My Dear  34話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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賢治は車をパーキングに止めるとすぐに私達が待ってるレストラン前に走ってきた

「ここのマスターとは顔見知りなんだ。よく芸能界の皆と食事に来るからさ」

説明しながら賢治はキャップを脱ぐと店の中に入って行った

私達もつられる様に入っていく

「おっ、けんちゃん。いらっしゃい。個室取ってるよ」

「サンキュー」

賢治は振り向いて私達の方を見ると

「この2人は俺の彼女と彼女の会社の同僚なんだ

こないだ雑誌に俺に彼女がいるってバレたからこの店にしたんだ

ここだったらジャーナリストも来ないだろ」

「僕もあの雑誌読んだけど可愛い彼女だね

ところで料理はどうする?」

賢治は私達を見ると

「なんか嫌いな食いもんとかある?」

「私はセロリとホワイトアスパラが苦手」

「俺は特にないけど…。」

再びマスターの顔を見ると

「だってさ。料理はマスターに任せるよ

個室っていつものとこ?」

「そう。じゃぁ適当に前菜から持ってくから

ワインはどうする?」

「俺は車だから飲めないけど…。奈々子達はどうする?」

どうせ賢治のおごりだと思ったから目いっぱい注文をしちゃった

「私、ドイツワインが好きなの。グラスでいいからそれが飲みたいな」

賢治におごってもらうなんて思ってもいないらしい井上君は

「俺は遠慮しとくよ。酒、そんなに強くないし」

って遠慮した

入った個室は広すぎでもなく狭すぎでもなく程よい広さだった

最初に出てきた前菜は野菜のテリーヌだった

「わぁ、綺麗」

「これじゃ食べるのがもったいないな」

私と井上君が食べるのを躊躇してると

「見てたって腹はふくれないだろ。いいから食ってみろよ、旨いから」

賢治は何の躊躇もなくテリーヌをあっという間に食べてしまった

私も恐る恐る食べたけどすっごく美味しかった

「美味しい!」

「だろ?」

自慢げに賢治は笑った