第28章チョーカーが示すもの | 光と闇を 抱きしめたまま

光と闇を 抱きしめたまま

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怪人との戦いを終えたアクティアとルミナは、基地へ戻っていた。

二人はそれぞれ、自分の魔法少女衣装を身につけている。

先ほどまで行っていたチョーカー交換も終わり、今は本来の姿に戻っていた。

アクティアは自分のチョーカーを指先で触る。

「……不思議だよね」

「何が?」

ルミナが隣から顔を覗き込む。

「チョーカーを交換しただけなのに、お互いの衣装になったんだよ」

「しかも、ちゃんと魔法まで使えたしね」

ルミナは自分の両手を見る。

先ほど、アクティアの衣装を着た状態でも、自分のシールドを展開することができた。

しかも、普段以上の威力を引き出すことまでできた。

「衣装が変わっても、私の魔法は私のものだった」

「私もそうだった」

アクティアは頷いた。

「レイピアもビームも、普通に使えたからね」

二人は互いの顔を見る。

そして、同時に笑った。

「面白かったね」

「うん!」

少し離れたところで、その様子を見ていた助手は苦笑していた。

「まったく……二人とも、戦いが終わったと思ったら今度は衣装交換なんだから」

「だって気になったんだもん」

ルミナが笑う。

アクティアも頷いた。

「でも、おかげで分かったこともあるよ」

助手は二人を見る。

「どんなこと?」

アクティアは少し考えてから答えた。

「魔法少女の衣装と、本人の魔法は完全に同じものじゃないってこと」

助手は頷く。

「うん。それは大きな発見だね」

ただし、助手には一つだけ、誰にも話していないことがあった。

エクリアだけは知っている。

以前、助手自身がエクリアのチョーカーを借りたとき、魔法少女の衣装を身につけることができた。

あのときの光景を見ていたのは、エクリアだけだった。

エクリアもまた、そのことを誰にも話していない。

その秘密は、二人の間に静かに残っていた。

 

その頃、アクティアは10基のアクティアビットを並べていた。

以前の戦闘で分かったことがある。

10基すべてを同時に認識することはできない。

アクティアが同時に意識できるのは、どうやら4基まで。

しかし、それならば。

「4基ずつ切り替えればいい」

アクティアはビットを見つめる。

最初にリンクしていた4基との接続を切る。

そして、別の4基へ意識を向ける。

「……これならいける」

新たに選んだ4基が、ゆっくりと浮き上がった。

助手はその様子を確認する。

「やっぱり、4基なら安定しているね」

「うん」

アクティアは笑う。

「だったら、戦いながら交換すればいいんだよ」

10基を一度に使えなくてもいい。

必要な4基を選び、状況に合わせて切り替える。

さらに、複数のビットを接続すれば、強力な攻撃もできる。

先ほどの巨大怪人との戦いで、それはすでに証明されていた。

「ビットって、思っていたよりずっと自由なんだね」

アクティアは嬉しそうにビットを眺める。

10基の小さな光が、彼女の周囲を静かに漂っていた。

 

一方。

ネガティア基地の最深部。

ネレイドは、床に並べられた3本の杖を見つめていた。

紫色の光を帯びた、不思議な杖。

ネレイドは一本へ手を伸ばす。

少し力を込める。

すると、

ふわっ……

杖が浮き上がった。

続いて二本目。

そして三本目。

3本すべてが空中へ浮かび上がった。

「……」

しかし。

ネレイドの表情がわずかに変化する。

身体から力が抜けるような感覚。

「……これは」

ネレイドが力を緩める。

すると、

カラン……

3本の杖が床へ落ちた。

ネレイドは自分の身体を確認する。

「魔力を消費した……?」

触手を操るときとは違う。

蜘蛛の脚を動かすときとも違う。

この3本の杖には、何か別の仕組みがある。

ネレイドはもう一度、杖を見る。

「あなたたちは……何なの?」

その問いに答える者はいない。

ただ、ネレイドの背後にある巨大な建造物が、わずかに紫色の光を強めた。

 

さらに基地の奥。

そこには、通常のネガティア兵たちですら近づくことを許されない区画があった。

紫色の蜘蛛の脚が床一面に広がっている。

蜘蛛の巣のような構造。

その中心には、巨大な魔力設備が存在していた。

そこへ、床を通って魔力が流れ込んでいる。

戦闘員。

怪人。

捕獲ユニット。

人工魔力。

そして、ネガティアそのもの。

これまでネガティアが使用してきた膨大な力。

その一部は、捕らえられた魔法少女たちから吸い上げられた魔力によって支えられていた。

そして、その最深部には――

巨大な建造物があった。

紫色の光を放ちながら、静かに稼働している。

その姿を見つめる者がいた。

ネレイドだった。

「……まだ足りない」

ネレイドは呟く。

巨大建造物の光が、ゆっくりと強くなる。

 

立入禁止区画の別の場所。

セレナは、背骨のような拘束具を装着されたまま動けずにいた。

背中から伸びた蜘蛛の脚が床へ接続されている。

そこから、魔力が吸い上げられていく。

セレナには分かっていた。

自分の魔力は、どこかへ送られている。

そして、それは自分だけではない。

周囲を見る。

同じように拘束された魔法少女たち。

誰も自由に動くことができない。

セレナは目を閉じる。

「……私たちは……」

言葉が止まる。

その先を口にすることが怖かった。

床の蜘蛛型構造を通って、魔力が基地の奥へ流れていく。

その先には、巨大な設備。

そして、そのさらに奥には巨大建造物。

セレナはその光を見つめる。

「……何に使うつもりなの……?」

答えはない。

ただ、魔力だけが吸い上げられていく。

 

基地へ戻ったアクティア、ルミナ、エクリア。

三人はそれぞれ、自分の魔法少女衣装を身につけていた。

アクティアは10基のビット。

ルミナは両手のシールド発生器。

エクリアは両手の光刃。

それぞれ違う力。

それぞれ違う戦い方。

けれど、三人には一つだけ共通するものがあった。

自分たちの力を、自分たちの意思で使うこと。

アクティアがビットを見る。

「次は、もっと上手く使える気がする」

ルミナも笑う。

「私も、シールドの使い方をもっと試してみたい」

エクリアは二人を見ながら、少しだけ微笑んだ。

「二人とも、ほどほどにね」

「はーい」

「分かってるって」

三人の声が重なる。

その少し離れた場所で、助手は静かに彼女たちを見つめていた。

そしてエクリアと一瞬だけ目が合う。

二人の間には、誰にも知られていない秘密がある。

あの夜。

助手がエクリアのチョーカーを身につけ、魔法少女の姿になったこと。

それが何を意味するのか。

まだ誰にも分からない。

ただ一つだけ確かなことがある。

魔法少女の力には、まだ知られていない仕組みが存在する。

そして。

ネガティアもまた、その仕組みの一部を知ろうとしている。

基地の最深部で、巨大建造物が再び輝いた。

ゴォォォ……。

その光は、これまでよりも明らかに強くなっていた。

少女たちの知らないところで。

ネガティアの計画は、静かに次の段階へ進もうとしていた。