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胃のもたれる様な食事会から2週間経ったけど、あれ以来賢治からの連絡はぱったりとなくなった
コンサートのリハーサルで忙しいのかな?
その分、井上君からランチのお誘いが増えた
他の人達に誤解されたら困るから3回に2回は断っていたけど
その3回に1回目のランチの時、井上君は苦笑しながら
「もしかして俺って避けられてる?」
「そんなんじゃないけど、毎日一緒にランチしてたら付き合ってるって思われるでしょ」
「いいんじゃない?」
「一応、私は賢治と付き合ってるからね。あっちもこっちもって訳にはいかないのよ」
私はセットになってたケーキの最後の一口を食べるとアイスコーヒーを飲んだ
そしてバックを引き寄せると財布を出して清算しようとしたら井上君は伝票を素早く取って
「今日はおごるよ。久しぶりにランチに付き合ってくれたお礼」
って私の返事も聞かないで2人分の支払いをしてしまった
こんな風に男性にご馳走されるのって苦手なんだけどな
店をでてから私は
「こうやってご馳走になるのって私苦手なの。自分の分は私が出すよ」
「じゃぁ今度、食事をした時におごってよ。それならいいだろ?」
そこまで言われたら言い返す事が出来なくなってしまった
会社に戻ると恵美が嬉しそうな顔をして私に近づいて来た
「今日は井上君と食事したのね」
「まぁね。毎回断るのも悪いし」
「でも毎日の様に井上君ってあんたの事ランチに誘ってるでしょ
井上君のファンの子達は面白くないみたいよ」
そんな周りの事を言われても困る
だって毎日誘ってくるのは井上君だもの
「あんた井上君の事好きなの?嫌いなの?」
「そんな事いいじゃない」
「ここは大事な事よ」
「井上君は単なる同僚よ。それ以上でもなければそれ以下でもないわ
さぁもういいでしょ。昼休み終わっちゃうわよ」
恵美は渋々自分のデスクに戻ったけど、井上君のファンの事までは知らなかった
…。そう言えば賢治、連絡ないな
気になるって事は少なくとも私は賢治に対して好意を持ってるのかなぁ