幼馴染み 第2章 23話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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夕飯の準備が出来たから男子チームを呼びに行こうとしたら、


真吾が私の部屋の前で座り込んでた。


「何してんの?」


「あっ、琴音。し~っ。」


「もうすぐご飯だよ。」


「だから静かにしてろよ。」


「何で?」


「守と正也が対決してる。」


「たいけ…。ムグッ」


真吾に口を手でふさがれて、何も言えなくなった。


その代りに中での二人の会話が聞こえてきた。


「最初、お前を見た時、琴音がお前の事好きになるじゃないかなっては思ってたんだ。」


「俺は琴音を紹介された時、正也。お前の彼女かと思った。」


(何々?この緊迫感)


「お前も琴音の事好きだったんだろ?だったら何だもっとアピールしなかったんだ。


そしたら、もしかしたら俺の方が振られてたかもしれない。」


「振られるのが怖かったんだ。お前ってばっちり琴音のタイプだから。


今まで遊び友達だったんだ。それぐらいはわかるよ。


俺は…。『吉田 守』になりたかった。お前みたいに俺、器用じゃないし


いつも本ばっかり読んでるから。」


そんな会話が続いてる時にタイミング悪く三浦さんが大声で、


「立川君、大原さん。ご飯出来たよ~。」


「あっ、う、うん。」


私はノックをして、


「ご飯出来たって。」


って、聞いてない振りをして部屋に入った。


二人共、気まずそうな雰囲気だったけど、私は明るく振る舞って


聞いてないのをアピールした。


守の方から私に話しかけた。


「今日の夕飯何?」


「麻婆豆腐と春雨サラダ。今日はチャイニーズでまとめてまっす。」


「へぇ、そりゃ楽しみだな。」


守は私の部屋から出てリビングに向かったけど、正也は床に座り込んで片足を曲げて


自分の顎を乗せてた。


「正也、ご飯始まっちゃうよ。」


「俺、今日はいらない。帰る。」


「せっかく作ったのに…。」


「今度来たら食べるよ。」


そう言って携帯を後ろのポケットに入れて帰ろうとした。


「正也、そんな所に携帯しまうと落としちゃうよ。」


無言で正也はその携帯をシャツのポケットに入れて、


「おばさんにごちそうさまでしたって言っといて。」


そう言うと本当に帰っちゃった。