幼馴染み 第2章 4話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

「幼馴染み」を最初から読まれる方はこちらから


「幼馴染み 第2章」を最初から読まれる方はこちらから


私は井上君が帰ったから下に降りて妙子さんの話を聞く事にした。


「ね、さっきの話だけど本当なの?」


「まだ、妊娠したかどうかははっきりしないけど、相手の女性が妊娠したって言ったら


離婚に応じるって考えて言ったかもしれないわね。」


私は胸騒ぎがした。あんなに気が弱いお母さんがそんな事言われたら何するかわかんない。


「私、うちに帰る。なんか嫌な予感するから。」


「そうね。そうしてあげなさい。」


私は駆け足で正也の部屋に戻ると、


「今日は早いけど私、もう帰るね。」


「じゃぁ俺が送るよ。それから今度から琴音の事、送るよ事にするよ。」


「そうだな。俺達もお前達の邪魔したくないし。」


私は教科書とかを乱暴に入れて、


「なんだか嫌な予感がするの。急いで帰ろう。」


「分かった。」


守も素早く参考書とかをバックに入れて急いで玄関に向かってくれた。


半分走る様にうちに帰ると、いつもだったら帰ったらお母さんが出てくるのに、今日は出てこない。


私の嫌な予感はますます膨れ上がった。


「お母さん!お母さん!」


守もうちに入ってお母さんを探してくれてる。


お母さんはお風呂場にいた。


足元にお風呂の桶を置いて首にはロープをしている。


「お母さん!何してるの!」


私は急いでお母さんを下ろそうとしたけどなかなかうまくいかない。


「守!はさみ‼はさみ持ってきて!」


「どこにあるんだよ。」


「私の部屋の机の上にあるから。」


その間にお母さんは桶から足を離して苦しそうな声を上げてる。


「守‼急いで。」


守ははさみを持ってきてくれたけど、お母さんの姿にギョッとしたみたいだった。


二人かがりで私ははさみでロープを切り、守はお母さんの足元に桶を置いて


これ以上首をつらない様にしてくれた。


ようやくはさみでロープが切れてお母さんは崩れ落ちる様にお風呂場に座り込んだ。


「お母さん!何してるの!」


「そうですよ。自殺なんて…。琴音も順調に学校生活が始まったばっかりなんですから。」


お母さんはしばらく呆然としていたけど、次第に泣き出した。


「あの人が浮気してるのは目をつぶろうって思ってたの。


それだけ私はお父さんにとって必要ない人間になっちゃたからかもしれないから。


でも…。でも!相手の方が妊娠したなんて…。」


その言葉を聞いて驚いたのは守だった。


「親父さん、浮気なんてしてたのかよ。」


「ずっと前に妙子さんにお母さんが相談したみたいなの。だから断片的にしか知らないけど


お父さんが女の人と腕を組んで歩いてるのを見た事もあったし、お父さんのスーツから


ピアスを見つけた事もあったの。」


「なんで相談しなかったんだ。」


「うちの問題だし守には心配かけたくなかったの。」


私はお母さんを抱きしめて、


「お母さんが辛いのはわかるよ。だけど自分から死んじゃおうなんて考えないで。


私からもお父さんに言うから。」


泣き続けているお母さんを私は抱きしめるしかなかった。