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「俺達とは少し違うな。俺は友梨香と外を堂々と歩きたがったけど、友梨香は嫌がってた。」
「だって当時は国民的アイドルとデートを堂々とするなんで考えられなかったもの。
今は結婚もして子供もいるから人の視線も気にならないけど。」
友梨香さんは食後のデザートのアップルパイを切り分けながら口をとがらせた。
「そう言えば光さんの婚約記者会見の時大変でしたね。」
「あぁ、あれ?人間って不思議なもんだな。意識が遠のくっていうのを初めて経験したよ。
傷みも段々と無くなっていくんだ。でもベットで目を覚ますと目から星が出るっていうのは
あ~ゆ~のを言うんだろうなって位痛かった。すぐそばで眠ってる友梨香がいてくれて
少し安心したけど。」
私もあのニュースを見た時はびっくりした。真っ白なワンピースを着ていた
友梨香さんが一生懸命止血してたのがTVで流れてた。
友梨香さんをかばって刺されたって新聞には載ってたけど。
賢治にはそんな事出来るのだろうか…。
そう考えていると私は無口になってしまった。
それに気がついた友梨香さんが、
「ここに来る前にケーキを2つも食べちゃったからアップルパイお腹に入らない?
これって私の得意技なんだけど。」
「そんな事ないです。デザートは別腹ですから。ちょっと考え事しちゃって。
でもすごいですね。お料理も上手なのにデザートまで作れるなんて。
私も見直さなきゃ。」
目の前にあるアップルパイにフォークを入れて口に運ぶと本当に美味しかった。
下手なケーキ屋さんで買うより全然美味しい。
「美味しいです。うちの近所のケーキ屋さんより美味しいかも。」
「ホント?ありがとう。明日の香のデザートはこれにしようかしら。
光。くれぐれも私に隠れて香におやつなんて渡さないでね。」
それを聞いた光さんは、むすっとしたまま、
「しね~よ。明日はPVの撮影で遅くなるかもしれないし。」
そっか。芸能界って土日関係ない仕事だったんだっけ。
有給もないし、ハードな仕事だなぁ。