと思って
いました
私は母の味で育ち
母の料理が
とても好きでしたが
神戸生まれの母は
九州の味を
「神戸の味とは違うわ」と
よく言っていました
お正月のおせち料理や
お雑煮が友だちのお家とは
違うことを
中学生の頃に知りました
美味しいものは
誰にとっても美味しいと
思うのですが
「家庭の味」となると
またちょっと
違うかも知れない
と思いました
彼にその事を話すと
彼は「俺は何でも食べるから
気にしなくていいよ」と
言ってくれましたが
でも…父と母の
料理の味付けの好みの違いで
父があまり食べない時もあり
その事が
幼い私の記憶の中に
残ってしまったようなのです
ですから私は彼のお母様に
お願いをしてみました
彼のお母様は
すぐに、ご快諾くださり
私は仕事の休みの日の
夕食で教えて頂くことに
なりました
やはり
お吸物、お味噌汁、煮物等の
味付けは
母とは随分と違ったもの
でした
まず、お醤油が違いました
九州の濃くて甘味がある
お醤油を
御料理に初めて使いました
嫁ぐ2ヶ月前から8回
彼の実家へ伺い
習わせて頂きました
家庭によって
お漬物の切り方一つからも
違うことを知りました
そして彼のお母様が
お作りにならない料理も
知りました
例えば
ちらし寿司はお作りだけれど
巻き寿司はお作りにならない
うどんは大好きだけど
スパゲティは召し上がらない
ぼた餅や善哉はお作りだけれど
洋菓子はお作りにならない
私の母は
ちらし寿司も作るけれど
巻き寿司も作る
善哉は作らないけれど
ケーキやクッキーは作る
ミートソースは作るけれど
うどんは好きではない
など照らし合わせながら
私が新しい家庭で作る
お料理やお菓子として
両家のものをじょうずに
取り入れて行きたいと
思いました
彼の妻になって
彼が育って来た味と共に
私が育って来た味も
工夫しながら調和させて
彼と私の温かい家庭の味が
出来上がったなら
どんなに良いだろうと
思っていました
それが
私にとっての
嫁入りをする前の大切な支度
「嫁入り支度」
なのでした
彼の元へ嫁ぐ日も
もうすぐ**♡
つづく
**・*・*・*・*・**
色相環で
正反対に位置する関係の
色の組み合わせを
補色と
言いますが
その補色は
使い方によっては
とてもおしゃれになったり
美しい色彩調和が
生まれます
紫と黄色の補色の花々が
とても美しく調和して
咲いていました
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生
コイバナ
恋花
「シャンデリアの首かざり」
彼と無口な父が
こんな風にいつまでも
仲良しでいてくれる未来が
待っているとは
知らない私でした
*
東京から親友のM美ちゃんが
バカンス休暇で帰省して
久しぶりにサークルの仲良し
10人ほどで集まりました
リーダーは
楽しいお酒が入ると
いきなり歌いながら踊り出す
ひょっこりひょうたん島で
(子どもの頃の楽しみなテレビ番組でした)
M美ちゃんを労って
下さいました
波を
ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ
かきわけて
(ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷ)
雲を
すいすいすいすい
追い抜いて
(すいすいすいすい)
と始まるのですが
すべての歌詞に
フリをリーダーが考えて
踊ります
特にココの歌詞に
力を込めて踊ります
👇
苦しいこともあるだろさ
悲しいこともあるだろさ
だけど僕らはくじけない
泣くのはいやだ
笑っちゃお
進めー!
ひょっこりひょうたん島
ひょっこりひょうたん島
あまりの面白さに
苦しいことも悲しいことも
一瞬で吹き飛んでしまいます
みんな大笑いです
(≧∀≦)(*≧∀≦*)≧∇≦)ノ"
リーダー
「久しぶりにみんなの
顔ば見たばってん
みんな
いっちょん変わっとらんね」
と言いながら
帰省したM美ちゃんを見て
「やっぱ、花のお江戸に
行きんしゃったもんは
垢抜けしとんしゃあね!
博多んもんとはちがうばい
首かざりも綺麗かー!」と
言いました
リーダーの
変わらない楽しい博多弁にも
またみんな大笑いです
(≧∀≦)(*≧∀≦*)≧∇≦)ノ"
M美ちゃんも
とても楽しそうに笑って
います
女の子たちは
リーダーの言う「首かざり」が気になったらしく
M美ちゃんに
見せてもらっています
Sさんが
「わぁ!とっても綺麗ね!」と
言ったので
M美ちゃんは首から外しながら
「これは東京で買ったんじゃ
ないよ。
京子が作ってくれたの」と
言いました
私は「えっ⁈」と思って
よく見ると
学生の頃に私の家に
初めて遊びに来たM美ちゃんが
シャンデリアを何度も
綺麗だと言っていた時に
「M美ちゃんの好きな色は
どれ?」って聞くと
雫の形をしたうすい紫色を
指さしたので
それを
シャンデリアから外して
持っていた鎖を通して
プレゼントしたのでした
M美ちゃんは
「私が生まれて初めて見た
京子の部屋の
綺麗なシャンデリア
私の胸にも輝いてくれて
苦しい時、悲しい時
見てるんだよ。
そしたらね
本当に元気が出てくるのよ
不思議なんだから!」と
そう言って笑いました
18才のM美ちゃんに
18才の私が出来た
小さな贈り物でした**
5年後もM美ちゃんの胸で
輝いていたことに
とても嬉しく思いました
*
現在、M美ちゃん65歳
会う時は必ず「首かざり」を
着けて来てくれました
今はコロナ禍で
2年会えていませんけれど
早く会いたいな**
彼は結婚式までは
休暇が取れないので
この日の事は
手紙に書きました
すると
手紙のお返事に
M美ちゃんと京子ちゃんの
仲の良さには
いつもちょっと妬けて
しまいます。
でもいいんだ!と
書いてありました
私は思わず
笑ってしまいました
(*´꒳`*)
つづく
**・*・*・*・*・**
こうして
古い思い出を綴りながら
振り返ったこの道に
花が咲いていたなら
とても
嬉しいなと思います**
女は花であれ
賢く優しい花となれ
**+.° ♡ °.+**
恋は一瞬
愛は一生

