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食事をしながら聡が、
「なぁ、クリスマスの飾りを買う前に久しぶりに映画観ないか?」
「いいね。じゃぁこれ食べたら行こ。」
映画を観に行くのは徳永君が辞めて以来の事だ。
観る映画を決めてないから聡子ちゃんに聞こう。
…。聡子ちゃん、今日いるかな。
食事中は私と大口さん達がどれほど聡を探した事の話だった。
「シリアの方で爆発事故があってアジア圏内の人が亡くなったって聞いた時は
本当に心臓が止まると思ったんだから。」
「俺はその爆発したところから帰ってる途中だったんだ。
あと5分そこにいたら俺も被害にあってたかもしれない。
亡くなった方のご遺族には悪いけど、俺は助かって良かったって思ってる。」
そうだ。聡が被害に合わなかったけど、亡くなった人はいたんだった。
そのご家族の考えると気の毒でならない。
日本はそれだけ安全な国って事だ。
食事を終えて、店を出る時に
「関根さん、今日は映画も観るけどクリスマスの飾りも買ってくるの。
だからいつもよりちょっと遅くなるかもしれない。」
「大丈夫だよ。ここは9時まで営業してるから。」
「じゃぁまたあとで。」
関根さんの店は映画館の隣にある。
だから慌てて行くこともないと思って歩きながらどんな映画を観ようかとか
話していた。映画館に着いた時には今まで私が聡を探すので
心身ともに疲れていたからコメディ映画にする事にした。
コメディだったら少しは私の気も晴れるかもしれない。
いつもの会員専用レーンに並ぶと聡子ちゃんはいなかった。
どうしよう…。見た事はある人なんだけど名前までは知らないからなぁ。
だめ元で聞いてみるか。
「すみません私、尾山」 美加って言いますけど
立川 聡子さんいらっしゃいますか?」
「申し訳ございません。本日はお休みを頂いてます。」
じゃぁ良子ちゃんに聞くか。
「でしたら苗字はわからないですけど、良子ちゃんはいますか?」
「どういったご用件で?」
そうだよね。従業員を指名して呼び出す客なんていないもんね。
「いつも聡子ちゃんか良子ちゃんに観る映画を勧めてもらってるんです。
前、ここにいた徳永君とかにも。」
「安藤でしたら今、バックヤードにいます。お呼びしましょうか?」
「お願いします。」
私達は一旦、レーンから外れて後ろに並んでいる人に順番を譲った。
5分程して良子ちゃんが出てきて、私の顔を見ると花が開く様に笑った。
「美加さん、お久しぶりです。ご主人も。」
「ごめんね、他の仕事してたのに。最近映画観てなかったから良子ちゃんに
お勧めの映画を教えてもらおうと思って。出来ればコメディ系で。」
良子ちゃんは今、上映されてる映画を確認すると、
「『僕の家』か『サラダとレタス』って言うのが
どっちかというとコメディですよ。」
私は後ろに立っていた聡に振り向くと、
「どっちにする?」
「『サラダとレタス』がいいんじゃないか?映画名が面白そう。」
私はポイントカード出すと、
「じゃぁ『サラダとレタス』をお願い。2枚ね。」
チケット代は聡が払ってくれた。
「この映画、1時間後ですけど大丈夫ですか?」
良子ちゃんは心配してくれたけど1時間あるのなら先にクリスマスの飾りを
買いに行けばいい。
ここのショッピングモールは広いから、
さすがにクリスマスシーズンだけあって雑貨屋さんでもクリスマス用の飾りを
売ってる店が多い。
「教えてもらったはいいけど、どこの店にする?
全部見てたら映画に間に合わないよ。」
私はインフォメーションの人からもらったガイドブックを見ながら聡に聞いた。
「ここから一番近いとこは?」
「えっと…。1階のエスカレーターの近いとこに店がある。」
「じゃぁその先にそこを見ようか。」
私的にはfrancfrancも見たかったんだけどなぁ…。
映画が終わってからでいいか。