小料理屋 桜 88話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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11時を過ぎる頃、高城教授は帰途につきたいと遠慮がちに言った。

「この歳になると夜に弱くてな。他の皆はまだ楽しむがいい。」

「今日は教授を囲む会なんですから教授がお帰りになるのならこれでお開きにしますよ。」

雄二が教授の為にタクシーを呼んでる間、参加者全員で片づけを始めた。

使っていた食器などはデリバリーだったので翌日、取りに来てもらう手筈になっていた。

参加者はそれぞれの今の連絡先を交換すると一人、また一人と帰って行った。

最後に残ったのは雄二と桜子だった。

雄二のギャラリーで同窓会をしたので鍵をしなくてはならないのが理由だったが、

康之の件を除けばいい同窓会になった。

新居となった家には12時過ぎに帰った。

「良かったわね、同窓会して。皆の連絡先も分かる様になったし。」

雄二はジャケットを脱ぎながら、

「あぁ。でも誰が康之に今日の事を教えたんだろう。」

「Facebookかなにかじゃない?それに掲載したんだから。」

「そうかもな。」

「でも良かった。皆の連絡先とか交換出来て。前みたいに集まる機会も増えるかもしれないわね。」

今日は桜子の店の名刺も渡したのでもしかしたら、昔の大学時代の同期も来るかもしれない。

そう言えば仕事の話で盛り上がっている同級生もいた。

今日の同窓会で仕事の繋がりも出来た同級生もいたかもしれない。

「そう言えば内山さんから手紙が来てたわよ。今はパリにいるみたい。

素敵ね、色んな国に行って絵を描く仕事って。」

そう言って内山からのエアメールを雄二に渡した。

それを読んだ雄二は嬉しそうに、

「来月、帰ってくるみたいだ。また俺のギャラリーで個展をしたいってさ。

次のギャラリーは前のより広いからたくさんの絵を展示できる。

この事を知らせとかないと。」

「じゃ、一回は観に行こうかしら。内山さんの絵って素敵だもの。」

「きっと彼も喜ぶと思うよ。」