第30章 空に浮かぶ巨大な蜘蛛の巣 | 光と闇を 抱きしめたまま

光と闇を 抱きしめたまま

Aiでノベルを作る

夜の街は、静かだった。

戦いが続いた街とは思えないほど、周囲には静けさが広がっている。

アクティア、ルミナ、エクリア、そして助手。

4人は、束の間の休息を楽しんでいた。

いつ終わるか分からない戦いの中で、こうして何気ない話をできる時間は貴重だった。

ルミナが笑い、アクティアがそれに突っ込み、助手が二人を茶化す。

エクリアも、そんな3人を見ながら静かに微笑んでいた。

そのときだった。

「……ん?」

ルミナが、ふと空を見上げた。

「どうしたの?」

アクティアも空を見る。

夜空には、何かがあった。

暗闇の中に、細い光の道筋のようなものが浮かんでいる。

それは星でもない。

流れ星でもない。

空の彼方へ向かって、何か巨大なものが移動しているようだった。

「……あれ、何だろう?」

ルミナが呟いた。

その瞬間。

空から、一筋の光が落ちた。

「えっ?」

光は真っ直ぐ地上へ向かっていく。

そして、その下にあった建築中のビルを直撃した。

轟音が街を揺らす。

建物が大きく崩れ落ち、鉄骨とコンクリートが次々と地面へ落下していった。

「な、何なの……?」

アクティアたちは、呆然と崩れたビルを見つめる。

ただの事故ではない。

あの光は、明らかに空から落ちてきた。

そして、それからしばらくして。

夜が明け始めた。

空が少しずつ青くなっていく。

朝日が街を照らし始めたとき、4人は再び空を見上げた。

そこで目にしたものは、

想像を遥かに超えていた。

「…………」

4人とも、言葉を失った。

空に浮かんでいた。

巨大な蜘蛛の巣が。

その大きさは、直径10キロにも及ぶのではないかと思えるほどだった。

朝日に照らされた巨大な巣は、紫色の光を帯びている。

そして、その巣の上を何かが移動していた。

巨大な、

一つの目。

建造物の中央に、巨大な目が存在している。

それが蜘蛛の巣の上を移動するたび、その後ろには紫色の光の軌跡が残っていた。

「……何、あれ……」

ルミナの声が震える。

助手はすぐに判断した。

「みんな、隠れて!」

「え?」

「空から見えない場所へ!」

4人は急いで物陰へ身を隠した。

やがて完全に朝が来る。

明るくなったことで、空に浮かぶ巨大な蜘蛛の巣と、その上を移動する一つ目の姿がはっきりと見えた。

そして、

一つ目が停止した。

その真下には商店街があった。

アクティアが息を呑む。

「……まさか」

巨大な目が、ゆっくりと下を向く。

中心に光が集まっていく。

「やめて……!」

ルミナが呟いた。

次の瞬間。

巨大な光が、真下へ落ちた。

轟音。

商店街が光に包まれる。

建物が焼け、道路が砕け、炎と煙が一気に広がっていった。

「…………」

4人は声を失った。

あの一つ目は、

街を攻撃できる。

しかも、

あれほど巨大なものを一撃で。

「……あれを止めないと」

アクティアが呟いた。

「行こう」

3人は空へ飛び上がった。

助手だけは、その場に残る。

「気をつけて!」

アクティア、ルミナ、エクリアは、一つ目へ向かって上昇していく。

しかし、その途中だった。

地面から、

巨大な何かが突き出した。

「なに!?」

市役所から約5キロ離れた場所。

地面を突き破り、巨大な塔のようなものが伸びていく。

その形は、

蜘蛛の脚に似ていた。

節のある巨大な構造物。

紫色の光を放つその塔は、空へ向かって伸びていく。

そして、

市役所を挟んで反対側。

そこからも同じような塔が出現した。

「もう一つ……!」

二本の塔から、同時に紫色の光が放たれる。

光は空へ伸び、

巨大な蜘蛛の巣へ接続した。

すると、

蜘蛛の巣全体が一瞬、強く輝いた。

アクティアは目を見開いた。

「地上の塔と、あの蜘蛛の巣が繋がってる……!」

エクリアも、その光景を見つめる。

「……一つの巨大な装置みたい」

3人はさらに上へ飛ぶ。

一つ目へ近づこうとする。

ところが、

突然。

上昇が止まった。

「え?」

アクティアがビットへ魔力を送る。

「もっと上!」

ビットは正常に動いている。

それでも、

上へ進まない。

「どうして!?」

ルミナもマントを広げた。

「だったら私が!」

マントが光を放つ。

しかし、やはり上昇できない。

エクリアも光刃を展開する。

両腕と両脚の光刃で反発力を生み出す。

しかし、

高度が上がるほど、

光刃の反発力が弱くなっていく。

「……おかしい」

エクリアが呟く。

魔力がなくなったわけではない。

それなのに、

一定の高度から上へ行けない。

「一つ目に近づけない……」

アクティアが空を見上げる。

そのときだった。

一つ目が動いた。

ゆっくりと、

3人の真上へ。

「……!」

3人は危険を察知する。

その瞬間。

地面から触手が伸びてきた。

「きゃっ!」

3人の足に触手が絡みつく。

そして、

一気に地面へ引き戻された。

ドンッ!

「痛っ……!」

3人が地面へ落ちる。

空を見る。

一つ目の巨大な目が、

強く光り始めていた。

そして、その真下には、

量産型魔法少女たちがいた。

「まさか……!」

エクリアが叫ぶ。

一つ目の光が、さらに強くなる。

「逃げるよ!」

3人は足に触手が絡みついたまま、横方向へ飛び出した。

不思議なことに、

上へは飛べないのに、

横方向には飛べた。

ただし、いつもより明らかに遅い。

「くっ……遅い!」

ルミナが叫ぶ。

量産型魔法少女たちは、3人の足に絡みついた触手を引っ張る。

「逃がさない……!」

その瞬間。

一つ目から、

一本の光が落ちた。

真下にいた量産型魔法少女たちを直撃する。

轟音。

爆煙が一気に立ち上った。

3人は必死に横へ逃げる。

しかし、

完全には逃げ切れなかった。

爆風が3人を吹き飛ばす。

「うわぁぁっ!」

アクティアの身体が地面を転がる。

ルミナも吹き飛ばされる。

エクリアも瓦礫の向こうへ叩きつけられた。

やがて煙が晴れていく。

爆心地。

そこには、

灰の塊だけが残っていた。

量産型魔法少女たちは、

消えていた。

少し離れた場所。

アクティアが身体を起こす。

「……みんな……」

腰のビットを見る。

10基あったビットのうち、

2基が破損していた。

そして身につけているルミナの魔法少女コスチュームも、ほぼ全壊状態だった。

ルミナも立ち上がる。

トップスは大きく破損。

マントは左側だけしか残っていない。

シューズも吹き飛んでいた。

「……こんなの、初めて……」

エクリアも身体を起こす。

両脚の装甲。

そして右手の装甲。

どちらも完全に失われている。

コスチュームも胸元を残し、ほとんど消えていた。

「…………」

3人とも、

満身創痍だった。

しかし、

まだ生きている。

アクティアは空を見上げた。

ところが、

一つ目は動いていなかった。

「……?」

エクリアも気づく。

巨大な蜘蛛の巣。

そこに張り巡らされた無数の道筋が、

すべて光っていた。

「……何か、おかしい」

一つ目も、

目を閉じている。

攻撃してこない。

エクリアは状況を判断した。

「今のうちに離れる」

アクティアとルミナを見る。

「ここにいるのは危険」

エクリアは残った左手の光刃を展開した。

シュンッ!

光刃の反発力を利用して身体を浮かせる。

まずアクティアを拾い上げる。

「エクリア……」

「大丈夫。掴まって」

続いてルミナも拾う。

3人は物陰から物陰へ移動する。

崩れた建物。

瓦礫。

壁の陰。

できるだけ空から見えない場所を選びながら、

助手の待つ施設へ戻っていく。

そして、

ようやく施設へたどり着いた。

扉が閉まる。

3人はその場に座り込んだ。

誰もすぐには話せなかった。

やがて、

アクティアが小さく呟く。

「……あれ、何なの?」

エクリアも答えを持っていない。

「分からない……」

ルミナが窓の隙間から空を見る。

朝の空。

その向こうに、

巨大な蜘蛛の巣が浮かんでいる。

その中心で、

一つ目は目を閉じたまま、

静かに存在していた。

まるで、

次に動き出す時を待っているかのように。

その光景を見ながら、

4人はまだ知らなかった。

あの巨大な蜘蛛の巣が、

ネガティアの計画の中で、

どんな役割を持つものなのかを。

そして、

あの一つ目が、

この街に何をしようとしているのかも。

ただ一つ分かっていた。

これまでの敵とは、

何かが違う。

あれは、魔法少女たちが追いかけて倒す「怪人」ではない。

街そのものを見下ろす、

巨大な存在だった。