幼馴染み 41話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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明日、守に数学教えてもらうって決めた途端に数学を勉強する気が全くなくなった。


守の数学の教え方って上手なんだよね。真吾や正也だって数学の成績いいはずなのに


上から目線で教えるから嫌なんだよ。


時計を見ると10時半。どうしよかな…。寝るには早いし。


歴史の勉強でもするか…。


どの辺調べようかな。鎌倉幕府辺り調べてみようかな。


私の本棚には歴史の本がいっぱい並んでる。


こないだ、正也が手にした近藤 勇の本のスペースが空いてるのが目についた。


そう言えば本、貸したんだっけ。読んでるのかな。


そんな事考えてたから、鎌倉幕府の事調べるつもりが新撰組の事調べてた。


でもネットに載ってる事は大体知っている事で、興味が失せてしまった。


椅子をギシギシさせながら、足をプラプラさせてたらバランスを崩して椅子ごと転んでしまった。


「いった~い。」


「どうしたの!?」


私が頭を抱えてるとお母さんが椅子が崩れた音で私の部屋に飛び込んできた。


「なんでもない。」


転がってる椅子を立たせて、私は頭をさすりながらお母さんの顔を見た。


その顔は私が今にでも死んじゃうじゃないだろうかって心配してる顔だった。


妙子さんはあんまり正也達に干渉しないタイプだけど、


お母さんってちょっと過保護な所があると思う。


まぁ、私が病気持ってるからって言うのもあるだけど。


「気をつけなさいよ。琴音ってどうしてこう女の子らしくないのかしら。」


「女の子らしいって何?」


私が前々から考えてた事をお母さんに聞いてみた。


「それは…。もうちょっとおしとやかって言うか。とにかく琴音はお転婆なのよ。」


「随分、抽象的なんだね。これも個性って思わない?」


「そりゃ思うけど。まぁいいわ。いつかわかると思うから。」


…。お母さんだって『女の子らしい』が何か分かってないんじゃん。


なんだかちょっとイラっとした。


「私、もう寝るから出て行って。」


急に機嫌が悪くなった私にちょっとびっくりしてるみたいだけど、


あまりにも答えになっていない私とお母さんのやり取りにお母さんも居づらくなったらしく


すぐにお母さんは私の部屋から出ていった。


出ていく時、何か言いかけたけど、私はあえて無視した。