お母さんが持ってきたケーキを食べながら、三浦さんが今行ってる高校の話になった。
そこで気づいた事があった。
…。私、レアチーズケーキ残して三浦さん達を迎えに行ったよね。
ない。
「この中で私のケーキ食べた人、素直に手を挙げてくださ~い。」
犯人は残っていた三人の中の誰かしかいないのに誰も手をあげようとしない。
三人共私からの視線を避ける様にしてる。
真吾に詰め寄り、
「真吾?あんた私のケーキ食べた?」
「違う、俺じゃない。」
「じゃぁ誰よ。今、吐いたら許してやるから。」
「ホントに?」
「素直に言えばね。」
真吾は少し迷ってるみたいだったけど、
「えへ、守。」
と白状した。寄りによって守?守ってそんないたずらするタイプだったっけ?
「ま~も~る~。」
「ごめん!琴音があんまりにも美味しそうに食べてたから、つい。」
「最後の一口が美味しかったのに~。」
そんな私達のやり取りを見てたら、三浦さんが呆れた様に、
「ねぇ、いっつもこんな感じなの?ほとんど小学生レベルじゃない。」
「そう、なんとかして。」
「人のケーキを食べた守が言える言葉じゃないでしょっ。」
そしてまたまた、私と守の会話を聞いて、呆れるというよりうんざりした表情で、
「本当に吉田君と大原さんって付き合ってるの?」
「それが本当なんだよなぁ。濟々黌の七不思議の一つになるかもしれない。」
真吾がなぜか自分で納得しながら言ってる。
そしたら三浦さんが笑った。
「前に会った時も仲が好いんだなって思ってたけど、ホント仲が好いんだね。」
「腐れ縁なだけだよ。」
正也が面白くもなさそうに人の本を勝手に読みながらボソリと呟いた。
正也に何て答えたらいいのか分からなかったから黙ったら
お母さんが私と三浦さんを呼んだ。
「夕飯の支度するから女の子チームは手伝って。」
「あ、は~い。ごめんね。初めて来たのに手伝わせて。
うちでみんなが夕飯食べてく時は女子がお母さん達を手伝う事になってるの。」
「私はいいわよ。突然おしかけたのも私だし。」
「ありがとう。」
私用のエプロンを三浦さんに貸して私もエプロンをした。
真吾が私達のエプロン姿を見ながら、
「こうやって見ると琴音も女の子なんだなぁって思うよ。」
「妙子さん曰くなんだけど、『男の気持ちを引き寄せ続けるには料理』なんだって。」
「あっ、それって的を得てるかも。」
「って訳で男子だけで適当になんかしてて。行こ、三浦さん。」