幼馴染み 36話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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真吾は私が山田先生からもらったレポートをひらひらさせると、


「正也、下のコピー機貸して。」


なんだかんだ言って資料にするんじゃん。


正也ん家はレンタルショップのオーナー宅だけあって事務用のコピー機がある。


「1枚10円。」


「金取るのかよ。」


「冗談。」


「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ。」


「真吾、俺の分も。」


使うんだったら最初に文句を言わないで欲しい。


ホントにテストに出たら感謝位してもいいと思う。


だけどさっき妙子さんに私が呼ばれた時、正也だけが黙ってたな。


知ってるのかな?あのピアスの事。妙子さんがペラペラ喋るとは思ってないけど。


…。単に興味がないだけかもしれない。


「でもあれ、私は勉強になったから良かったな。」


「織田 信長とか豊臣 秀吉とかの事知って、楽しい?」


思わず大声で言っちゃった。


「楽しい!」


って。…。やっぱり私って変かも。


でもそれを言うなら、中国史が大好きな正也も変わってると思うけどな。


正也曰く、


「生きていくのに必要な事がたくさん書いてあるから面白い。」


らしい。それを言ったら私が日本史が好きな理由と同じだと思うけど。


真吾が下から戻ってきたら達也が正也の部屋に顔を出した。


「兄ちゃん、俺のプレステ知らない?」


「俺がゲームとか興味ないの知ってるだろ。どっか、お前の部屋にあるんじゃねぇの?」


「おっかしいなぁ。」


「テレビの後ろとかにしまったんじゃないのか?」


「あっ。ありがとう。」


そう言えば私達って達也みたいにゲームとかには全然興味がないな。


お母さんも言ってた。


「正也君達が来た時は本当の年齢より上の人達みたいな話してるのね。」


って。そうかなぁ。


でも一ちゃんとは話が合うし、一ちゃんの話は面白い。


例えば、何でトンネルの光はオレンジ色なのか…。とか。


一ちゃんは物理学者になりたいらしいから、興味がそんな事に注がれるのかもしれない。


1回だけ一ちゃんの彼女っぽい人を見た事がある。


なんで彼女なのかなぁって思ったかというと、朝の6時に一ちゃんの部屋から出てきたから。


ちょうど、私がごみの日にごみを出しに行ったら偶然、見ちゃったんだ。


朝の6時に部屋を出たって事は…。前の晩一ちゃんの部屋にいたって事だよね。


私に向ける笑顔とは全然違ってたし…。手握ってたし。


あっ、あぁゆうのを付き合うって言うのか。


「ねぇ、やっぱり朝の6時位に部屋を出るって事は…。付き合ってるって事だよね。」


確認の為に聞いてみる。


「そりゃそうかもしれないけど、一回だけの仲って事もあるしな。」


「え~。そんなのもあるの?」


「何だよ。琴音、誰かん家から朝の6時に出た事があるのかよ。」


真吾が興味深そうに聞いて来た。


「私の訳ないじゃん。近所の浪人のお兄ちゃんのアパートからその時間に


女の人が出てきたから。」


「浪人て事は欲求不満なだけだろ。」


正也はまた本を読み始めながら面白くもなさそうに言った。


「一ちゃんに限ってそんな事ないと思うけど…。」


だって一ちゃんって『さわやか青年』って感じだもん。