My Dear  48話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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合鍵屋さんの隣にあったカフェはこじんまりとしていてあんまりお客さんは入ってなかった

おかげで賢治の事に気づく人はいなく奥の席に座ってオーダーを取りに来た

ウェイターの人も賢治に気がつかなかった

私はアイスカフェモカを。賢治はアイスコーヒーを注文して鍵が出来るまで時間を潰した

そう言えばまだ井上君に食事に誘われてるの言っといた方がいいかなぁ

でも賢治の事だから気にしそう

どうしようかと迷ったけどこれから先、また井上君に食事に誘われた時に

賢治とバッティングするかもしれないから話す事にした

「賢治、あのね井上君って覚えてる?」

「あぁ。菜々子に対して気があるのがバレバレの奴だろ。そいつがどうかした?」

「言いにくいんだけどまだ食事に誘われてるの」

やっぱり言った途端に賢治は不機嫌な顔になった

「マジで?で?ホイホイついていってる訳?」

「『ホイホイ』って…。3回に1回だけ一緒に食事に行ってる。まぁランチだけど

でもしょうがないでしょ。同じ部署でず~っと無視してるのも

賢治だって付き合いで飲みに行ってるでしょ。それと一緒よ」

「ふ~ん」

そう言うとアイスコーヒーの半分を一気に飲んでしまった

やっぱり言わない方が良かったかなぁ

あっでもTakuyaさんとは何にもない事は言っといた方がいいよね

「井上君とはランチをたまにしてるけどTakuyaさんとは何にもないよ

連絡先も知らないし、教えてもいないし」

「そりゃそうだ。Tskuayaにまで手ぇ出されたらどうすりゃいいんだよ

これからライブのリハも本格的になるのに顔を合わせられないだろ

あっ、すんません。アイスコーヒーおかわりお願いします」

残りのアイスコーヒーを飲み干すと通りかかったウェイターさんに注文した

「ね、今日は行けないけど今度の休みに賢治のマンションに行ってもいい?」

「今度の休みって来週の日曜?」

「うん、そう」

私はアイスカフェモカにストローを挿して少しだけ飲んだ

「多分、その日ライブのリハだぜ。また見に来る?

そしたら一緒に帰ればいいじゃんか」

そっか。私が仕事休みでも一般人とは違う賢治は土日関係ないんだった

「じゃぁそうしようかな」

「谷口に迎えに行ってもらうよ」

あ…。そうだ。あの場所知らないから谷口さんに迎えに来てもらうしかないんだ

どうしよう。私、谷口さんの事苦手なんだけどな

「メールでリハーサルしてるビルの住所教えてよ。タクシーで行くから」

「迎えに来てもらった方が交通費がかからないだろ」

「谷口さんだって忙しいでしょ。いいよ、私の為に時間を潰さなくても」

まさか谷口さんが苦手だからなんて言えないよね