My Dear  35話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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食事は食後のデザートが出るまでは上手くいってたと思う

賢治VS井上君の静かなバトルは私がティラミスを食べてる時だった

「だけど、芸能人と付き合うのも大変だろ?

俺みたいな普通の会社人だったらスクープされる心配もないし

デートだって堂々とできるんじゃないかな」

その井上君の少し喧嘩腰の言葉に対して賢治はニヤリと笑った

「別に隠れてデートする訳じゃね~もん

事務所公認の俺達だし、第一何にも悪い事はしてないよ」

「だって、橋本さんは付き合ってるつもりないんでしょ?」

「奈々子は付き合うって言ってくれてるぜ」

私は楽しい食事会からなんとなく男性陣の腹の探り合いを感じて居づらくなってきた

「ね、ねぇ。食事も終わった事だし今日はお開きにしない?」

これ以上3人でいても居心地が悪いだけだった

それでも2人は

「俺が橋本さん送ってくよ」

「いや、車で来てる俺の方が早く自宅に送れるから俺が送るよ」

「また写真なんて撮られたらマズいんじゃないの?」

「その辺は慎重にするよ」

延々と続きそうな2人のやり取りに私は居づらさが最高に悪くなり

「私、一人で帰る。知らない土地じゃないし、地下鉄で帰った方が早いから」

それでも井上君は食い下がった

「この時間に地下鉄1人は危ないよ。やっぱり俺が送ってく」

「大丈夫、大丈夫。」

私は出来るだけ明るく井上君の申し出を断ったけど井上君は腑に落ちない様だった

今日の食事会は最初は楽しかったんだけどなぁ

どこがどうずれてこんな事になっちゃったんだろう