My Dear 67話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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朝、目が覚めると賢治の姿はなかった。

そう言えば今日は朝早くから仕事があるって言ってたな。

眠たい目をこすりながら、私は歯を磨く為に洗面所に向かった。そこには私の

歯ブラシ以外にもう1本あった。それをぼ~っとした頭で見ていると目覚まし時計が

派手な音を立てて鳴りだした。時間を見ると朝の6時半。

「まっず~い。遅刻しちゃう。」

その時ダイニングテーブルに賢治からのメモを見つけた。

『俺用の歯ブラシ買っといたから。よろしく』

歯ブラシなんていつの間に買いに行ったんだろう。私はそのメモをぐちゃぐちゃにして

ごみ箱に放り投げた。

トーストを焼くだけで私はそのトーストをかじりながら今日着ていくスーツを選んだ。

選んだのは茶系のパンツスーツだった。時計を見ると6時45分。朝シャン位出来るな。

バタバタとお風呂に入るとそこには男性用のシャンプーまであった。

これも賢治が買ってきたんだろうな。下手に同棲なんてなったら困るんだけどな。

髪を洗うだけにして再度、時計を見る。もう7時15分。

急いで化粧をしてから私は自宅を飛び出した。

ぎゅうぎゅう詰の電車に乗り込むと電車に賢治がイメージキャラクターをしている

飲料水のポスターがあった。内心、

(私ってこの人と本当に付き合ってるのかなぁ)

なんて疑問が出てきてしまう。でも賢治は昨晩、うちに泊まっていって

そのうえ自分の私物まで持ち込んでるんだよね。

そんな事考えながら電車に揺られてると私の会社へ行く最寄り駅に着いてしまった。