My Dear 1話から読む方はこちらから
賢治は壁にかけてある時計を見ると
「げっ、もうこんな時間!?映画に間に合わなくなる
菜々子は行けるんだろ?もう」
「ホントに行くの~?ファンの子達に囲まれるのがオチだと思うけど」
「気づかれても案外声をかけてくる子っていないんだよ
堂々としてばいいんだってばっ」
半分嫌がってる私を引きづる様に私と賢治は映画館に向かった
キャップも被っていたし、サングラスもしてたから最初、賢治に気づく子達は少なかったけど
映画館に入った時にキャップもサングラスも外すと少し周りがざわめいた
「ねぇ、あれって嵐山 賢治じゃない?」
「隣にいる女って何?」
「まさかこないだ雑誌に載ってた彼女とか?」
ひそひそ声で遠巻きに私達を見てる
「ほら、気づかれたじゃない」
賢治は余裕の顔で映画館のドリンクコーナーでアイスコーヒーを2つ買いながら
「でもよってかかってはこないだろ」
「そうだけど…。気になんないの?」
「もう慣れちゃったよ」
そう言って私にアイスコーヒーと映画のチケットを渡した
その映画はコメディタッチの映画で私が大好きにな監督の作品だった
賢治はファンの子達の視線を意にも解さない様だったけど
私は露骨に見られてる様で気になってしょうがなかった
「ねぇ、映画終わったら賢治ん家に帰らない?」
「食事位して行~ぜ」
「でも…。」
私が悩んでる間に私達が観る映画が始まるアナウンスが流れてきた
「映画が終わってからでもいいだろ。この後何するか
ほら、時間、時間」
賢治が私の肩に手をやりながら歩き出すと、また周りがざわついた
私はこんな風に見られるの慣れてないから落ち着かない事この上なかった
My Dear 44話