皆で進路の話をしてたら、お母さんが正也が持ってきたケーキとコーヒーを持ってきた。
「正也君、ごめんね。ケーキまで持ってきてくれて。」
「いいんです。ただ単に俺達が食いたかっただけですから。」
(ウソつき。甘いもの好きじゃないくせして)
私の部屋のテーブルにケーキとコーヒー、私は紅茶を置いて行ってくれて
「何かあったら呼んでね。」
ってお母さんはキッチンに行った。
…。見たところ、元気になってきた気がするけどなぁ。大丈夫かな。
私はレアチーズケーキを頬張ながらお母さんの後ろ姿を見送った。
だけど観察力がいいのかな?真吾から意外な事を言われた。
「なぁ、おばさん元気ない気がするんだけど。」
思わず守と視線を合わせてしまった。
「そふ?いつも通りだと思ふけど。」
「琴音、口に物入れながらしゃべるなよ。」
私は黙って頭を下げた。
だって妙子さんが知ってるケーキ屋さんのケーキって美味しいんだもん。
その時、チャイムが鳴った。
誰だろう。妙子さんかな?私は食べかけのケーキを置いて、玄関に向かった。
インターフォンから見えるのは思いもよらない人だった。
三浦さん?
何でうち、知ってるのかなぁ。
玄関の鍵を開けて、三浦さんを迎え入れるとお互い抱き合った。
「久しぶり~。元気だった?」
「元気、元気。あっ、制服が変わっている。転校したの?」
「うん。ちょっと遠いけど私立の学校に行ってる。」
「ハイハイ。立ち話してないで、中に入って。」
後ろには妙子さんがいた。
「妙子さんが送ってきてくれたの?」
「うちに来てね、今日は琴音の家に行ってるって言ったら一緒に来たいって言うから。
前の学校の友達?」
私達は玄関から移動しながら話した。
「そう。珍しく女の子の友達なの。」
「へぇ、琴音に女の子の友達ねぇ。ホント珍しい。」
「今ね、正也達も来ていて私の部屋にいるの。行こ。」
「妙子さん、ありがとうございました。」
「いいのよ。じゃぁ私裕子さんに話があるから。」
三浦さんが妙子さんの事を『妙子さん』って呼んでたのには少しびっくりした。
部屋に入る前にこそっと、
「もしかしてあの洗礼を受けた…。とか。」
「そのもしかしてよ。びっくりしちゃった。いきなり襟首掴まれるんだもん。」
「あれには誰だってびっくりするよね。」
そう言いながら私の部屋に二人で入った。
「何かにぎやかだなって思ったら琴音の友達か。」
「あれ?その子…。」
「前に正也ん家に来たことがあるでしょ?三浦さん。」
「あ~。琴音に女友達って珍しいから覚えてたよ。
制服、前のと違うね。転校したの?」
「うん。やっぱりやりづらくって。あと一人の女子も転校したよ。」
そこにお母さんが三浦さん用の紅茶とケーキを持ってきてくれた。